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4日目―決戦

あれから2時間・・・

月明かりに照らされた俺たちは、待ち伏せをしていた。


場所はひざ下までの草が生え揃った草原。

小高い丘になっている部分で俺は『sonar』を片手に常に警戒をしていた。


誠は一番高い場所で、草むら隠れるように伏せ、息を殺している。


もちろん、志村が洞窟に近づいたら判る様、噴水の入り口が範囲内になる場所を拠点とした。


2人の間に会話は無い。

事前に取り決めた内容に従い、志村が来るのを待つだけだ。


心を落ち着け、集中する。




更に30分後・・・


事態は動いた。


地図の橋に写った光点。

その光点が迷い無く、こちらを目指してくる。


来た!!


息を呑む。

光点の移動速度はかなり速い。


撃ち損じる訳には行かない・・・

視界に人影が入るのを確認し、まずはライフルの準備。

合図と威嚇を込め、ライフルを人影に向けて発砲する。


タァァンッ!!


ガシャンッ


すぐに薬莢を補充する。


人影は1度止まったかと思ったが、更なる加速を見せる。


慎重に、光点の位置とスピードから人影の移動先を割り出し、ライフルを撃つ。


タァァンッ!!


人影の位置がずれる。

かわされたかっ!?


これ以上ライフルの距離ではない・・・

ライフルを投げ捨て、両手に2丁の銃を持つ。


ガンガンガンッ


左手に持つ銃を連射するが、志村は顔や手に飛んで来る弾をを避けながら迫ってくる。


誠が言っていた。


「胴体へ飛んだ弾は、避けるそぶりも無かった・・・と。」


ならばっ!!


右手に持った最大口径のマグナムで・・・

肩は痛むが、志村の胴体を目掛け・・・


ドンッ


「ぐっ!?」


反動が凄まじい・・・

肩が壊れるほどの衝撃が襲ってくる。


だが、弾を受けた志村がよろめいている。

この威力なら、志村にも効く!!


ならばっ!!


ドンッドンッ


「ぐっ・・・うっ・・・」


肩がいかれる程度、構わない。

これで志村が倒れ・・・えっ!?


倒れると思われた志村は、前傾姿勢のまま突っ込んでくる。


「くうっ!?」


ドンッドンッ


「ぐっ・・・ぁぁぁぁ」


反動ですでに手の感覚は無い。

だが当たれば!!


・・・前傾姿勢になった事で避けやすくなったのか、今度の2発は当たらなかった。


そのまま志村は目の前に・・・


ザスッ


「ぐっ・・・あああ・・・」


気付いた時には、志村が左手にもっていた刀は振り下ろされ、肩から燃える様な痛みが広がった。

無意識に体をひねっていたからか、左手は動くが・・・


「ぐぅ・・・」


右手はもう動かない・・・左手も動かすのが辛い・・・


志村は右手が動かないのかぶらぶらさせているが、それでもこの強さだ・・・


志村は返す刀で、胴体を横に薙ぐ。


ギィィンッ


さすがにマンガやゲームのように鉄は切れないようだ。

一瞬だが、隙が出来る。


「チッ」


頭を狙う・・・のは無理だな。

そのまま狙えるのは・・・


ガンッ


「クッ」


当たった!!


志村の右太ももを打ちぬけた。


志村はひるんだように、たたらを踏む。


今の内にたたみかけなければっ!!


ガンッガンッガンッ


今度は避けられてしまう。


ザシュッ


「ぐぁっ!!」


逆に右足を斬られる。


「やらせるかっ!!」


ガンッガンッガンッ


カキンキンッキンッ


至近距離で頭を狙ったが、全てを刀で弾かれてしまう。


くそっ、もう一回!!


ガンッガンッカシャッカシャッ


キンッキンッ


「なっ!?」


左手の銃の弾が・・・切れた。


「ふっ、終わりだな。」


右手の銃を・・・ぐっ、動かない・・・


志村が笑みを浮かべながら刀を振りかぶる。


動けっ!!

動け動け動け動けっ!!


「肉を斬る感触・・・楽しませて貰う。」


・・・・・・名無三。




鮮血が飛んだ。


ただし、俺の血ではない。


ガシャンッ


「ぐっ・・・謀ったな・・・」


志村の後ろに落ちる刀と、崩れ落ちる体。

鮮血は志村の左腕から2箇所と、肩から1箇所流れている。


「悪いな・・・ギリギリの油断が出来る瞬間・・・そこを狙っていた。」


後ろの方から立ち上がる気配がある。

誠が近づいてきたんだろう。


「修二さんを囮にするのは気が引けたのですが・・・」


プシュプシュ


誠が銃を撃ち、志村の両足を打ち抜く。


「お前はっ・・・オマエハァァァl」


「貴方は笑いながらでしたが、僕は同じように出来ません・・・

 ハルカの仇、とらせてもらいます。」


誠が暗い目で志村の額に銃を持っていく。


「さようなら・・・」


ドンッ











俺は自分の目が信じられなかった。


崩れ落ちたのは・・・誠の体。

そしてその前には、右手で銃を構えた志村が座っていた。


「はぁ、肉を斬る感触が楽しめないから住は嫌いなんだが・・・この状況じゃ仕方ないわ。」


そしてその銃を俺に向ける。


「残念だったわね。

 私の勝ちよ。」


ドンッ


「ぐっ」


避け切れなかった弾は側頭部を掠めていく。


だが、ここで額に当てなかった事が志村の敗因だ・・・


「悪いな・・・」


俺は体に巻きつけていたそれのピンをまとめて引き抜く。

全て1度に外せるように既に細工済みだったため、左手1本で簡単だ。


「引き分けだ。」


「キサマァァァァァァァ!!」


ドンッドンッドンッ


状況を把握した志村が額目掛けて銃を放ってくるがもう遅い。


銃弾が体に入ってくるのが感じられる。

ごめんな・・・マナミ・・・

しおり・・・死ぬな・・・

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