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4日目―誠

「その前に良いかな?」


マナミが話しかけてくる。


「ん?どうした?」


「僕って確か『CAVE』って言うのをインストールしたよね?」


最初にケーブルを読み込ませ、マナミのリストバンドは画面に『CAVE ON』と表示されていたのを思い出す。


「ああ。確かにそうだけど?」


「ここ、地図には何も表示されて無いんだよね?

 それに地図自体おかしい事になっているし・・・」


首をかしげながらリストバンドを俺たちのほうに見せてくる。

俺と誠は促されるままにその画面見る。


マナミが言ったように、地図には何も表示されていない。

しかも、現在地を表す表示はこの洞窟に入る滝の前で止まっている。


・・・もしや!?


自分のリストバンドから地図を呼び出す。


表示はマナミの地図と同じく、洞窟に入る滝の前が居場所だ。


「誠!!」


「修二さん!!」


誠も同様に地図を確認したようだ。


「これはもしかすると・・・」


「ええ、空白地帯ブランクエリアかも知れないですね。」


誠も俺と同じ結論に達したようだ。


「つまり、ここに居る限り。」


「運営に位置が把握されないでしょうし、志村にも見つからないでしょう・・・」


なぜかは判らない。

運営で用意した空白地帯ブランクエリアなのか、偶然にあいていた天然の洞窟なのか。

だが、地図に載らないと言う事は"安全"を意味する。


「使えるな・・・」


「え?」


漏れ出た呟きに誠が反応する。


「あぁ、とにかく安全が保障されたな。という事だ。

 マナミ、お手柄だぞ。

 これでゆっくりと話をする事も休憩する事もできる。


 それに・・・しおりの安全が確保されただけでも嬉しい事だ。」


「うん、ありがとう。」


困ったような、でも嬉しいような顔をしてマナミが微笑む。


「あとは、しおりちゃんが無事目を覚ましてくれればいいんだけど。」


・・・そうか。

うっかりしていた。

明日香のお陰で多少強くなったが、元々マナミの心はもろい所がある。

しおりの傷でもろい所が表面化してきたのかもしれない。


気をつけなければ・・・


「大丈夫だ。

 今はそう信じよう。」


「そう・・だね。

 誠君の技量を信用して、安心しなくちゃね。」


「そこまで信用されるにはまだ早いですけどね。」


3人で軽口を叩き合うと、マナミも多少安心したように思える。


「では先に、3人と別れてから僕達の行動についてお話しますね。」


落ち着いた所で、気になっていた点。

分かれてからの行動を確認する。


「修二さん達と別れ、GPSのように生存に直結する拡張ツールを見つけるため、BOXを探し回りました。

 BOX発見の法則性は修二さんに聞いていましたからね。

 結構見つける事ができたんですよ。」


誠が荷物から、いくつかのケーブルを取り出す。


「そんな中、襲撃を受けました。

 相手は女性2人組み・・・

 くしくも1度狙われた相手、志村とハルカ、でした。


 油断してはいけない相手・・・

 そう知っていた・・・はずなんです。」


誠はそこで一旦口を閉ざし、ギュっと手を握り締める。


「最初の奇襲で愛は左腕に怪我を負いました。

 逃げていく2人を追う為にも、愛を安全な場所に・・・

 そう考えたのが間違いでした・・・」


握った手が白くなっている。

力の入れすぎだ・・・


「今思えば、それが相手の狙いだったんですね・・・

 あの時、愛を一緒に連れて行っていれば・・・そうすればっ・・・」


握り締めた手は震え、手から血が滴り落ちる。

これ以上は・・・


「誠。

 その話は良い。

 志村の戦い方だけでも教えて貰えないか?」


だが、誠にその言葉は届いていない。


「愛は・・・志村に殺されました。

 絶対に忘れません・・・いや、忘れられない。

 笑いながら愛を切り刻んでいたあの光景だけは・・・

 

 愛は・・・僕が行った時には、物言わぬ顔でただ斬りきざまれて居ました・・・」


「うっ・・・うっ・・・」


泣き声が聞こえる。

後ろを見ると、マナミが泣いていた。

誠の悲痛な表情に耐え切れなくなったんだろう。


「ありがとう、マナミさん。」


誠は、泣いているマナミに気付き、礼を言う。


「僕はあの悪魔を許せません・・・

 愛を斬るのに夢中で、僕に気付いてなく、完全に不意打ちで志村を狙いました。

 

 ですが・・・死んだのはハルカでした。

 ハルカは僕に気付いたのか、射線上に身を投げ、その弾はハルカの体に・・・


 志村は何故か銃を持っていませんでした。


 その後、何度も銃を撃ったのですが、反撃を行ってくる事も無く、避けたり刀で軌道を逸らすだけでした。


 2発ほど、体に命中下のもあるのですが、全く堪えていませんでした。

 おそらく、防弾チョッキも着ているのでしょう。


 変わっていなければ、志村の武装は刀と防弾チョッキのみ。


 その後はゲリラ戦を用いて、志村の後をつけ続けていました。



 そんな時、志村がいきなり駆け出しました。


 何事かと後を追うと、そこに居たのはしおりちゃんでした。


 しおりちゃんも途中で気付いたのか、応戦しようとしたのですが、志村の身体能力は恐ろしい。

 しおりちゃんは全く何も出来ず、斬られました・・・


 唯一、救いだったのは、トラップが潜んでいた事でしょう。

 いきなり、竹槍が志村を襲い掛かったので、その隙を狙って僕も発砲。


 結果、志村の右腕に銃弾が突き刺さり、しおりちゃんを殺し損ねて逃げていきました。 

 

 逃げる志村と倒れるしおりちゃん・・・

 僕はしおりちゃんを見捨てる事ができず、助ける事を選びました・・・


 右腕を負傷した事で、愛の敵を討つ最大のチャンスだったのに・・・

 それでも僕は人を助ける事を優先して・・・


 すみません・・・何を言ってるんでしょうね。

 人を助けるのが第一と判ってはいるんですが・・・


 僕はまだ意識の残っていたしおりちゃんに案内され、この洞窟にたどり着きました。


 ここでできる限りの処置を施し、改めて志村を追おうと思った所で、今度は修二さん。

 貴方が茶髪に銃を突きつけられていました。


 後は説明しなくても、一緒に行動したから判りますよね?」


「ああ、ありがとう。」

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