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4日目―再開

「なっ!?」


何の音もしなかった・・・

だが、間違いなく茶髪は狙撃された。

それは茶髪の即頭部から流れ出た血が物語っている。


マナミを見るが、発砲した痕跡は無い。

なら・・・


「伏せろっ!!

 そして草むらに隠れて逃げるぞっ!!」


俺とマナミは草むらに身を隠すように伏せると、場所が特定できないように草を揺らしながら移動する。


ぐっ・・・肩が痛い。

息が苦しい・・・体に受けた銃撃が思ったより深刻なダメージらしい。


だが、生きる為にもっ・・・


ガサッ・・・ガササッ


後ろからの音が近づいてくる。


「駄目だっ。

 マナミ!!君だけでも逃げるんだっ!!」


声が出ない・・・だが、ありったけの力を込めて叫ぶ。


だが、マナミは逃げるどころか俺のほうに戻ってくる。


「修二さん!!

 生き延びるなら一緒にっ・・・だよっ!!

 私を守ってくれるんじゃないの?」


耳が痛い。

今の俺はマナミを守る事ができない。

それどころかマナミに守られる形になってしまう。


マナミを巻き込むわけには行かない。

走れっ・・・走るんだっ!!


体に力が入らない。

だが・・・それでも走らなければっ!!


ガサササササッ


後ろから茂みの音が大きくなってくる。


・・・・・・ゴク。


こうなったら覚悟を決める・・・


カチャッ


「修二さんっ!!待ってください。

 僕です!!誠です!!」


その声は聞き覚えのある声だった。


「え?」


思わず安心し、力が抜けてしまいそうになる。


だが、油断してはいけない。

自分を鼓舞し、銃を握る手に力を込める。


「なんとか助けられました・・・良かった。」


どうやら、声は聞こえていなかったみたいだ。

・・・だが、状況と内容から考えれば、茶髪は俺を殺そうとしていた。

そこを助けようとしてくれた事に代わりは無い。


それに・・・

マナミのユニークポイントを残す為や、リストバンドが外れた後からゲーム終了時間までにタイムラグが有った場合を考えた場合。

茶髪は癌細胞のような存在になっていただろう。


正直、誠には今も、この先の心配からも助けられたと言える。


「助かった。ありがとう。」


銃をおろし、立ち上がると礼を言う。


「いえ、良いんです。

 今度は間に合って良かった・・・」


今度・・・は?


「誠・・・?」


「修二さん、詳しい話は後で!!

 とにかく今は移動しましょう。

 しおりさんもそこに居ます。」


誠はそれだけ言うと、リストバンドを確認しながら肩を貸してくれる。


「そうだっ、茶髪のリストバンドは・・・」


「大丈夫、拾ってきました。」


相変わらず抜け目無いな・・・


「マナミさん、居ますか?

 一緒に行きましょう。」


「大丈夫だ、出てきてくれ。」


誠に合わせて言うと、マナミが姿を現す。

その顔は緊張している。


「行く前に一つだけいいかな?」


「はい、何でしょうか。」


「何故、茶髪を撃ったの?

 それに銃声は全く聞こえなかった。

 理由を教えて貰ってもいいかな?」


その2つは確かに気になった。

おそらくで結論はつけたが、誠自身から話して貰えるに越したことは無い。


「そうですね。」


マナミの緊張が伝わったのだろう。

誠も硬い表情で答える。


「まずはこれです。」


そう言って長い筒の付いた銃を取り出す。


「聞いた事は無いですか?サプレッサー、もしくはサイレンサーという装置です。」


なるほど、音が無かった理由はそれか。


「それと、撃ったのは彼が危険と判断したからです。

 何か話をしているようでしたが、常に修二さんに銃口が突きつけられていた。

 下手に刺激するような事があれば、命は無かったでしょう。


 なので、銃口が外れた瞬間に一発で命を奪うしかなかった。

 躊躇う事で救えなかった命があります。

 なので、もう僕は・・・躊躇いません。」


その目にほの暗い何かが宿る。


「・・・うん、判った。

 急いでいるのに手間取らせてごめんね。」


「いえ、今朝の件で信用しづらくなっているのは判りますから・・・」


2人が納得したところで声をかける。


「皆、行こうか。」


「うん。」


「はい。」


茶髪・・・できれば1日目に会いたかった。

そうすれば助ける事ができたかもしれなかったのに・・・


マナミ、誠と共に歩き始める。



誠の先導についていき、案内されたのはいつか行った事のある滝の裏の洞窟だった。


「ここです。」


俺たちは誠に案内され、BOXを置いていた部屋へ入っていった。


そこには部屋の隅に詰まれたBOXと、中央に横たわったしおりの姿があった。


「しおりっ!!」


ズキッ


「っ・・・つぅ」


焦って駆け寄ろうとするが、肩の痛みに顔をしかる。


「修二さん、お静かに。

 彼女は危険な状態です。

 出来る限りの手は施しましたが・・・大丈夫かどうかは・・・」


しおりを良く見ると、シャツがばっさりと切れ、血だらけになっていた。


「この傷は・・・」


「ええ、刃物で切られた傷です。

 縫合し、増血剤は投与しましたが・・・」


悲痛な顔をする。

ケンジを助けられなかった事を思い出したんだろう。


「誠・・・何があったか教えて貰えないだろうか?」


「・・・・・・判りました。

 お教えしましょう。

 あなたたちと別れてから何があったか。」


聞いておかないといけないだろう。


残り13時間・・・

その間に、必ず戦わなければならない相手・・・

しおりと・・・おそらく明日香、2人を斬った相手、志村について。

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