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4日目―絶体絶命

後ろから土や石がはじけ飛んで来る。


「くっ!!」


狙いなどつけない。

後ろでに銃を構えると乱射する。


ダンッダンッダンッ


銃を撃ちながらも走る。


ヒュッ


横を跳ねて行った石が、前方の木の隙間を抜けようとした所で弾かれる。


嫌な予感がして足を止める。

すでに銃声は聞こえていない。

マナミはっ!?


マナミが伏せている方を見ると、目が合う。

力強く頷いているところを見ると、怪我はなさそうだ。


きっと追って来ている。


そう思い、マナミに合図して草むらに伏せる。


身を隠しながらも、あたりに落ちている石をいくつも拾い上げる。

相手が茶髪だった場合、位置の特定を困難にさせる事ができる。



カサッ・・・カササッ・・・


葉っぱがこすれる音がする。

音が少しづつ近づいてきている。


こっちは逆に音を立てないよう、気をつけながら草むらから様子を伺う。


僅かに見える頭髪の色は茶色・・・


間違いない!!茶髪だ!!


息を呑む・・・と同時に安堵を得る。

茶髪が相手なら、マナミは手を出さない限り狙われない・・・はずだ。


なら・・・マナミに手を出させずに奴を倒す!!


茶髪と俺、そしてマナミの位置を確認する。


マナミは前方5mぐらい、茶髪は後方10mぐらいか・・・

マナミはまだ気付いていない。


なら、マナミにも気付かせずに先制を行う。


右奥の方向へ、拾った石を投げる。

飛び出すタイミングは、石が落ちたときだ・・・



バサバサバサッ


石が草むらを揺らす。


今だっ!!


草むらから飛び出し、茶髪へと襲い掛かる。







・・・・・・・・・え?いない。


「修二ィ、ワンパターン過ぎだぜぇ!!」


ガンッ


「ぐっ!?」


肩が熱い。

体がもって行かれそうになる。


踏ん張れ。

今倒れたら間違いなく殺される。


態勢を立て直し、茶髪の場所を見ると

茶髪は10m離れた場所から動いていなかった。


「仕舞いだ。」


俺は銃を茶髪に向け、なんとか銃を・・・撃てなかった。


ガンッガンッガンッ


「ぐっ・・・うっ・・・」


3発の銃弾が突き刺さる。


防弾チョッキを着ていたので、致命傷にはなっていないが衝撃が凄い。


意識が持っていかれそうになる。

目の前が暗くなる


しかし、ここで意識を手放す訳にはいかない。

まだマナミが状況を把握しているか分からないんだ!!


俺がここで倒れたら、誰がマナミを守る!?


揺れる頭を震わせ、正面を向く。


「チェックメイトだ。」


眼前に銃口があった。

目の前では、にやにやと笑った茶髪が、俺の眉間に銃を構えていた。


・・・・・・ゴクッ


死を覚悟する。


・・・・・・・・


だが、銃は発射されない・・・



茶髪はにやにやとしながら、口を開く。


「殺す前に確認がある。」


喉が渇く。

美味く口が開かない・・・


「・・・なんだ?」


やっとの思いで口を開く。

今はマナミの存在を茶髪に知らせてはならない・・・


マナミの位置はうまく俺と茶髪の死角にいる。


時間を稼げばあるいは・・・



「ナンバーを言え。」


俺はゆっくりとした動作で左腕を茶髪の目の前に差し出す。


「自分で確かめた方が信用できるんじゃないか?」


これは賭けだ。

ユニークポイントが知られる危険性はある。

だが、俺のリストバンドは押せば押すほど様々な条件が出てくる。


そこに隙が生まれれば・・・


茶髪は笑う。


「そうだな。

 だが、修二の次はお前の番だ。

 下手なことはしないほうがいいぜ?手が滑っちまう。」


「ひっ・・・」


金髪の後ろでマナミが短い悲鳴を上げる。


何故分かった?

場所は死角だった。

音も全く立てていないはずだ・・・

なのに・・・何故?


「はぁ?

 なんだこりゃ?

 何故お前のリストバンドは条件が変化するんだ?」


思考する俺と、驚愕するマナミを他所に茶髪はリストバンドを操作している。


こうなったら覚悟を決めるしか・・・


なんとしてでも・・・マナミだけは逃がす。


茶髪の瞳が不機嫌そうに細くなる。


例え眉間を打ち抜かれたとしても、直ぐに抱きつけばきっと・・・


「修二、正直に答えろ。

 お前、ブランクか?」


・・・・・・ゴクリ


「そうだ。」




とたん、茶髪は頭をかきむしり、銃をあさっての方向に向け連射する。


「がぁぁぁぁぁぁ!!

 チクショウ!!

 やっとだっ!!

 やっとで殺れると思ったのに!!

 てめーがブランクだと!!」


その取り乱しように、俺もマナミも動きが止まる。

ここまで追い詰めておきながら、止めを刺すことが出来ない。

そして、今はまた眉間に銃口を押し付けられているが、撃つ気配は無い。


ある考えが浮かんできた。


NO.8 ブランクプレーヤーの生存


志村かと思っていた・・・

だが・・・茶髪こそが俺を守らなければならないプレーヤーだった。


これなら、マナミ・しおりも助けられる。


「はあぁぁぁぁぁ、クソッ!!

 ・・・・・・仕方ねぇ、修二ぃ!!」


茶髪も考えがまとまったようだ。


「お前の命を売ってやる!!

 価格は・・・お前の賞金全てだ!!」


なるほど、確かに俺が死ななければ賞金が分配される。

その分配分を渡せば命は助ける。そう言う事か。

ならば、交渉は楽だ。


「条件がある。」


「あぁ?お前は黙って俺に差し出せばいいんだよ!!」


どうやら思っていた以上、性格に難有りだな・・・

なら・・・


「飲まないなら俺は死ぬぞ?」


命を掛けて駆け引きするまでだ。

茶髪は俺の目をじっと見つめて来る。

ここで引く訳には行かない。

俺も茶髪の目を見つめ返す。


「・・・ちっ、言ってみろ。」


目を逸らし言って来る。

行けるな。


「俺としおりとマナミ、3人の生存が条件だ。」


「あ゛ぁ?」


「飲んでくれるなら、3人の賞金も渡そう。」


この言葉に茶髪はまた悩み始めたようだ。

いい加減、銃口を放してもらいたいものだが・・・


「それに、賞金だけじゃない、俺は6ポイントのユニークポイントがある。

 これもやろう。」


その言葉に茶髪の眉がピクリと跳ね上がる。


「さっき、あいつも言っていたな・・・

 そのユニークポイントってのは何だ?」


そうか、茶髪はルールを知らないのか。


「ユニークポイントはゲーム終了時、そのポイントに応じて1ポイント1億づつ貰える。」


「追加報酬ってところか?」


「そうだ。

 それを俺は6ポイント持っている。

 つまり、3人を守れば賞金20億+6億だ、悪くないとは思うが?」


茶髪はにやりと笑うと、俺の額から銃口を外す。


「いいぜ、ただし俺を殺そうとするな。

 万が一、俺に銃口が向いたらこの契約は無しだ。」


「分かった。」


「それじゃ、お前等の名前を改めて聞いておこう。

 俺の名前はかんなぎぁっ・・・」


俺の目の前で茶髪の頭が横へスライドした。

そして、そのまま地面へと崩れ落ち・・・頭から血が流れ出た。

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