4日目―死神
『ちゃ~ちゃちゃ~ちゃっちゃっちゃ~♪』
くだらない音楽と共に死神が姿を現す。
『やぁやぁやぁ、待ち侘びていたかい?
今日で最終日だよ。
昨日は皆ご苦労様。
銃撃戦有り、涙有り、感動あり、さいっこうの1日だったよ。
観客の皆もかなり喜んでくれてね~、ユニークポイントも溜まったんじゃないかい?
そうそう、昨日は熱い展開が多かったので、個別にユニークポイントの報告は行わなかったけど、各人に結構ポイントは入っているよ。
いっぱいお金貰ってがっぽがっぽだね~。
僕も羨ましいよ?
残り人数は・・・ふふふ、面白いことになってるね~。
これは・・・こういくと・・・ふふふっ、いいねっいいねっ・・・ぞくぞくしちゃうよ~♪』
なんだ?アナウンス最終だからだろうか?
いつもと同じだが、何かが違う気がする。
『早速最後の仕様について説明するよっ♪
最終日に追加されるのは、ユニークポイントの表示っ♪
目に見えてポイントが判れば、生き残る気力も倍増だねっ♪
そうそう、ちなみに~。
このポイントは奪い取る事ができるよ?
何人かポイント持ちを殺しているから、その分ポイントは加算されている。
ついでに言うと、最終日はユニークポイントは発生しないよ?
ポイントが欲しいなら、他人から奪い取るしかないよ。
ポイントの総額だけ教えてあげるね。
ポイント総数は、16だ。
これが多いと思うか、少ないと思うか、答えは人それぞれだね。
少しでもお金が居る人はそれだけ頑張らないとね♪
あとは~・・・
人数も少なくなってきたし、この島全体を活動エリアにしたら広すぎるよね?
活動エリアも制限しちゃおうか♪
今、生存している人間を中心と最外周に分けてっと・・・
うん、彼と彼女だ。
最外周に居る人を中心に円で囲んでみたよ。
この範囲より外にでると、まずアラーム、警告音が鳴る。
そこを無視し続けると、ペナルティが発生するから気をつけてね♪
残り24時間。
明日のこの時間には何人残っているかな?
たとえば、君の隣に居る子もぎりぎりで裏切ってくるかも?
でも残念。
そこまでまっていても、もうユニークポイントは発生しないんだなぁ。
でも楽しいから、そういったことはいっくらでも期待しているよ♪
皆の健闘を祈って、フレーッフレーッみっんっなっ♪
じゃぁね~♪』
「相変わらず悪趣味な・・・」
思わず呟いてしまう。
思っていた通り、ユニークポイントの奪い合いが可能か・・・
リストバンドを見てみると、左下にP-6と表示されている。
初日に3ポイント、ケンジの分が入ってきているのであれば更に2ポイント・・・1ポイント分がおかしいな。
昨日つけることが出来なかったとかいっていたが、そこで1ポイント発生していたと考えられるのか?
だがこれで、金目当てに人間関係が狂う可能性が出来たな・・・
しおりはポイントを取っていなかった筈。
マナミは4ポイント・・・見せて貰った所、6ポイントに増えていた。
2人で12ポイントか・・・
これは・・・誠達も変わる可能性があるな・・・
これを狙っての事なのか。
・・・くそっ。
とにかく、誠達でも油断が出来なくなった。
更に戦場の縮小も致命的だ。
俺達が最外周の可能性もある。
逃げようと思ったらアラームがなったとか、しゃれにならない。
これは1度可能範囲を調べるべきだだろうな・・・
「マナミ、移動可能範囲を確認したい。
少し確認してくる。」
だが、マナミは首を振る。
「1人じゃ危ないよ。
僕も行く。」
「だが、しおりが来た時に誰もいなければ・・・」
「これだけ待っていて来ないんだ。
何か有ったと考えた方がいいよ。
この周りだけ、しおりちゃんを探しがてら、探索すればいいんじゃないかな?
それにほら。」
マナミはリストバンドを見せてくる。
生存者は変わらず6/15を表示している。
「しおりちゃんも元気でいる。
遅いのには何か理由が有るんだよ。
だから・・・探しに行こう?」
マナミはマナミで中々こないしおりが心配になっているんだろう。
「そうだな・・・ここを中心に少し探してみようか。」
「・・・うん、ありがとう。」
マナミの手をとり歩き出す。
山小屋を中心に最初は円を書く様に。
ある程度周りの状況を確認したら、今度は北へ1時間の時間を決めて歩いていく。
時間になったらまた山小屋の場所へ戻り、次は東、次は西と。
太陽が空高くなるまで探索を繰り返していたが、その間誰とも会うことは無かった。
その為に少し、油断していたのかもしれない。
最後に西へ30分ほど進んだところで、それは起こった。
まず最初は、罠避けに使っていた木の棒に軽い引っ掛かりを覚えた。
「マナミ、ストップだ。」
マナミの歩みを止め、慎重に、木の棒を動かさないように引っ掛かりのあった場所を確認する。
草むらの中を見ると、細いワイヤーが張ってあった。
「これは・・・」
慎重に木の棒を戻そうとすると・・・
ジャキッ
前方から聞こえてくる金属音。
「マナミっ伏せて逃げるんだっ!!」
マナミに指示を出しつつ、木の枝を前方に投げる。
ダダダダダダダダダダダッ
銃声が鳴り始めるのを聞きながら、俺はきた道を引き返そうと駆け出す。




