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1日目―情報

亜希は俺の手を掴み、ずんずんと歩いて行く。


俺は常にMAPを見ながら何処を歩いてきたか確認しつつ歩く。


1時間は歩いただろうか、いきなりリストバンドからアラームが鳴り響く。


ビーッ。ビーッ。ビーッ。


「なっ・・・なんだっ!?」


「あら~?、どうしたのでしょう~?」


俺だけでなく、亜希のリストバンドも鳴っている。


「何処から聞こえたのっ!?」


「お姉ちゃん、あっちっ」


「ちょ・・・ちょっと待って・・・・息が・・・はぁはぁ・・・続かないっ・・・」


遠くから声が聞こえてくる。


女性の声と子供の声、あとは男性の声だ・・・


警戒しようとするがリストバンドからのアラームが止まない。


ボタンを押しても反応が無い。


「くっ・・・亜希、3人来る。この音はどうやっても消えそうに無い。

 警戒だけするんだっ。」


「あら~、まぁ~、どうしましょう~?」


亜希は変わらずにリストバンドを弄っている。


場合によっては俺1人で何とかするしかないな・・・


「誰かそこにいるの?」


女性が声をかけてくる。


「多分・・・同じゲームの参加者だ。」


多勢に無勢だ、なるべく相手の機嫌を損ねないように答える。


「あ~の~、このアラームを~、止める方法って判りますか~?」


亜希は・・・うん、気にしちゃいけない。


「お姉ちゃん・・・」


「うん・・・」


2人の警戒が解けた気がする。


何か囁き合うと、先ほどとは違って、柔らかめの声を出す。


「そこから左側にずっと歩いていってみるといいよ、そうすれば止まるから。」


アドバイスにしたがって、亜希と一緒に左側へ歩いていく。


すると、リストバンドからのアラーム音が止まった。


「どういうことだ?」


「止まりました~、ありがとうございます~。」


向こうの女性・・・年は23ぐらいだろうか、作業着を着た女性が中学生ぐらいの少女と一緒に近づいてきた。


「いえいえ・・・こういう事よ」


俺達がいた場所に来ると、今度は女性達のリストバンドからアラーム音が鳴り出す。


俺には意味が分からない。


女性と少女はアラーム音を鳴らしつつ足元の草むらを探しているようだ。


「はあっ・・はあっ・・・やっと追いついた、如月さん置いてくなんて酷いよ~。」


小太りの男性が後から追いついてくる。年は30過ぎぐらいだろうか、脂ぎっていて不衛生な感じがする。


同じようにアラーム音を鳴らしつつ、女性達と同じように草むらを探し始めた。


「あっ、あったよ。」


すぐに男性は何か見つけたようだ。


ダンボールほどの箱を取り出し、少女がスイッチを押すと、アラームが止まった。


「実はこういう理由だったのよ。」


女性は俺に箱を渡してくるが、意味がわからない。


「すまない、意味が判らないんだが?」


女性は笑うと、


「そっか、そっちのルールだとまだ判らないんだね。

 あのアラーム音は、食料や武器が入った箱が3m以内にあると鳴るんだよ。

 箱の横のスイッチを押すと、箱のロックが解除されてアラームが止まるって仕掛けなの。」


なるほど、そんなルールがあったのか・・・


「私達が箱のロックは解除しちゃったけど、先に見つけたのはそっちだから、中身はそのまま2人に渡すね。」


「そんなっ、如月さん、見つけたのは僕たちなのにっ、せめて半分ぐらいはっ。」


「斉藤さん、申し訳ないけれど、ロックさえ解除できれば良いのよ。

 次のボックスを探すし、3つほどストックは置いてきてるからあまり欲張らなくて大丈夫と思うわ。」


少女は女性―如月の言い分を通すようにコクコク頷いている。


「でも、敵になるかもしれない人に武器を渡す真似は・・・」


「斉藤さん・・・、きちんと話せば皆判ってくれる筈です。」


立場的には如月の方が強いのだろうか、斉藤と呼ばれた男性は尚も言い寄ろうとするが、諦めたように俯いた。


「あの~、ほんとうに~、いいのでしょうか~?」


さすがに亜希も戸惑っている。


多少は空気が読めるみたいで少し驚いた。


「うん、大丈夫。こっちの話に巻き込んじゃってごめんね。」


「いや・・・でもいいのか?」


さすがに斉藤の前だ、喜んで貰う訳にも行くまい。


「大丈夫大丈夫。2人共あの様子じゃ箱について判らないみたいだし、水すら飲んでないでしょ。

 中に水も入ってるはずだから、飲んで落ち着くといいよ。」


俺は言われたとおり、箱を開けてみる。


中には水のペットボトルと携帯食料。缶詰と・・・・・・・そして銃が入っていた・・・・


「これ・・・・はっ・・・」


言葉に詰まってしまう。


その表情を見たのだろうか、斉藤は如月に詰め寄っている。


「如月さんっ、あの表情見てごらん、きっと当たりが入っていたんだよ。今からでも奪い取らないとっ。」


だが如月は以前として、


「斉藤さん、あの箱は2人の物。そういったはずですよ。」


「あら~、これは~、銃ですか~?」


亜希が銃を取り出すと、斉藤と如月が「ひっ」と息を呑む音が聞こえた。


どうやら、2人共まさか銃が入っているとは思っていなかったようだ。


「あらあら~、これは本物なのでしょうか~?」


亜希は・・・相変わらずブレない少女である。


「亜希、いいか、その銃を箱に戻すんだ。」


あの銃を俺に向けられたら・・・


震える声で指示すると、亜希は従ってくれた。


斉藤は如月に一生懸命訴えている。


だが、俺は銃をあの2人に渡すつもりはない。


最悪、俺の護身の為に持っておくつもりだ。


俺はこっそりと箱の水を取る振りして、2丁あったうちの片方をズボンの後ろポケットへ入れた。



亜希にも水を渡してやると、俺と亜希はペットボトルを空け、水を飲んだ。


かなり緊張が続いていたからか、一気に半分ぐらい飲み干しただろうか。


水を飲んで一息ついた頃に如月は声をかけてきた。


「先に行っておくけど、私達はあなた達に危害を加えるつもりはありません。」


「ああ、この箱を譲ってくれた事である程度は判っている。」


そういうと、如月はほっとしたように銃を見てから緊張していた表情を少し崩した。


「そう言ってくれて助かるわ。

 良かったらなんだけど、ナンバーまで教えて欲しいと言わないわ。

 ルールだけでも交換できないかしら?」


亜希と顔を見合わせる。


亜希は?と首をかしげる。


確認は取らなくて良さそうだな。


「こっちも把握していないルールが多い、ナンバーは簡単に明かせないが、ルールの交換はしておきたいな。」


そう言って俺と如月はそれぞれルールの紙を持って見合わせる。


流石に5人分揃えば大体のルールは埋まった。


現在把握したルールは以上だ。



1、ゲーム日数は4日間となる。


1、賞金総額は20億円。

  生還した人数で賞金を割り振る形となる。


1、行動に応じてユニークポイントが発生。

  1ポイントに付き、賞金+1億円追加報酬。


1、参加人数は15人。 


1、ゲーム範囲外への逃亡はペナルティ発生。


1、食料、装備の3m範囲内ではブレスレットが反応。


1、開始24時間以内はセーフティロック状態。 

  他者へ危害を加えたものはペナルティ発生。


1、島内でのセーフティエリア内での戦闘禁止。 

  戦闘を行った際、ペナルティ発生


1、1人だけナンバリングの発生しないブランクプレーヤーが存在する。

  ブランクプレーヤーは最終日2m以内の人間を生存条件の可否に関わらず、ブレスレットを外すことができる。


1、個人ナンバーに適応した生存条件があり、生存条件を満たさなければ最終日にペナルティ発生。


1、クリア条件 


 NO.1  全プレイヤーの殺害

 NO.2  リストバンド5個を集める。

 NO.3  最終日に3人以上のプレイヤーの生存

 NO.4  食料・装備ボックス15個を集める

 NO.5  地図内にあるポイントエリア全てへの到達

 NO.6  ブランクプレーヤーの殺害

 NO.7  最終日までの生存

 NO.8  ブランクプレーヤーの生存

 NO.9  地図内にあるポイントエリア全ての破壊

 NO.10 食料・装備ボックス15個の破壊

 NO.11 3人以上のプレイヤーの殺害

 NO.12 リストバンド5個の破壊

 NO.13 NO.1プレイヤーの殺害

 NO.14 シークレット


後1つだけ判っていないルールがあるが、ほとんど判っただけでもかなり楽になってくる。


後ろから亜希の声が聞こえてくる。


「あ~の~、修二さん、ごめんなさいね~。」


ドカッ


背中に打撃を受ける。


一体何が?・・・・・・


後ろを振り返ると、亜希が俺を殴っているのが見えた。


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