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2日目―強襲

「よし、4個目見つけたぜ。」


木の陰からボックスを担いだケンジが姿を見せる。


「これで・・・あと1つ・・・」


しおりがボックスを開錠し、アラームが止まる。


「ふぅ、今回もケンジ君に負けたかぁ。なかなか見つけられないな。」


マナミがぼやいている。



あれから6時間が経過した。


他のプレイヤーには会えていないが、ボックス集めは順調に進んでいる。


周囲を警戒しつつ行っているので、初日のように乱獲は出来ないが、それでも十分集まってきている。


「これ・・・入ってた。」


中を調べていたしおりが2丁の拳銃を俺に見せてくる。


今回は当たり・・・だったらしい。


銃はかなり出にくいようだ。


入っているときは2・3個入っているのだが、入っていることは少ない。


「ありがとう。銃はケンジとマナミでもって持つといいかな。」


俺は今隠し拳銃が1つと投げナイフ5個を装備している。



今日は4つのボックスをあけ、見つかったものは


投げナイフ×5個(俺装備)

スタンガン(マナミ装備)

コンバットナイフ(ケンジ装備)


後はケーブル×4個

 食料一杯

 着替えそれなり


と言った所だろうか。


着替えはそれぞれのサイズ1着分を持ったが、他はそのまま置いてきている。


大抵はめぼしいものだけ取り出して、残りはバックへ詰め替え別の場所へ隠してからケンジがボックスを壊す。


という繰り返しだろうか。


今回も同じようにケンジがボックスを破壊する。


「ふぅ、これで8つ目だ、後7個か後半分を切ったな。」


とため息をついている。


このペースなら4日目までには2人とも間違いなく外せそうだ。


地図を確認し、次のセーフティエリアを目指す。


「次はこっちを目指しつつ、ボックスを探そう。」


「うん」


「オッケー」


「んじゃ、俺が先を歩くな。」


歩く時は必ず、ケンジ・マナミ・しおり・俺の順になっている。


これなら前をケンジが、右をマナミが、左をしおりが、後ろを俺が警戒する事ができる。


警戒しながら動く為、移動時間はかなりかかるが、安全を確保する事こそが大事だ。





約一時間かけて1kmを歩くと、先ほどのボックスを中心に演習をなぞるように歩き回る。


ボックスが15m以内に近づくと、リストバンドからアラームが鳴り響くので、更にぎりぎりの所を回っていく。


一定間隔に1人づつ残り、鳴らないぎりぎりのラインを特定すると、後は中心に向かって歩きながらボックスを探すだけだ。


「ふふふ・・・今度こそ僕が見つけたっ!!」


今度はマナミが見つけることが出来たようだ。


ボックスは15個目、これでしおりのリストバンドは外すことができるようになる。


皆でマナミの方へ近づいていくと、マナミの来た方向から、


パァン・・・ピシっ


銃声が弾け、マナミの正面5cmの所にある枝をはじけさせる。


銃弾に驚いた拍子にマナミはボックスを手放してしまう。


「マナミ!!気の後ろに隠れるんだ。ボックスは捨てていい。」


叫んだとたん、俺のいる木に銃弾が突き刺さる。


・・・マズイ、相手の位置がわからないのに、こっちはアラームで位置がバレている・・・


狙われている今、ボックスは諦めた方がいいだろう。


しおりは最後の一個だというのに残念だ・・・


「皆、木を陰にしつつ逃げるんだ。

 マナミの来た方向から撃って来ている。

 ボックスは諦めるんだ。」


叫ぶたびに後ろの木に銃弾が突き刺さる。


俺が狙われているのか?


いや・・・もしかして・・・


俺はこっそりと下に落ちている石を拾い集めると、明後日の方向へ投げる。


「行くぞ!!」


そう言って俺は石が地面に落ちるのに合わせて動き出した。


銃弾は石の落ちた明後日の方向へ放たれる。


・・・思ったとおりだ。


3人は銃弾と逆の方向へ走る。


・・・ん?マナミがいない・・・


振り返ると、マナミは木の影に隠れたまま動いていない。


1発目の銃弾はマナミの目の前を撃った。


腰を抜かして動けない可能性がある。


そう思うと、俺は方向を変えマナミの元へ駆け寄る。


銃声が俺のいた位置に突き刺さるが、走り続ければ当たらない。


あたらない限りは大丈夫だ・・・


「大丈夫か?」


マナミの側に駆け寄り、無事を確かめる。


するとマナミは凄い勢いで俺に抱きついてきた。


「ぼ・・・ボク、生きてるよね?・・・・どこも・・・撃たれてないよね?」


彼女は恐慌に陥っているようだ。


身体を見てみるが、何処も撃たれたようには見えない。


恐怖に身体が収縮しているだけだろう。


「大丈夫だ、何処も撃たれていない。」


「ホント!?・・・よ・・・よかったぁ・・・」


「だが、アラームがなっている以上安心は出来ない。走れるか?」


先ほどから隠れている木に銃弾が何回も打ち込まれている。


このままでは木も持たないかもしれない。


だが、マナミは青い顔のまま首を横に振る


「無理・・・ごめん・・・力が入らない・・・」


腰が抜けているか・・・


ならば仕方ない。


「急いで逃げる。しがみつけ。」


俺は木の葉と石を巻き上げると、マナミを抱き上げた。


石が音を立てるのに合わせ、必死で木を背になる様に気をつけつつ、走り抜ける。


アラームが消えたとき、周りで石が落ち葉を叩きつける音が聞こえる。


ケンジとしおりの援護だろう。助かった。


俺は音にまぎれるように体を大きな木の後ろに隠した。


息を潜め、マナミに覆いかぶさるようにして身を低くした。


様子を伺っていると、銃声が何発も聞こえる。


幸いな事にどの銃弾も明後日の方向に飛んだようだ。


そのまま息を潜め、時間が過ぎる。


5分・・・


10分・・・


15分・・・


そろそろ大丈夫かと思っていると、ボックスの落ちたあたりに銃を構えたままの男性が歩いてきた。


かすかに声が聞こえる。


「ちっ、逃げやがったか・・・」


遠目だが、身長は高め、かなり筋肉質だ・・・

短い茶髪を立てて、顔は・・・駄目だ判別がつかない。


彼はルールをしっかり把握しているように見えないが、問答無用で銃を撃ってきた。


彼はNO.1(全員の殺害)プレイヤーなのかもしれない。


男のアラーム音が消えた。


どうやら男はボックスをあさっているようだ。


中からケーブルを取り出すと、リストバンドに近づけている。


・・・様子を見ていると、おもむろにケーブルを投げ捨て踏みつける。


「ちっ、ハズレかよ。」


ハズレとは何だろうか・・・


俺の荷物の中には今までに見つけたケーブルが何本も入っている。


後で試してみるか・・・


男は今度はボックスから食料と水を取り出すと、おもむろに食べ始めた。


今なら銃を完全に下ろしている・・・


殺すなら今しかない・・・


だが、人を殺す・・・その覚悟が持てない・・・


気づかずに興奮から息が荒くなっている。


息がくすぐったかったのだろうか、マナミが身をよじる。


カサカサッ


かすかな木の音がすると、男はどこからか銃を取り出し俺達の隠れている目の前に銃弾が突き刺さる。


かすかに焦げた匂いが鼻に付く。


おかげで頭が芯まで冷えた・・・


無理だ・・・少しでも動いたら殺される・・・


2度目以降の銃声は聞こえてこない。


安心して下を見ると、マナミの焦点が定まっていない・・・


何かマズイ気がする・・・


ここで悲鳴とか上げられると、もはや蜂の巣だろう・・・


マナミの目を見て安心させようとするが、こっちを見ていない。


もし悲鳴をあげられた場合・・・


俺とマナミは死ぬだろう。


ケンジとしおりが俺達を見捨て、逃げ出してくれればいいが、それが出来る2人ではない・・・


下手をすれば全滅もありえる・・・


マナミは大きく息を吸い始めた。


これは悲鳴の前兆だ・・・


ヤバイ・・・


・・・・・・・・・


俺は意を決すると、マナミの開かれた唇を俺の唇でふさぐ。


息苦しいだろうが、ここで悲鳴をあげられる訳には行かない。


腕も足も動かす訳には行かない。


ならば口で口をふさぐしかないだろう。



マナミは驚きの拍子か、焦点が戻ってきて、俺を見つめると、スッと目を閉じた。


どうやら落ちた・・・か。


いや、今はその方が良さそうだ。


ふぅ・・・助かった。


後は男が立ち去るのを待つだけだ・・・



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