1日目―死亡者数
「ケンジ君には言ってなかったね、僕のナンバーは7 4日間の生存 が条件になっている。
どちらにしても修二君と一緒にいれば最終日にはリストバンドから解放されると思う。
これから4日間よろしくね。」
ん?
「お・・・おう、なんだこいつも一緒に行く事になっていたのか。
そっちも教えておいて欲しかったんだが。」
「いや、俺も始めて聞いた・・・」
「・・・私も・・・」
「うん、僕も始めて言ったよ?」
「「「・・・・・・」」」
あまりの唐突さに言葉が出なくなる。
「本当はここでずっと篭っていようかと思っていたんだけどね。
ここにいても何をされるか判らないし、それなら君達と一緒にいたほうが生存率は上がりそうだったからね。
それに君たちなら信用できそうだ。
修二君以外はだけどね。」
ニヤリと俺のほうを見て笑う。
俺としてはコイツの事も信頼できるか測りかねるが・・・まぁ、悪い事をしそうなやつには見えないか。
でも一言だけ言い返しておこう。
「信頼できない俺と一緒で大丈夫なのか?」
こっちも悪そうな顔で返してやる。
「いや、信用は出来そうに無いけど、信頼はできるから大丈夫。」
・・・何が違うんだか・・・
つい頭を抱えてしまう。
「うん・・・修二は・・・信頼できる人・・・」
しおりが慰めてくれるので、頭を撫でてやる。
相変わらず頭を撫でられると、気持ち良さそうな顔だなぁ・・・
「んでさ、何で村上さんのいる前でブランクって打ち明けなかったんだ?
村上さんなら喜んで一緒に行動してくれたと思うんだが?」
ケンジは違和感を感じていなかったのか・・・
なんと説明するべきだろう。
「あの人・・・何か・・・嫌な感じ」
「うん、あの人は信頼も信用もできないタイプだったね~。」
ふむ、この2人は違和感を感じ取ってくれていたか。
「2人の言うようになにか違和感を感じてな。
信用してナンバーを打ち明けたら何か取り返しがつかない気がしたんだ。
うまく説明できなくて悪いな。」
3人の言葉を聞いてケンジは考え込む。
「あ、やっぱり修二君達も気づいてたんだ?
明日香も村上さんについて行くって言った時止めたんだけどね・・・
まぁ、彼女の選択だから止めようがないけど。」
「よく判らんが、そう判断したから命優先にしたって事だな?」
「その通りだ。」
「その結果、村上が探しに言った挙句死んだとしてもだな?」
「ああ・・・」
「そうか・・・
もう1つ聞きたい。」
「何でも聞いてくれて構わない。」
「お前がブランクであるなら、NO.8だって説得すれば問題ないんじゃないのか?」
「それは確かに考えた。
だが、各クリア条件はルールに書いてあるだけで終っていない。
そこで思ったんだが、NO.8のクリア条件とブランクの特殊ルールが競合したらこのゲームは面白くなくなるんじゃないか?」
「面白く・・・だと?」
「ああ、よく考えてみてくれ。
ここまでの大規模な仕掛け、15人を攫って来た手口、さらに最初にこれはゲームと言っていた。
ゲームと言うのであれば、俺達を監視している人間がいると考えられる。
それにユニークポイントって言うのは何だ?
行動が評価されるって言うのは誰に評価されると言うんだ?
これは完全に俺の考えだが、このゲームは見ている奴がいる。
そしてゲームは楽しくなければすぐに飽きられる。
だったら、趣向を凝らしている筈だ。
例えば・・・24時間以内に他者を攻撃してはならないというルールを知らず、NO.14の行動に対し人はどのような行動を起こすか。
そしてその行動でペナルティが発動する。最低でも3人以上の目の前でな。」
ケンジは押し黙ってしまった。
「だから、本格的に信用して貰うなら、リストバンドのナンバーを見せるだけでなく、クリア条件も見せた方が良いって事だね。
こんな風に。」
そう言ってマナミはクリア条件を見せてくる。
【最終日までの生存。 但し、他人の殺害も禁止。】
やはりクリア条件はルール通りじゃないって事が立証された訳だ。
「ん・・・」
倣ってか、しおりもクリア条件の書かれたリストバンドを見せてくる。
【食料・装備ボックス15個を集める。 開封した時点で収集したものとする。】
「なるほど・・・俺のも見せておくか。」
ケンジも見せてきた。
【食料・装備ボックス15個の破壊。 壊れている状態からの破壊は不可とする。】
2人は備考と言う感じなのか。
「俺はどう見せればいいのか・・・」
リストバンドを見せ、隣のボタンを何度も押してみる。
「条件もナンバーも表示されないみたいだが?」
「ああ、だからブランクなんだろう。」
「へー、ホントだ、地図と時計しか表示されないんだ。面白ーい。」
マナミも俺のリストバンドをいじってみている。
すると、メロディーが流れ出す。
『ちゃ~ちゃちゃ~ちゃっちゃっちゃ~♪』
マナミはびっくりしてリストバンドから手を離す。
だが、メロディーがなっているのは俺のだけでなく、他の3人からも鳴っていた。
『やぁやぁ、皆さんごきげんよう。』
死神が表示される。
『昨日一日はご苦労でした。
残り3日に向けて十分に休養は取れたかな~?
あと1時間でセーフティルールは解除されるよっ。
皆はいい武器が見つかったかな?
見つからなかった人も大丈夫。
まだ一杯ボックスは残っているからね。
それにまだたどり着いた人はいないけど、ボックス以外にも武器は色々なところに用意されているからね。
・・・おやおや~、24時間経っていないというのに、もう人数が減っちゃっているのかな。
いち・・・にい・・・さん・・・し・・・
早いね~、もう4人も死んじゃったんだ。
ということで残り11人・・・おっと大サービスだった。
残っている人数を言ったら緊張感も薄れちゃうからねっ。
口がすべるとま~た怒られちゃうから、ガイダンスもこれぐらいにしておいた方がいいよね~。』
今までの口調から一変し、
『それではこれからが本番だ、残り3日間のデスゲーム・・・存分に楽しませてくれよ。』
画面が暗くなったリストバンドをまだ見ていた。
死亡者が4人・・・だと?
俺が知っているのは、亜希と如月と斉藤。
あと1人誰かが死んだ事になる。
一体誰だ・・・?
今まで会った人数を思い出してみる。
しおり、マナミ、ケンジの3人が一緒に行動をする事に。
吉田、志村、山田は最初の遭遇時に去っていった・・・志村は1人で行動していたのが思い出される程度か。
村上、明日香は山小屋から離れた場所で相談している時に出て行った。
ハルカは食料や銃器を持って出て行った。
11人中9人に会っている事になる。
この9人の内1人で行動しているのは志村かハルカ。
もしくは会った事の無い2人か・・・
いや・・・今考えても仕方ないだろう。
まずはセーフティ解除まで残り一時間を切っている。
早いところボックスを探し出し、しおりとケンジのリストバンドを取り外すべきだろう。
俺は荷物をまとめると、
「開始まで残り一時間を切っている。
話は歩きながらでもしよう。
まずは一個目のボックスを探しに出ようと思っている。
3人もそれでいいか?」
3人が頷くのを確認すると、俺達は山小屋を出てボックスを探しに出た。




