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孤高の魔術士  作者: 雪の里
第一章 『少年の決意』
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第五節 模擬戦再発

 前回までの話が回想。


 そして現在。


 ユリナがメンバーを呼び、全員がそろったところである。


「だから、実力を証明しろって言ってんだよ!!その耳は飾り物か!?」


 怒号が辺り一帯にこだまし、何事かと通行人がこちらを見てきた。


 今怒鳴っているのはユリナのPTメンバーである。


「まぁまぁアーニス、少し落ち着きなよ」


 アテナが落ち着かせようとするが、全く効果はないようだ。


 それどころか彼の紅蓮の瞳は、アテナをにらみ付ける。


 この険悪な雰囲気が、取り返しの付かないところまで行くかと思われたときに、新たな人物が場を沈める。


「アーニス、いい加減にしないとお仕置きですよ」


 その台詞を聞いた途端、目に見えてアーニスの顔が青ざめていく。お仕置きというのは、それほどまで

に恐ろしいのだろうか?


「オーレリアの言う通りよ。私に勝ったんだから、実力は確かでしょ?」


「確かにそれはそうだけど、こいつの動きの癖とかわからなかったら、連携の取りようがないだろ!?」


 アーニスは、幾分かとげの取れた声で言う。


 それに対して、ユリナは少し考える仕草をする。


「たしかにそれはそうね。……よし、じゃあ裏に広場があるから、そこで模擬戦をしてみたら?」


「まぁいいけど。次は見物客無しにしろよ」


 ソルトが言うと、アテナが笑って答える。


「わかってるって。どうせ今からじゃ客だってあんまり集まらないからしても意味無いよ」


 その一言を聞いてほっとする。


「じゃあ、店の裏に行こう。模擬戦開始はいまから10分後でいいな?」


 ソルトがそう聞くと、アーニスは短く答える。


「ああ」


 なぜアーニスが不機嫌なのかもわからないが、この模擬戦も砥石採取の準備の一環だと(無理矢理)思うことで、ソルトはどうにかモチベーションをキープした。


 そして、店の裏へと向かった。





 アーニスが、自分の大剣に切れなくなる魔法をかけている。


 かけ終わったのを確認し、声をかける。


「じゃ、始めようか」


 ソルトがそう言うと、訝しげにアーニスが言う。


「お前は剣を使わないのかよ?」


「ああ、使わない」


「……後で後悔しても遅いからな」


 どうやら、舐められていると勘違いしたようだ。


 実際は、大剣の一撃を細い、片手半剣では受けきれないからという理由が有るからなのだが、剣を使うまでもないということも事実だ。


「んじゃ、そろそろ始めるよ~」


 アテナが言うと、無意識に戦闘態勢に入っていく。


「よ~い、どん!」


 声が聞こえた瞬間、魔法を詠唱する。


 一瞬おくれてアーニスが雄叫びを上げながらつっこんでくる。


 アーニスの大剣が、空気を引きちぎるような音を立てながら迫る。


 そこで、魔法が完成する。


 迷わず、魔法を発動する。


 圧縮空気弾が、アーニスの右手から飛来する。


「ぐあっ……!!」


 アーニスの体勢が崩れ、そこに追い打ちをかける。早口で、正確無比に呪文スペルワードを唱えながら、拳を脇腹に叩きこむ。


 だが、ソルトより体格の良いアーニスにとどめをさすことができず、切り上げが来るが、再び飛来した圧縮空気弾が、大剣をはじき飛ばず。


 アーニスは大剣を弾き飛ばされてもなお、ソルトに向かって蹴りを繰り出す。


 が、呪文を詠唱していないのに、突然ソルトの前に魔法陣が現れ、中央から放たれた電撃が、アーニス

を戦闘不能に追い込む。


「ソルトの勝ち~」


 アテナが楽しげに勝利を告げた。

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