第二十五節 『魔窟の森』
「ここが…『魔窟の森』か…………」
ソルトは禍々しい雰囲気を帯びた森の前にいた。
『魔窟の森』
それがこの場所の名前だ。
人間界と他の他の種族が住む世界を分ける死の森。
強力な魔物が多数すみ、通ることはほぼ不可能。
年に二回ほど取引のために大商団が通過するが、全滅したという話を聞いたのは一度や二度ではない。
「やってやる」
自分の実力を測るために来た。
ここを抜けることが出来るのか? それが知りたかった。
森の中へ進入する。
*-*-*
普通の森よりも少しくらい所だ。
だが、あちらこちらから異常な魔力が伝わってくる。
「……ん…………」
瞳の力が発動する。
魔物の位置が、脅威度がわかる。グラフとして表示される。
瞳は、迫り来る敵を映し出していた。
ソルトの周りを多数の気配が動き回る。どうやら、すべての魔物がソルトを狙っているらしい。
「この程度で死ぬようなら、あいつに勝てるわけがない」
だから、傷一つ追わず勝たなくてはならない。だがその決心をあざ笑うかのように気配の数は増えていく。
「ガアァァ!」
飛び出してきたのは狼のような魔物だ。体調は2mほどもある。その後ろに続き次々と異形の化物が飛び出してくる。
それに対し魔法を放ち、剣で切り裂き、拳で頭蓋骨を割る。
すべての攻撃を紙一重でかわし、一撃で敵をほうふる。
だが、ソルトは自分の動きに満足していなかった。
否、ソルトの中に住む化物が満足していなかった。
――マダダ、マダ速ク、鋭ク動ケルハズダ! 満足スルナ! マダダ、マダ、マダ……
「ああ、解ってるよ」
小さくつぶやく。
そして、更に動きの無駄をなくす。
生き残るための戦い方ではなく、より多くの敵を殺すための動きへと変える。
自分は人間ではない、化物を殺す機械だ。
そう言い聞かせる。
苛烈な戦いの焔が彼の心を焦がし、堅く黒く染めていく。
ただ、機械的に敵を倒す。
いつの間にかそれ以外の思考は消えていた。
極限の思考の中で、己の力を感じていた。
思考が白く染まる。何もかもがどうでも良くなってくる。
『あはははははは…………!』
あのときのように笑いが漏れる。
それは、もうソルトの声ではなかった。
気づけば、無限にいると思われた魔物がすべて地に伏せていた。
『もっとだ、もっと力が、力がいる!!』
ソルトは次の戦場を求め歩き出す。
彼は、我を失っていた。
しばらく更新出来なくて済みませんでしたm(_ _)m
今回は、ソルト君が少し壊れてます←大丈夫かな!?
まあ、そろそろ新キャラが登場します!
性格区分が難しいです。
あと、最近ソルトとユリナしか出て無くてごめんなさい
まだ続きますのでどうか暖かく見守って下さい




