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孤高の魔術士  作者: 雪の里
第一章 『少年の決意』
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第二十節 『天剣』と『破邪の衣』

 ユリナは、細剣レイピアを握り、片手で構える。


 これが神器の本当の力だ。

 

 『天神の盾』の能力ちから

 それは、莫大な犠牲の代わりに神に近づくことが出来る魔法。

 今回は、盾に刻印された最上級の防御魔法を糧として発動している。

 人体への負担も大きいため、そうとうなリスクがある。

 しかしその異常な力は、天を切り裂き地を砕く。

 故に、こう呼ばれる。

 『天剣ヘヴンリィソード

 神器に宿る最強の力。

 そして、ユリナが纏っている白銀の衣は、こう呼ばれる。

 『破邪の衣』

 『天剣』と『破邪の衣』は、二つ装備して初めてその本領を発揮する。

 この二つの力が、この武具を神器たらしめていたのである。


 ユリナは何とも言えない感覚に陥っていた。


 手に持った神器『天剣』は、神々しいオーラを放っていた。


 柄に埋められている宝石から、純白の光の奔流が吹き出し、切っ先の方に向かって流れて行っている。


「待っててね、ソルト君」


 ユリナは小さくつぶやいた。


 剣を握る手にわずかに力を込める。


 それに呼応するかのように光の奔流が一度強く躍動した。


「イヤァァァァァァ!!」


 威勢のいいかけ声とともに細剣を前に構え、地を蹴る。


 ユリナは一条の光となって疾駆する。


 こちらに振り向いた悪魔に向かって突きを放つ。


 銀光を伴い放たれた突きは、悪魔の甲殻を貫通した。


「グアァァァァァァ!?」


 驚いたような叫びとともに、分裂する斬撃を放ってくる。


 だが、神速の突きがそれらすべてをはじき、甲殻を貫く。


「オオォォォォォォォォォ!!」


 悪魔は最後の力を振り絞り放ってきた大上段斬りを、細剣を軽く振っただけで弾き返す。


 ユリナの細剣を持っている手が霞んだ。


 刹那、大剣を持っていた悪魔の右腕が宙を舞った。


「グギャァァァァァァァァ!?」


 絶叫が辺りに響く。


 だが、それが全く聞こえていないようにユリナの動きは止まっていない。


 右手を限界まで引き絞り、ソルトの『貫通破砕ピアーシング・スパイク』と非常に酷似した動きで技を放つ。


「『貫通極針ピアーシングニードル』!!」


 最強の突きが、悪魔の胴体に大穴を開ける。


 だが、『貫通破砕』よりも、範囲が狭い。


 『貫通破砕』が敵を消し飛ばす事を目的としているのならば、『貫通極針』は貫くことを重きにおいている。


 非常に似ていて、全く違う性質を持つ技だ。


 貫かれた衝撃で宙を舞っていた悪魔の体が、地面に付くよりも早く燃え尽きるようにして消えた。


 帝門内部の中央にあった転移陣が、青白く輝き始めた。


 しかし、誰1人として歓声を上げる物はいなかった。

ついに目標にしていた一万PV突破しました!!


読んで下さった皆さん、本当にありがとうございます。


まだまだ書き続けますので、ぜひ読んで下さい!!

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