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孤高の魔術士  作者: 雪の里
第一章 『少年の決意』
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第十五節 出陣の知らせ

 ソルトは武具屋で、砥石をミズキに渡していた。


「すばらしい砥石ですね。これなら神器も研げるでしょう」


 その言葉にソルトとユリナの顔が明るくなる。


「研ぐのに、どれくらいかかるんだ?」


「そうですね……。だいたい、3日くらいでしょうか」


「3日かぁ~」


 長い。


 ソルトはそう思った。


 PTを組む前なら、2日以上街にとどまっていたことはほとんど無かった。


 何をしようかぁ~。


 と、ぼんやり考えていると、ユリナが肩を叩いてきた。


「よかったじゃない。これで今まで以上の実力が発揮できるってもんでしょ?」


 それにソルトは、あはは、と乾いた笑いを漏らす。


「でも、その間何しようかなぁ~」


「道具でもそろえれば?」


「いや、結晶系のアイテムは、ストックが有るから大丈夫なんだよ」


 そんな無駄話を繰り広げてると、恐る恐ると言った感じでミズキが発言した。


「あの~今から作業に入ろうと思うんですけど、お二人はまだここにおられますか?」


「いや、いいよ。それでいいだろ?」


「ええ。じゃあ、私たちはコレで」


 そういって、その日は解散した。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



 三日後、ソルト達は再びシーナ武具店に集まっていた。


 店の奥から、ミズキが出てくる。


 今日は、シーナも一緒のようだ。


「お待たせしました」


 彼女の声には張りが無く、目の下にうっすらとクマが浮かんでいる。


 どうやら、徹夜で作業をしてくれていたようだ。


「お披露目は、店の裏にある小さな演習場でやるから付いてきてくれ」


 シーナはそう言うと、身を翻し、店の奥へと入っていく。


 ソルト達もあわててそれを追った。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「さあ、こちらです」


 その声につられてふらふらと剣がおいてある台座に近づく。


 剣は鞘に収められており、刀身を見ることは出来ない。


 だが、剣から漂ってくる気配は別物だ。


 剣を抜かずとも、凄まじい切れ味がソルトには想像できた。


「どうぞ。剣を抜いてみて下さい」


 ソルトはそう促され、恐る恐る剣を手に取る。


 久しぶりの感触に、腕がうずいた。


 柄に手をかけ、一気に引き抜く。


 シャラァァァン! と、小気味のいい音とともに美しい刀身が露わになる。


「ああ……」


 ソルトの口からは、思わず感嘆の声が漏れていた。


 研がれた剣は、それほどまでに美しかった。


 純白だった刀身は、うっすらと青みがかった色に変わっており、透けるような質感を醸し出している。


 その色は、砥石の色と驚くほど似ていた。


「綺麗……」


 横からユリナの声が聞こえる。


 ミズキは満足そうな顔をしており、シーナも見とれていた。


「振ってもいいか?」


 ソルトがそう聞くと、ミズキが微笑む。


「ええ。それは貴方の剣ですから」


 その答えを聞いて、両手で剣を握る。


 下段に構えると、辺りを静寂が包む。


「はぁっ――!」


 気合いの入った声とともに、大上段斬りを放つ。


 ゾンッ!! 恐ろしい音とともに、斬線上の地面に斬撃の痕が刻まれ、5m程先にあった壁に斬撃が食い込む。


「なっ……」


 あまりの切れ味に、言葉を失っていた。


 隣で同じように絶句しているユリナがどうにか質問を絞り出す。


「今の、無系統斬撃魔法を使ったの?」


 無系統魔法とは、魔力をそのまま放つ魔法であり、武器の補助などで使われる。


 確かに、無系統魔法を使えば、先ほどの現象も説明できるだろう。


 だが、彼はいつもの癖で剣に魔力は込めていたが、魔法が発動するほどの量ではなかった。


 つまり、剣から漏れ出た魔力で、あの威力だと言うことだ。


 『神器アーク


 その威力にソルトは声が出せないでいた。


「どうやら、大丈夫なようですね?」


「あ、ああ。ありがとう。本当に助かったよ」


「まさかここまで切れ味が良くなってるとは思わなかったけどね」


「まあ、良かったじゃないか。これで、依頼は終わりだろ?」


 そう言って、会話しているソルトとユリナの元に、二羽の紙で折られたような鳥が飛んできた。


 その鳥は二人の所まで飛んでくると、空中で形を便せんへと変えた。


「伝書鳩? 誰がこんな物を……」


 つぶやきながら開けると、中にはこう書かれていた。


               連合任務についての連絡


       明日、第240層の転移陣へとつながる門を攻略することが決


      定した。


       出発は明朝。各自装備を調え、連合本部に集合すること。


       また、個人宛のメッセージであるが、君は今日の夜までに連合


      本部の執務室に来て欲しい。伝えたいことがある。


       240層の帝門守護獣は、今までの傾向から苦戦すると考えら


      れる。


      最大限の警戒をして望んでくれ。


                           連合長 ヨハネス



「明日は忙しくなりそうだな」


「そのようね」


 手紙を読み終わると、体は激戦に備え、少しだけ戦闘態勢に近い状態になっていた。


 彼らの戦いの日々は終わらない。

ついに、5000PV突破しました!!


まさか自己満で書いていた小説で到達スルとは……


まあ、それはおいといて、皆さん!! 感想下さい!!


寂しいです!!


いつも、テイクさんがアドバイスを下さいますが、たくさんの人の意見なども


聞きたいです!


どうぞよろしくです!!

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