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孤高の魔術士  作者: 雪の里
第一章 『少年の決意』
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第十三節 微かな違和感

 凄まじい轟音とともに、瓦礫の山が崩れ去った。


 中から、巨大な影が飛び出してくる。


 否、吹っ飛ばされてきた。と言った方が正しいも知れない。


 微かな影が巨体を追いかけていったかと思うと、衝撃波による土煙で何も見えなくなる。


「なにが……起こったの?」


 何が起こっているのかユリナには説明出来なかった。


 火の粉のような魔力が辺りに漂ってきた。


 煙の向こう側で、小さな影が立ち上がる。


 目をこらして見てみると、それはソルトだった。


「ソル……ト?」


 ユリナが呆然とつぶやく。


 ソルトがいると言うことは、さっき飛んできた巨体は間違いなくスコルピオンだ。


 だが、三体ものスコルピオンをソルトはどうやって倒したのか?


 そこで、ソルトが声を発する。


「ちゃんと戻ってきたよ……ユリナ」


 その声を聞いただけで、さっきまで頭の中を巡っていた考えがすべて流され、代わりに喜びがわき上がってくる。


「帰ってくるって、言っただろ?」


 そして、ソルトはいつもの不敵な笑みを浮かべる。


 その笑みを見た途端、自分の中で何かが切れる音がした。



 帰ってくるって、言っただろ? ですって?

 


 喜びとは別の感情が吹き出した。




 * * * * *


 


 ユリナが、こちらに向かって走ってくる。


 その姿を見て、ソルトは安心した。


 穏やかな笑みを浮かべながら、ユリナを待つ。


 笑顔を浮かべているユリナを。


「ただい――!?」


 その言葉を遮り、ユリナが声を張り上げた。


「この、大馬鹿野郎――――!!!!!!」


 その言葉とともに放たれた全力の拳がソルトの顔面に突き刺さる。


「ぐはぁっ!?」


 間抜けな声とともに吹っ飛んでいくソルトを見て、ユリナは満足したようだ。


 3m程吹っ飛ばされたソルトが顔を上げると、目の前でユリナが仁王立ちになっていた。


「ひ、ひぃ!?」


 情けない悲鳴がソルトの口からこぼれる。


 ユリナは前屈みになると、指を鼻先に突きつけてくる。


「いい、二度と私達をおいていくようなまねはしないと誓いなさい!!」


 あまりの迫力に、逃げ出したくなる。……そんなことをした途端、半殺しにされることは目に見えているが。


「ハ、ハイ。ワカリマシタ」


 片言のように答えるのが精一杯だ。


 だが、ユリナは更に追求してきた。


 ユリナは、顔を近付けソルトを言及する。


「命に誓ってしないと言いなさい。もし破ったら……分かってるでしょうね?」


 なんて満面の笑みとともに言ってくる。


 正直死ぬほど怖かったが、それよりも……。



 ユリナさん、顔が近いッス!!



 なんてことをこの場面で行った途端、両手剣で斬りかかられるのは目に見えているので、言わない。


 もしこの状況でそんな悠長なことを言える奴がいたら、多分をそいつは相当な大物か、ただのバカだ。


 ソルトがいつまでも答えないのでユリナが行動に出た。


 それを見て、ソルトが悲鳴を上げる。


「ご、ごめんなさい! わかった、誓うから! 腰の剣を抜こうとしないで!? そんな物で切られたら、天国行きだぞ!? ゴー トゥー ヘヴンだよ!? やめろ、死ぬ!? 誰か助けてぇぇ!?」


 あまりにあほらしいソルトの声にユリナは毒気を抜かれたのか、いささかとげの取れた声で言った。


「もういいから、さっさと連合本部に帰るわよ」

 


 どうやって三体のスコルピオンを倒したのかを聞く気は無いようだな。



 ソルトは内心ほっとする。


 顔に出さないように気をつけながら先に歩いていったユリナを追いかける。


 帰る途中で、大部隊を引き連れたアーニス達に会い、事情を説明した。


 だが、誰もどうやって倒したかは聞いてこない。


 なぜだか分からなかったが、ソルトは、自分にとって都合の良いことなので、黙っていることにした。

いやー一日で二話更新するのはきついですね^^


皆さんのおかげで、2500PV超えました!!


最近は、10000も行けるんじゃない?なんて思ったりしています。


読んでくれている方々、アドバイス等ございましたら、どんどんご連絡下さい!!

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