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5、ミッションのこと

「アナタは、そんなゲームのような遊び感覚で、私にキスをしたんですか!」


 私は恥ずかしさもあり、思わず怒鳴っていた。だけど彼は、そういう反応に慣れているのか、表情も変えない。


「あんた、何を言ってんだよ。ここは乙女ゲームの制作地だぜ? ゲーム世界の中にいて、ゲームみたいだって怒ってんのかよ」


「えっ? あっ、乙女ゲーム……の世界」


 私のハッとした表情が面白かったのか、彼はフッと笑った。クールな人が笑うと、そのギャップからの破壊力がすごい。不覚にもドキッとしてしまった。



「とりあえず24時間は恋人だ。だが俺は、これ以上何かを要求するつもりはない。あんたの質問に答えたら消えるから、安心しな」


「あ、はい。質問しかないというか、何もわからないんですけど」


「だろうな。ここに連れて来る奴らは、ほとんど何も説明しない。新しいゲームを始めた時と同じだ。わからないことは街の人に聞くことで、進めていくもんなんだろ?」


 この人は、ゲームを知らないのかな。プロフィール画面をもう一度見てみた。顔写真は雰囲気が違う。今の彼よりも爽やかなイケメンね。



 ───────────────

【名前】セルシード/通称セル

【役割】悪役各種

【所属】開発研究室

【前世】ロッコロッコ星、魔導士

 ───────────────



「あー、その画面は嫌いなんだよな」


「えっと、セルシードさん? 悪役で開発研究室に所属するロッコロッコ星の魔導士さん?」


「セルでいい。街の中で縛られるのは役割だけだ。街から追い出されると、開発部門の研究室に軟禁される。あんたはアース星から来たんだろ? 俺はロッコロッコ星から来たというだけだ。魔導士というくくりは雑すぎるんだよな。ま、どうでもいいけど」


「宇宙人なんですね」


「は? 俺から見れば、あんたも宇宙人というか異世界人だぜ。魔法がなくて、異常に科学の発展した星だろ? この星の基本設計は科学で、動力源は魔力だ」


「人工星って説明されたけど、魔法があるとしか聞いてなかったから……」


 えっ? 何? なぜか今、頭ポンポンされたよ。私が驚いた顔をしたためか、セルさんもハッとした表情を浮かべた。



「あぁ、悪い。あんたは主人公だから、常に魅了魔法を放っているんだよ。俺には耐性はあるんだが、つい、うっかりしちまった」


「魅了魔法? 私も魔法が使えるんですか?」


「その身体が発している。この世界に来て30日間だけな。主人公の間は、たぶん魔法は使えないはずだ。主人公じゃなくなれば、基本的な魔法は使えるようになると思うぜ」


 帰れなくなると、魔法が使えるってこと?


「30日を過ぎたら、私は地球……アース星に帰れなくなると聞きました。それまでにミッションをクリアしなきゃいけないって言われたけど、何個あるんですか?」


「ミッションを開いてみろよ」


 そう言われて、私はミッションのアイコンに触れた。



【ミッション2】未達成

 コンセプトカフェに行こう!

(残り1日11時間46分)


【ミッション1】友達を作ろう!



 新たなミッションが増えている。ミッション1の上にミッション2が表示されているから、ちょっと違和感。



「二つ目のミッションが表示されています」


「主人公はデイリーミッションだから、30個でクリアだ。乙女ゲームにもあったんだろ? デイリーと言ったが、クリアすれば次のミッションが表示される。残り時間が1日を超えているものは、翌日以降のデイリーミッションだ」


 デイリーミッションを先取りできるのね。


「ログインボーナスとミッションがありました。ミッションは、毎日のデイリーと、毎週のウィークリーと、毎月のマンスリーの3種類でしたが」


「この世界では、主人公はデイリーミッション、街を構成する住人はウィークリーミッション、俺達のような滞在者にはマンスリーミッションがある」


「へぇ、完全にゲームですね。ミッションに縛られてるなんて、つらいんじゃないですか?」


「ふぅん、あんたは、運営や制作側の方が向いているのかもな。俺らは、いわゆるプレイヤーだ。俺らの行動観察から、新しい乙女ゲームが生まれる。ミッションに従うだけで、好きなことをしていられるんだぜ?」


「えっ? 生活費は……」


 スープラ社の乙女ゲームは、どのシリーズでも買い物をするとお金が減る。私は無課金だったから、ログインボーナスやミッション達成報酬を貯めて、必要な物を入手していた。



「財布のアイコンは追加されているか? 主人公は、財布を開けば、毎日1回ログインボーナスをもらえるはずだ」


 ミッションを閉じると、財布のアイコンが増えていることに気づいた。財布に触れてみると、ログインボーナスが表示された。その後に初回特典ボーナスも表示された。


「ログインボーナスと初回特典ボーナスをもらえました。あっ、ミッション達成ボーナスも」


「履歴を見てみな。主人公なら生活費なんて、ログインボーナスで充分だろ」


 物価はわからないけど、ログインボーナスは3万G、初回特典ボーナスは100万Gもある。ミッション達成ボーナスが3万Gだから、合わせて106万G。通貨の単位は、乙女ゲームと同じゴールドなのね。


「この世界の物価がわからないですけど、乙女ゲームと同じなら、かなりの大金が入ってます」


「たぶん同じじゃないか? あー、それから、アース星に帰りたいなら、念のためにフリーミッションもしておく方がいいぜ」


 フリーミッション?


「ミッションのページに、フリーミッションは無いですけど?」


「いくつかミッションをクリアしたら、出てくる。俺への質問は、こんなもんでいいか?」


「えっと、はい」


「恋人がいる間は、フレンドからの依頼はないから自由だぜ。じゃあな」


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