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22/22

22、ラムネさんが来ない

 私は、宿屋ノームのロビーで、ラムネさんが来るのを待っている。もうすぐ11時だ。彼女の朝って何時なんだろう?


 暇だから携帯機をあちこち開いてみる。財布は、ログインボーナスとミッション報酬が入っていた。布財布をポケットに入れているのが気になる。携帯機は紛失しないみたいだけど、布財布は失くしそう。うー、カバンが欲しい。


 ミッションを開いてみると、コンセプトカフェに行こう、が消えていた。セルさんの顔を思い出してしまう。でも、彼には忘れられない人がいるのよね。



【ミッション7】未達成

 友達と話そう!

(残り4日13時間50分)


【ミッション3】看板通りに行こう!

【ミッション4】宿屋にチェックインしよう!

【ミッション5】酒場に行こう!

【ミッション6】宿屋で宿泊予約をしよう! 



 次のミッションは、すぐに達成できそう。しかし、ラムネさん遅いな。寝坊したのかも? 彼女の居場所は、まだ地図には表示されない。




「オモチ様、何かお困りごとでしょうか」


 フロントが暇になったのか、今夜の宿泊予約をしてくれた女性が、声をかけてくれた。


「あ、いえ。フレンドさんと待ち合わせているのですが、まだ来られなくて」


「チャット機能は開放されてないのですね。フレンド登録をされているなら、地図に居場所が出てくるはずですが」


「フレンド登録していますが、地図に出てこないんです。圏外でもないみたいだけど……移動中なのかな」


「魔法の影響で、通信の乱れが起こることもございます。メールにて問い合わせをされてはいかがでしょうか。フレンドさんの現在地を表示してもらえると思いますよ」


「あっ! メールは、使ったことがなかったです。問い合わせてみます」


 私がそう答えると、フロントの女性は、やわらかな笑顔で一礼してくれた。この宿屋って、本当にいいよね。



 携帯機のメールを開き、問い合わせを打ち込んで、送信した。メールってことは、返信には時間がかかるかな。


 ピロン


 早っ! あっ、魔法のある世界だからか。



『オモチ様、お問い合わせの通信障害は、ジュエンでは発生しておりません。フレンド登録をした方の居場所が表示されないのは、フレンドさんに恋人がいるためです。遅くとも24時間後には、表示されるようになります』


 えっ!? 恋人?


 昨日あれから、ラムネさんは誰かとキスをしたということ? 連絡もしないで、すっぽかすなんて……。


 あっ、フレンドとの通信手段は、チャットなのか。私はまだ開放されてないから、彼女は連絡できないのかも。モヤモヤするけど、仕方ないな。でも、ここに向かっているかもしれない。どうしよう。




「あー! オモチさん、まだ待ってたの?」


 誰? 携帯機を見てみると、友達サリィと出ていた。だけど宿屋の中は、場所が正確には表示されないから、違う人かもしれない。


「すみません。フレンドさんでしょうか?」


「そっか、初めて喋るよね。私は、サリィだよ。オモチさんは、まだチャットが使えないんだね。ラムネさんから伝言を頼まれたよー。近くを通ったから、寄ってみたのー」


 サリィさんで合ってた。


「はい、チャットは開放されてないです。伝言というのは?」


「見てもらう方が早いかな。この世界は嘘だらけだもんね。どうぞー」


 サリィさんは、自分の携帯機を見せてくれた。チャットの発信者は、ラムネさんになっている。恋人ができたから約束はキャンセル、か。昨夜、大規模なグループチャットで、大勢に呼びかけていたみたい。普通なら、宿屋に連絡するんじゃないの?



「わざわざ、すみません。サリィさん」


「いいのよー。これもフリーミッションになるし、お互い様だからね。こんな時間まで待ってるとは思わなかったけど、来て良かったよー。ラムネさんと一緒に、どこに行く予定だったの?」


「シャールくんを見に行こうと言ってくれてて……」


「オモチさんって、シャール推しなの?」


「はい、この街なら、シャール推しです」


 私はサリィさんと話しながら、違和感を感じていた。彼女に対してでははなく、朝食の時に相席をしたクローラさんのことだ。私がウィル推しだと、誰から聞いたんだろう?




「オモチさん、良かったら、お昼をご一緒しない? 今日は、ファン会館に大物が来るらしいよ」


「はい。えっと、ファン会館って……」


「あちこちにあるよ。たぶん、フリル通りにある大きなファン会館に来るんだと思うけど、今からだと、もう入れないから、近くのファン会館に行こうよ。レストランで中継されるはずだよ」


 中継?


「はい、ご一緒させてください」


「決まりね! じゃあ、行きましょう。誰が来るんだろう? 私、『レモネードはキスの味』のラックル推しなのよー」


 それは予告しか見てない。地球にはまだ配信されてない乙女ゲームだ。


「私のとこでは、まだ配信されてなかったけど、予告は見ました。海が舞台ですよね」


「えー? オモチさんは主人公なのに、知らないの? 配信は、3年くらい前だよー。あっ、もしかしてアース星から来たの?」


「はい、アース星は配信が遅いみたいですね」


「そっかぁ。私は、イービー星から来てるよ。あっ、でも、貴族じゃないから、普通にしてね」


 イービー星? また、新たな星だな。


「はい、私はまだ全然わかってなくて。イービー星から来た人って、貴族が多いのですか?」


「そかそかぁ。うん、この人工星は、イービー星がほとんどの資金提供をしてるのよー。だから、私達は行き来も自由だし、王都や聖都に屋敷を持つ貴族も多いよ。私は、ただの長期滞在の観光客だけどねー。ここは自由だから楽しいよねー」


 自由、なのかな? イービー星の人は特別なのかも。



「オモチさん、ファン会館に着いたら、レストランに直行しようねー」



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