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EP.21 弾圧戦

 楓は最初にマロアネール城に帰還した。

 事情は掻い摘んで説明した。

 竜が参戦したことは一大事になるので伏せてある。



「マロアネールの使者として行って、敵襲と叫んでる時点で敵対行為だとは思うが。」


「私も敵対行為だと指摘し、3国で対応を考えると伝えてきました。」

「クリスダート王としては、どのように対応したいですか?」


「わしか、戦争や派兵は民が苦しむことにつながるので避けたい。なので属国は無いと考えておる。」


「私が無血開城させれば属国できますけど?」


「楓よ、いくらお主がすごくとも血は流すじゃろ?」


「ばれました?えへへ」


「血まみれを返り血だけで済ませられるのは、楓くらいじゃろう。」


「王は現状維持を望まれると言う事で、宜しいでしょうか?」


「そうじゃな。手に入れても飛び地で管理もしにくいとか、面倒なだけじゃしな。」



 確認は取ったので、その足でダリエーラ城へと向かった。



「ハルド・ダリエーラ王、何度も謁見をお許しいただきありがとうございます。」


「して要件は?」



 事情は掻い摘んで説明した。

 竜が参戦したことは一大事になるので伏せてある。



「ふむ、古代暴風竜がドルグステンへ飛んでいくのを見たという目撃情報があるのだが。」


「え?お散歩してたんじゃないですか?私は見ていませんが。」


「ふむ、しかし使者に切りかかるのは敵対行為ではあるな。」


「ハルド王はどうのようなご見解、ご対応が良いと思われますか?」


「戦争は無い。属国は難しいな。しかしそのままというのは恐ろしい。指導等でどうにか統制が取れればよいが。」


「統制が取れればよいのですね?」


「私個人の見解だがね。」


「クリスダート王も、概ね同意見でした。」



 ダリエーラ城での話を終えた私は陽が傾いていたので、MPポーションを買い足しに行き宿で眠った。

 次の日、マグドデルタを訪れた。

 城門前に行くと最近聞いた言葉を耳にする。



「敵襲だー!敵襲!」



 またこの展開か、しかし今回は竜の力は借りれない。

 とりあえず浮遊で距離をとる。

 ウォーターアローで足を狙い相手の戦力をそいでいく。

 10分が過ぎ、20分が過ぎた。

 討伐数は200を超えたあたりだろうか、明らかに敵兵が動揺し始めた。

 しかしまだまだ兵は集まってくる。



「戦意の無いものは城門外へ移動してね。」



 そう言ってウォーターアローで足を狙い、相手の戦力をそいでいく。

 そうして10分、20分と過ぎていった。

 呼びかけながら戦ったせいか戦意喪失組が100人ぐらい居る。



「戦意喪失した兵士諸君、君たちに害を与えるつもりはない。私に従ってほしい。」

「まず負傷者の武器防具をはぎ取って下さい。負傷者を運ぶ前に確認してください。」

「敵意は有るか無いか。敵意のあるものは牢屋へ、無いものは救護室へ運び治療させてください。」

「私は場内に進入しますが、場内で倒れているものは同様の処置を行ってください。」


「分かりました!」



 そういうと兵士たちは動き出した。

 私は場内に入り、敵対するものをウォーターアローで足を射抜き肩を貫いていく。

 城内にも相当数いたが対処完了した。救護室に行くと治療を終えた兵士たちが待合室に移っていくのが見えた。

 私は彼らに装備を付け私の後をついてくるように指示をした。

 ただし10メートル程距離は取ってもらった。

 ようやく王の間に到着した。扉を開けるとデイビット・マグドデルタが玉座に居た。



「デイビット・マグドデルタ王、マロアネールの使者、楓でです。」


「貴様どうしてここにいる!」


「マロアネールの使者の暗殺未遂、マロアネールの使者の私に襲い掛かった、これは3か国に対する宣戦布告です。4国間不可侵条約の条約違反です。」


「それは私の指示ではない!何かの間違いだ!」


「兵士は王の指示で動くのはご承知しているはずです。」


「いや、指示など出しておらぬ!」


「残念ですが、デイビット・マグドデルタ王、あなたの国は今日で滅びます。」


「何を言っておる滅びる訳が無かろう!!誰か!誰か居らぬか!」


「待機させていた兵士たちが入ってくる。」


「この者を捕えよ!」



 しかし、誰一人動くものは居なかった。



「マロアネールの使者、クリスダート・マロアネール王名代として命ずる!デイビット・マグドデルタ王を捕縛せよ!」



 一斉に兵士たちが、デイビット・マグドデルタ王を取り押さえる。



「貴様ら血迷ったか!?捕まえる相手が違うぞ!」


「デイビット・マグドデルタ王、4国間不可侵条約の条約違反による宣戦布告、並びに、マロアネールの使者の暗殺未遂で捕爆する。それと、アーシャ王妃を同罪とし、牢へ幽閉する。」


「まて、妻は関係ない!私の一存で行ったことだ!妻には処罰を与えないでくれ!」


「デイビット・マグドデルタ王を牢屋へ!アーシャ王妃は見つけ次第捕縛し牢へ幽閉すること。」


「はっ!」


「この国は宰相は居ないの?」


「居りますが、歳で現在療養しております。」


「じゃぁ兵士全員を集めて。」



 集まるまでに30分かかった。



「現時点をもってデイビット・マグドデルタ王は罪人となり王が居なくなった。この事を貴族に通達し、不服の者は城へ来るように伝える事。来た貴族は反逆罪として牢へ幽閉すること。」


「はっ!直ちに実行いたします!」



 こうして反乱貴族も幽閉し、マグドデルタは王が居ない国となってしまった。

 しかし、王が居ないのは不便なので、アーシャ王妃を王の間に呼び出した。



「アーシャを連れて参りました。」


「アーシャさん、顔を上げてください。」



 アーシャは顔を上げるが一言も発しない。



「アーシャさん、デイビット・マグドデルタは罪を犯し王の座を剝奪いたしました。」


「…お伺いしました。」


「本来であればアーシャ王妃であり、同罪で扱うべきですが、あなたに問います。」


「…何を?」


「デイビット・マグドデルタを捨てて、マグドデルタの王としてこの国を守る新たな王になりませんか?」


「王を捨てる…」


「えぇ、でもお腹の子は守れます。悪い話ではないと思いますが、如何でしょうか?」


「私に何を望まれてるのでしょう?」


「私は楓と申します。私の指示に従っていただければ大丈夫です。あとは各国の王から、王の何たるかを教わってもらえれば、あとは自由です。」


「デイビット・マグドデルタは間違った王だった…と言う事でしょうか。」


「国民を大事にしなかった。自分が大事で他は捨てる。王としては相応しくなかった。と言う事です。」


「そうですか…私が王になってもデイビット・マグドデルタは牢から出すことはできますか?」


「それは無理です。彼は明日にもドルグステン城へ輸送され処罰を受ける事になります。」


「アーシャさん、王にならない場合は、あなたもデイビットと同じ刑を受ける覚悟だけはしておいてください。」



 数日後、アーシャは王位の授与式を執り行い、王となった。

 この事は他の国には教えてない。そのうち知られると思うけど今ではないと思ったから。


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