EP.02 チュートリアルは大事です
一通り会話というか通話?交換日記?的なものを終えた楓は、次のページを捲った。
そこには(チュートリアル)と書かれていた。
「チュートリアルとはご丁寧に、まずは何をすればいいのかしら。」
本には1行だけ、こう書かれていた。
手斧を出して太い枝を2本切りましょう。
「まずはアイテムボックスオープン、手斧は…これね。太さとかは指定がないけど、なんでもいいのかしら?」
本に目をやると文章が浮かび上がってきた。
本には握りやすい太さがあれば良いとあった。
「あの枝ならちょうど良さそうね。」
作業を開始する。
トン、トン、トン、トン、トン
五回目を振り下ろし、手斧が枝に当たると同時に、機械的な音声が聞こえてきた。
「熟練度が上がりました、スキルに割り振ってくだいさい。」
「なるほどスキルアップに使えるのね。」
そう言いながら本に目をやった。
「熟練度はスキルアップには必須のポイントです。熟練度の獲得方法は色々とあります、木を切る、剣を振る、本を読む、景色を眺める、ウィンドウショッピング等々、様々な方法があります。」
「熟練度はLvが上がるに伴って上がりにくくなる為、若いうちに色々なスキルを習得することをお勧めします。」
なるほどねぇ、じゃぁ
「例えばなんだけど人間観察や食事、睡眠中、人との会話なんかでもあがったりするの?」
「はい、あなたのなさる全てのことに無駄はありません。たとえ一日中ベットの上に寝そべり天井のシミを数えようと、熟練度はきちんと入りますのでご安心ください。」
「そんなことしないわよ!」
そう思いながら再び本に目を向ける。
「スキルの話に移りましょう。まずは(鑑定)をMAXまであげた後、(ステータス隠蔽)をMAX、を目指しましょう。鑑定Lv1で薬草や食用キノコ、素材になりそうな石で収入を安定させる事が先決でしょう。」
さすが神様、アドバイスが的確だけど、MAXにする理由が気になった。
「実は薬草と言っても薬草にもLvと言うか種類が存在します。高Lvの薬草ほど効能も高く売値にも影響します。それと同等に、毒草、麻痺毒、鉱石等々。現物を覚えてしまえば鑑定を使わずとも見つける事ができるので、鑑定スキルは下位スキル認定されがちですが、使うだけで生えている場所が分かるだけでなく、MAXではターゲット鑑定できる事は知られていないので、鉄だけを鑑定スキルでさがす、薬草だけのようにピンポイントで探すには便利なのです。」
「ターゲット鑑定が知られていないのは不思議なのだけど、何故そんな状況になってるの?」
「情報や技術は師匠から弟子へ受け継がれます、この過程で鑑定が無くてもどうにかなってしまう。鑑定をMAXにしているギルドマスターや神官等の高位者は、城や職場から外には赴かない。ターゲットするものが無い。時代は流れにより、鑑定スキルは廃れ、神官志望やギルドマスター志望、騎士団団長志望者くらいになってしまった。と言うのが事の顛末になります。」
「なるほどねーとりあえず2本枝を切ったけど、この後はどうすれば良いの?」
「木刀と槍を一本ずつ作ってください。この辺りの生態系はスライムと狼、兎、ゴブリン等で襲って来るのは、スライム、狼、ゴブリンになります。槍一本でもこの三種には対応できますが、取り回しの都合上木刀もあった方が良いしトレーニングにも有用かと思われます。あと木刀なら疲れた時の、杖の代わりにもなりますよ」
とりあえず言われた通り、木刀、木の槍に加え、余りの木材で短めショートソードをこしらえた。
本に目をやるとそこには
「薬草やキノコを集めながら、村を目指しましょう。」
そうあったので、まずはマップ確認してから本を片手に素材集め村に向かって進んでいた。
三十分ほど素材を集めながら進んでいた…その時。
「きゃぁぁぁぁー!」
東の茂みの向こうから、叫び声が聞こえた。
本に目をやると文章が浮かび上がる。
「誠に残念ですが素通りをお勧めします。茂みの向こうには10歳の女性と、その妹8歳が狼3匹と睨み合いになっています。」
「3人無傷0%、1人負傷生還率95%、2人負傷75%、3人負傷45%、死者が出る可能性85%。悲惨な現状は避けられないでしょう。
「素通りした場合は?」
「残念ですが、2人共助からないでしょう。」
「わかったわ、じゃあ、最善策は?」
…
「いいわ、見殺しになんて出来ない!行くわよー。」
そう言って彼女たちの元に走り出したのだった。




