EP.17 ダリエーラ城主の願い
ダリエーラ城には着いたが、日が傾いていた。
宿屋に向かい一泊した。
私の想定ではすんなり通してもらえるはず、不可侵にはどうだろう…。考えても仕方がない。明日に備えて今日は寝よう…。
夜は明け、朝になった。
マロアネール城とダリエーラ城って近かったなぁ。とりあえず朝食を済ませたらお城へ向かおう。
城門前に到着し門番の兵士へ話しかけた。
「私は楓といいます、マロアネール城王の命によりお伺いいたしました。」
そう言って書状を渡す。
「クリスダート・マロアネール王の名代としてお通し願いたい。」
「書状を王に確認して頂くので、この場でしばし待たれよ。」
20分ほどして城の方から兵士が出てきた。
「楓と申したか?王の許可が下りた。付いてこい。」
5分程で王の間の扉に到着する。
「マロアネール城よりの使者、楓殿をお連れ致しました。」
「開門せよ。」
門が開くと同時に、前進する。
「止まりたまえ。」
貴族挨拶を披露して挨拶を始める。
「マロアネール城の城主クリスダート・マロアネール王の名代としてお伺い致しました、私楓と申します。この度はお目通りの許可を頂きありがとうございます。」
「こ度はご苦労であった、私はダリエーラ城の現国王、ハルド・ダリエーラである。してクリスダート殿はお元気になされておるか?」
「クリスダート王はご健在で、忙しくしておいでです。」
「そうか、今は忙しいのか。ふむ、して、こ度は何用で参った?」
楓は一通の書状を取り出し、王の方へ見せながら言った。
「クリスダート・マロアネール立案の4国間不可侵条約に署名して頂きたくお伺いした次第です。」
「なんと、何故今になって4国間不可侵条約などと。」
「今、ドルグステンが怪しい動きを見せており、戦乱が訪れようとしております。マグドデルタはそれに乗じるような気配が伺えます。ドルグステンの狙いはマロアネールですが、マグドデルタの狙いは解りません。このままでは避けられない状況が訪れる可能性がございます。」
「ドルグステンの狙いがマロアネールなのは事実か?」
「はい、間違いないかと。」
「私がマグドデルタなら、マロアネールを狙うが…。」
「さてそれはどうでしょう、ダリエーラには古代暴風竜という強大な武器が存在しています。ハルド様は古代暴風竜と対話した事はございますか?」
「古代暴風竜は人が如何こう出来る相手ではない。」
「確かにダリエーラに住む人々は誰もが知る常識です。しかしマグドデルタにとっては古代暴風竜が居る、交渉できる場所が存在する、それを手に出来れば、そう考えてもおかしくは無いはずです。ダリエーラに住む人々は誰もが知る常識は、マグドデルタには存在しないからです。」
「馬鹿な事を!古代暴風竜に言う事を聞かせるなど無理に決まっている。」
「果たしてそうでしょうか?ブブ牧場のブブを移動させ、数を意図的に減らし、不満を煽り、それを解消する代わりに代償を要求してみたらどうなるでしょうか?」
「意図的に減らす?馬鹿な怒りをかって、取返しのつかない事になるだけだ!」
「それはダリエーラの理屈、マグドデルタには通じません。それに、マロアネールに攻めたとしましょう。軍事的にはドルグステンの方が兵士数も上で、次にドルグステンが攻めるとすれば、マグドデルタでしょう。古代暴風竜の危険より、物量で押せる確実なマグドデルタです。」
「もし私がマグドデルタならダリエーラに攻め込み、古代暴風竜という後ろ盾を得ます。ブブを移動し減ってるように見せかけ、その後古代暴風竜に、こう語りかけます。我が国は今国家存亡の危機でブブが減りだしています。これは戦争で食糧不足が生じ招いた結果です。古代暴風竜様の為にもお力をお貸し頂けないでしょうか?これで動いてもらえる可能性は見いだせますし、古代暴風竜が動かなくても牽制にはなります。」
「つまり、我が国も他人事ではないと言う事か?」
「王様、私の話を聞いてどうお感じになられましたか?」
「マグドデルタが我が国に攻める可能性を感じた。グルムードはどう思った?」
グルムード・ベレンチーノはダリエーラの宰相である。
「マロアネールに攻めたとしましょう。軍事的にはドルグステンの方が兵士数も上で、次にドルグステンが攻めるとすれば、マグドデルタでしょう。古代暴風竜の危険より、物量で押せる確実なマグドデルタです。これに関しては同意見です。ダリエーラは戦を好まない事は、知られていますので。ドルグステンであるならマロアネールに攻め込み、落とした後はそのままマグドデルタへ雪崩れ込みかけるでしょう。」
「なので、マグドデルタがもし動くのであれば、我が国でしょう。古代暴風竜を刺激せずに落とせる位置に城がありますから。」
「わかった、署名にサインしよう。」
「ありがとうございます。」
そう言うと、宰相グルムードが私の元へ来たので4通の書状を渡した。
「4通あるがこれは?」
「各国に1枚ずつ所持して頂きます。」
「なるほど因みに破棄した場合はどうなるのだ?」
「破棄した国に対し、残り3国の兵力を持って鎮圧し、3国の属国として維持管理されます。」
「事実上国の崩壊か、考えによっては怖いな。」
「サイン頂けるとの事なので、マグドデルタが万が一ダリエーラが戦争の構えの場合に備え、マロアネールの兵はマグドデルタ国境付近に待機するように致します。」
「なんと、マロアネールは兵を出してくれるのか!?いやしかし、ドルグステンの対応はどうするんだ?」
「そこは私の方で対応いたしますので、ご心配には及びません。」
「楓とやら、お主は陶器職人と聞き及んでおるのだが?」
「ダリエーラにまで私の事が知られているとは、この上なき光栄。ありがとうございます。」
「楓よ別件で、ましては私情なのだが、実は前々から相談したいことがあるのだが…聞いてはもらえぬか?」
「私に出来る範囲内であれば、お聞きすること可能ですが?」
「実はな…」
王様自らの相談…聞いてみたら微笑ましいものだった。
陶器食器やガラス製品、ガラスの装飾品などを欲しいとの事だった。
マロアネールの晩餐会でエリエッタ王妃やリリス姫が、自慢気に使っているのをみて、ハルド王の王妃や娘が欲しがって仕方なかった、との事だった。
また、暇が出来たら来てほしいとの事だった。内容は聞いたけど教えてはくれなかった。




