EP.10 初めての王様との謁見。
約一か月ようやくマロアネール城い到着した。
道中は狼やゴブリンが3回ほど遭遇したが、ダルトンがほぼ処理してくれた。おかげでLv4のままで到着できた。道中暇すぎて木彫りの彫像が20個も出来てしまった。
「ここは平民街で、平和な街並みが広がります。お城まではここから20分程かかりますので、途中下車はお控えください。」
「メインストリートに彫刻買い取ってくれる店はありますか?」
「雑貨屋さんがありますので、そちらに持ち込めば買い取っていただけると思いますが、一旦王様にお見せしてみては如何でしょうか?」
そうして揺られてお城に到着、待合室に通されて1時間…
コン、コン、コン
「失礼いたします。ご準備が出来ましたので、王の間へお越し頂けますでしょうか?」
「分かりました。案内お願いいたします。」
「王の間の前まではご一緒させていただきます、私メルアと申します。」
「私は楓と申します。一つお伺いしても宜しいでしょうか?」
「何なりと。」
「王の御前では、膝をつく方が良いでしょうか?一応女性として振舞うべきでしょうか?。」
「貴族ではないとお伺いしておりますので、膝をつくのがよろしいかと思います。顔を上げて良いと仰せになられたら、顔を上げお話しされるのが良いかと思います。」
数分の無言ののち、王の間に到着した。
「陶芸職人 楓様をお連れ致しました。」
門番が扉を開く
「王の御前である、粗相のないように。」
「お進みください。」
王にどこまで近づいて良いのか判らないため、小幅で進む。
「止まれ!」
すぐ足を止め、膝をつき頭を下げ挨拶を開始した。
「陶芸師、楓にございます。王様の書状の指示通り、馳せ参じました。」
「よくぞ参った。長旅ご苦労である。面を上げよ。」
「はい、失礼いたします。この度はお目にかかれて光栄にございます。」
「余も、妻のエリエッタ、娘のリリスも待ちわびたぞ。しかし、驚いた。楓、そなたは女子ではないか?」
「私は女子にございます。」
「女子が膝をつけて挨拶するものでは無い。立って良いぞ。」
「ありがとうございます。では失礼して。」
貴族がやる挨拶をして見せた。
「では、まずは納品の確認はお済になられたでしょうか?」
「納品は確認した。差し引いた分を書状にて持たせるようにするので、後日受け取りに城へ参られよ。」
「かしこまりました。次は献上品をお持ちしました。」
コップと湯飲み、角皿、小鉢を王の御前に出した。財務大臣のレゴッド・サルタノルが手に取り王や王妃の前に運び一品一品を見定めていた。
「ビート、お主も検分せよ。」
「コップと湯飲みは身分の低い調理師やメイドや執事などが使うには良いと思います。ティーセットは高貴なご身分の方へ使う線引きが出来ると存じます。この小鉢や角皿とやらはパーティー使いは出来ませんが、普段のお食事に役立ちそうです。」
「しかし、どれも奇麗な絵柄ね。」
「こんな色鮮やかな食器は、見たことがないわ。」
「ビート、必要個数はレゴッドへ伝えろ。」
「かしこまりました。」
「ビートあとで調理場に伺う、必要数を把握しといてくれ」
彫刻も後ろに置いてあったがあれは最後にして。
「王様、ご相談があると拝見いたしました。内容をお伺いしても宜しいでしょうか?
「うむ、実は王家の紋章のデザインで追加発注したいのじゃ。」
「まずご質問なのですが、王妃様、姫様に、そのお話はなさいましたか?茶器などは姫様や王妃様が、メインでお使いになられると思われます。女性の集まる場で、紋章入りの茶器は仰々しいように思われます。」
「確かに、私は色々なデザインお茶会を楽しみたいわ。」
「お父様、私も茶器はいろんな模様がある方が良いと思いますわ、デザインだけでもお話が盛り上がりますし。」
「すると紋章はない方が良いということか…ふむ。」
「遅ればせながら王様、紋章は大皿や長皿、取り皿などお料理向けの品には有りかと思います。晩餐会、社交会等であれば、出しても王家の威厳として、尊厳、財力、権威、忠誠心等の誇示に利用できるかと思われます。」
「なるほど。レゴッド、お主はどう思った?」
「楓の言っている事は、概ね問題ないかと思われます。」
「では、大皿や長皿、取り皿は紋章入りを追加生産でよろしいでしょうか?それとも今の注文に置き換えますか?」
「妻や娘とも意見を交わしたい、この件はコップの件と共に書状にて書き記すものとする。」
「私から1点、申し上げたいことがございます。」
「なんだ?申してみよ。」
「紋章の入った何か、頂けないでしょうか?完成度を上げるために必要となります。」
「書状受け渡しの際に持たせよう。」
「ありがとうございます。」
「ほかに無ければ、褒美の話をしたいのだが。」
「ありがとうございます、金子をと申したい所ではあるのですが、差し迫って欲しいものがございます。」
「剣術に秀でた兵士3名、石工職人2名、荷馬車を扱えるもの2名探しております。」
「探すのは良い、ヴェル村で従事させるのであろう?給与はどうするのだ?王宮で管理できんぞ?」
「今の給与を教えていただければ、私の方で管理させていただきます。」
「わかった、用意させるが、他にはいらんのか?」
「では、もう一つお願いしても宜しいでしょうか?」
「申してみよ。」
「城下町内で商いをする店舗、王直轄の権限を持って商いをさせて頂きたいのですが、いかがでしょう?」
「わしを後ろ盾に、商売させよと言う事か?」
「貴族にも人気があるため当面は資金に困ることはなくなります、庶民向けにも販売します。お城に税という形でお返しすることが出来ます。私を抱え込もうと動く貴族も出てくるはずです。」
「レゴッドよ、お主の意見を聞きたい。」
「陶器はまだ市場に、出回っておらず引く手あまたでしょう。生産が追い付かないでしょうが、未開拓なだけに莫大な利益が見込めるでしょう。その税を納めてもらえるのであれば、国としてはお釣りが来る。王直轄の権限で困るのは仲裁くらいでしょう。兵を一人店に派遣して常駐させ、兵に書状を持って仲裁させれば、国王様が動く必要もなくなるかと思われます。」
「楓よ、それは褒美なのか?」
「私は、次の商材をすでに考えております。しかも必ず国王様に気に入っていただける品だと自負しております。ですので褒美はこの国にどれだけ貢献できたかで示します。王様自ら、褒美を用意したくなるような、商人になったとき受け取りにまいります。」
「そこまで言うのであれば、もう言うまい。」
「あ、王様、一つ追加させていただいても?」
「なんじゃ?やっぱり褒美が欲しいのか?」
「いえ、用意してくれる兵士3名にも、仲裁用の書状を持たせて頂ければと思います。」
「なんとなくじゃが、察しはついた。持たせるように計らおう。」
こうして王との謁見は終えた。木彫りの彫像20個は全部買い取ってもらえた。石造1つも。
楓には長く感じた謁見は終わったのだった。
しかし、城下町に店を持ったことにより、ちょくちょく呼び出しを受けるようになる楓は、この時はまだ知る由もなかった。




