10 リザルト
椿井の異世界での初めてのたたかい、ゴブリンとの遭遇戦は思わぬ形で終結を向かえた。
フードの少女と椿井の2人だけではゴブリンの群れ相手に為す術も無く敗北し、殺されていただろう。
だが、椿井が想像もしていなかった援軍のおかげで戦況が一気に変わった。
雷と共に現れた銀髪紫眼の不思議な雰囲気の少女。おそらくフードの少女と知り合いと思われるその少女が椿井達の代わりにゴブリンとの戦闘を始めた。
いや、それは戦闘ではなく────処理だった。
凄まじい速度で迫る青ゴブリン達の攻撃を白銀の少女は軽くいなし、雷光を宿した槍でひと撫でするだけで青ゴブリンは黒焦げになって倒れていった。
そして1分も経たないうちに青ゴブリンを全て倒した白銀の少女に椿井が遠くの岩場に青ゴブリンを指揮している緑のゴブリン達がいることを教えると。
「知っている」
と、白銀の少女は呟くだけでそのまま槍の帯電を解いて戦闘をやめようとしているように見えたため、椿井が疑問に思って緑ゴブリンのいる遠くの岩場に視線を向けると。
岩場には、2つの落雷の跡と僅かな燃えカスが残っているだけだった。
そうして白銀の少女の活躍であっという間にゴブリンとの戦闘が終わり、その後、椿井は。
「────あったあった」
草むらの中で日本刀を納める鞘を拾っていた。
ゴブリンとの戦闘後、椿井はすぐに2人の少女に色々と質問をしたかったのだが初めて扱った日本刀を抜き身のまま持っているのが不安だったため、話をする前に鞘の回収をしていたのだ。
「────よし」
そして刀を鞘に納めた椿井は待ってもらっている2人のもとへ戻ろうとしたが……。
「……」
刀から視線を外したことで椿井の視界にあるモノが入り込んだ。
それは先ほどまでゴブリンだったモノ、焼け焦げた死体である。
白銀の少女の攻撃が特殊だったのか、青ゴブリン達の体がそういうモノだったのかはわからなかったが、その死体は既に殆どが灰のようになっており、森の穏やかな風に乗って少しずつ消え始めていた。
そんな、ゴブリンだったモノの方に視線を向けた椿井は。
「────」
静かに手を合わせ、目を瞑った。
「……」
……例え何か理由があったとしても、人を襲い、殺そうとしていたお前達を斃したことを俺は間違いだとは思わない。けど、それとは別の話として、お前達が安らかな眠りにつけることを祈らせてくれ。
「……」
そして合掌を終えた椿井は気持ちを切り替え、今度こそ自分を待ってくれている2人の少女のもとへと向かって駆け出した。




