表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
97/106

1

 年が明けて1955年になった。今年の千沙と浩一は修学旅行に、高校受験に、大変な年になりそうだ。浩一は考えていた。今回こそは修学旅行に行けるんだろうか? 小学校6年生の頃はトイレに閉じ込められていく事ができなかった。後日、家族で京都と奈良に行ったけれど、やっぱりみんなと行きたかったな。今年こそは本当に行けるのか不安だ。まぁ、行けると信じているけれど。


「いよいよ修学旅行か」


 浩一は空を見ていた。今年こそは修学旅行先で夜空を見る事ができるんだろうか? 3年前は悪い思い出だったけれど、今回は行きたいな。


「今回はどこ?」

「東京」


 すでにどこに行くかは聞いている。東京だ。東京には行った事がない。東京は日本の首都だ。1945年の3月10日の東京大空襲で焼け野原になったものの、戦後、急激に復興していった。その復興していく様子を、肌で感じたいな。そして、将来の糧にしたいな。


「東京! すごいやん! 日本の首都やで!」


 ハルは驚いた。日本の首都に行くのか。それはすごいな。ハルは東京に行った事がない。どんな場所なのかは、資料でしか見た事がない。


「すごいわー。行ってみたいわ!」

「今回は行けるとええね」


 千沙は笑みを浮かべている。今度こそは千沙と一緒に修学旅行に行くんだ。判別行動になるらしいけれど、一緒に行こう。


「うん」

「東京はいい所やぞー」


 ハルは嬉しそうだ。2人が東京に行き、その景色をその目で確かめるからだ。見てきて、早く感想を聞かせてほしいな。


「ほんま?」

「絶対気に入るで」

「そうかな?」


 浩一は照れている。本当は東京に住みたいと思っているけれど、なかなか言えない自分がいた。




 修学旅行で東京に行くのは、部活でも話題になっていた。特に後輩はよくその話題を言っている。


「浩ちゃん、修学旅行で東京に行くんやね」

「ああ」


 博美は東京での生活を想像した。大阪よりも人口が多くて、活気がある。豊かで、夢があると思っている。博美も思った。いつかここに住んでみたいな。


「東京か。いつか私も住みたいわ」

「なんで?」


 浩一は疑問に思った。東京って、そんなに憧れる場所なのかな?


「だって、東京には夢があるし、豊かさがあると思うん」

「ほんまかな?」


 浩一は首をかしげている。博美は目をときめかしている。それほど東京に憧れているのだろう。


「うん。やから、東京の人と結婚して、住むのが夢なんや」

「そうなんや」


 ふと、浩一は思った。もし、共に東京に住む事になったら、一緒に東京を巡り、そして一緒に飲みたいな。


「どないしたん?」

「い、いや。何もないて」


 だが、浩一は何も言おうとしない。博美は思った。浩一は何を考えているんだろうか?


「そっか」


 と、そこに理沙がやって来た。何か考え事をしているようだ。


「ここまで私と一緒に暮らしてきて、よかった?」

「うん。楽しい事も、悲しい事もあったけど、みんなええ思い出やよ。やけど、これからもっといい思い出を作らんとね」


 それを聞いて、浩一は思った。理沙は、自分が東京に住みたいと思っているのを知っているんだろうか?


「そやね」


 ふと、理沙は浩一の表情が気になった。


「どないした?」

「東京って、ええ所かなって思って」


 それを聞いて、理沙は笑みを浮かべた。理沙も東京はいい場所だと、東京に住みたいと思っていた。


「ええ所だよ。気に入ると思うで」

「やろ? 僕、いつか東京に住んでみたいわ。そして、もっとええ生活を送りたいわ」


 浩一はみんなの前で、初めて東京に住みたいと言った。それを聞いて、みんな驚いた。まさか、浩一は東京に住みたい、東京で働きたいと思っているとは。


 それを聞いて、理沙は横を向いた。


「そっか。やけど、時々実家に帰ってきてな」

「わかっとるって」


 ふと、理沙は思った。千沙は東京に住みたいと思っているんだろうか?


「千沙はどや?」

「私、住みたい思わん。ここが一番ええと思っている」


 千沙は東京に住みたいと思っていないよう見える。どうしてだろう。やっぱり、ハルが心配だから行かないんだろうか?


「そっか。人それぞれやね」

「まぁ、それもいいじゃない!」


 浩一は笑みを浮かべた。理沙も東京に住みたいと思っているのか。自分と一緒だじゃないか。


「そっか、理沙は東京に住みたいんか?」

「うん」


 理沙は中学校1年生だ。東京に行くのは来年だ。理沙は東京への修学旅行でどんなきっかけをつかむんだろうか? そして、東京に住むのにあこがれるのかな?


「理沙も、来年は東京に修学旅行で行くやろな。楽しみ?」

「うん」


 理沙は楽しみにしているようだ。それは嬉しいな。きっと素晴らしい思い出になるだろうな。


「そっか。でも来年までのお楽しみやね」

「うん」


 だが、浩一は固い表情だ。東京に住み、働くためには、もっと厳しい勉強をしなければならない。高校受験をもっと頑張らなければ、東京にで就職できない、東京に住めないと思っている。


「そのためには、もっと勉強を頑張らんとな」

「そやね」


 理沙も思っていた。東京に住むには、もっと勉強を頑張らないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ