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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
96/109

25

 その翌日も、またその翌日も、晋一は一緒に帰ってくれない。千沙は次第に、晋一は千沙の事が好きじゃないんだろうかと思い始めてきた。日に日に千沙の機嫌が悪くなってきた。それは、理沙や浩一も感じていた。


「おはよう」

「おはよう」


 千沙はいつもの時間に起きた。だが、千沙の機嫌が悪い。


「最近、晋一くんが一緒に遊んでくれへんねん」


 千沙はため息をついた。みんな、その理由はわかっている。遊んでくれないからだ。そんな日もあるさと思っていたのに、それが毎日だ。明らかにおかしい。理沙や浩一はそう思い始めてきた。


「ふーん。そんな日もあるて」

「そんな日が続いとるねん」


 ただ1人、ハルは励ましたが、千沙は疑わしいと思っている。千沙は深くため息をついた。


「うーん。おかしいね」


 と、理沙は思った。晋一を付け回してみよう。何か手掛かりがつかめるかもしれない。


「ちょっと、つけ回してみやへん?」

「そやね」


 浩一もその意見に賛成だ。晋一を付け回そう。


「やってみよう」


 2人は晋一を付け回す事にした。もちろん、晋一には内緒だ。


「浩ちゃん」

「どないしたん?」


 千沙は振り向いた。どうして振り向いたんだろうか? まさか、晋一の事でだろうか?


「晋一くん、最近おかしいから、つけ回すことにしたん。やから、遅くなるね」

「わかった。怪しまれんようにね」

「うん」


 千沙は2人に期待していた。この2人なら原因がわかるだろう。




 そして、今日も中学校の1日が終わった。さて、これからだ。


「起立、礼!」

「さようなら」


 千沙はすぐに、晋一の元に向かった。今日は一緒に帰ってくれるんだろうか? 今日もダメなんだろうか?


「晋一くん、今日もダメなん?」

「うん。ほんますまん」


 晋一は謝っている。だが、笑みを浮かべている。どうしてだろう。こういう時は残念そうな表情が普通なのに。


「ええよ」


 千沙は受け入れた。その表情を見て、晋一は思った。いつもとは違う。どうして残念そうな表情じゃないんだろう。徐々に慣れてきたんだろうか?


「どうやて?」


 千沙は振り向いた。そこには浩一がいる。


「やっぱりダメやて」

「そっか。じゃあ、付け回さんとね」

「うん」


 浩一は決意した。部活の後、晋一を付け回してみよう。晋一の所属しているテニス部は、野球部と同じ時間に終わる。そこを狙おう。




 夕方、帰る時間になった。浩一は晋一の様子を見ていた。やはり千沙と帰っていない。


「あっ、あれが晋一くんだな」


 と、浩一はその横にいる女が気になった。それは、同級生の昌子まさこだ。まさか、この人と帰るんだろうか?


「あれ? この子・・・」


 2人は仲睦まじそうだ。ひょっとして、一緒に帰ろうとしているんだろうか? もしかして、昌子と一緒に帰るから、千沙と一緒に帰ろうとしないんだろうか?


「千沙ちゃんに言わんと」


 晋一と昌子は一緒に帰っていた。その後ろを、浩一は走っている。浩一はじっと見ている。これは千沙に言わないと。


 浩一はいつものように家に帰ってきた。千沙と理沙はすでに帰っているようで、部屋には明かりがついている。


「ただいまー」


 浩一が家に入ると、すぐに千沙がやって来た。千沙は浩一が気になっているようだ。晋一がどうして一緒に帰らないのか、知りたかった。


「どやった?」

「昌子ちゃんと会っとったわ」


 それを聞いて、千沙はため息をついた。まさか、昌子と一緒に帰っていたとは。まさか、浮気だろうか?


「本当? 別の女と付き合っとったん?」

「うーん、僕にはわからんけど、そうかもしれん」


 浩一には浮気という物が何なのかわからなかった。だが、してはいけない事のように見える。


「信じられん。もうあんな奴、もう付き合いとうない」

「そっか・・・」


 千沙は怒っていた。明日の朝、晋一に言わないと。




 朝、晋一はいつものように登校してきた。もちろん、千沙と浩一が昌子と一緒に帰っていた事など、知らない。千沙があきれているという事も知らない。


「おはよう」


 晋一の声を聞いて、千沙がやって来た。どうしたんだろうか? 真一は驚いた。


「おはよう。晋一くん、昨日、何しとったん?」

「用事やよ」


 だが、晋一は用事だと言う。本当は昌子と一緒に帰っていただけなのに。


「嘘! 晋一くん、別の女とおったん、見た人がおるんやから」


 千沙の態度が変わった。まさか、昌子と会っていたことを知っていたとは。晋一は呆然となった。


「えっ、そんな・・・」

「もう別れましょ!」


 千沙は晋一の元を離れた。千沙は怒っている。昨日の表情がまるで嘘のようだ。浩一はその様子をじっと見ている。


「待って、千沙ちゃん! 待って!」

「もう知らん!」


 晋一は千沙にフラれてしまった。晋一は落ち込んだ。浩一はその様子をじっと見ている。自分が見ただなんて言ったら、晋一にいじめられると思ったからだ。


 夕方、千沙と浩一は一緒に帰っていた。千沙はショックから立ち直れない。今まで好きだと思って付き合っていた晋一が、別の女と付き合っていたとは。


「大丈夫?」

「うん」


 浩一は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。本当に通報してよかったんだろうかと思った。


「すまん、自分のせいで」

「ええのよ」


 千沙と浩一は一緒に帰っていた。その様子を、晋一と昌子は見ていた。




 その夜、千沙は泣いていた。晋一が浮気していたからだ。好きだと思って付き合っていたのに、浮気をしていたとは。


「どないしたん?」


 千沙の様子を見ていた浩一は振り向いた。そこにはハルがいる。ハルは泣いている千沙が気になったようだ。


「失恋がショックで」

「そっか。まぁ、すぐに立ち直るやろ?」


 ハルは思っていた。失恋もいい思い出だ。恋はうまくいかない時もある。この先で絶対にいい人と巡り会えるはずさ。


「そうだね。放っとこ」

「うん」


 3人は千沙を放っておく事にした。きっとい人が見つかるだろう。そして結婚した時は、みんなで祝おう。

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