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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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21

 次の朝、柴田家は騒然となっていた。警察が来ている。周りには野次が集まっている。何の騒ぎだろうと思っているようだ。だが、周辺に住んでいる人々は心当たりがあった。おそらく、虐待で逮捕だろう。今日、警察が来ているのを見て、これはそうだろうと思ったようだ。


 新しい夫の和幸かずゆきはノックの音で目を覚ました。朝早くに何だろう。まさか、虐待を通報されたんだろうか? もしそうなら、大変だな。誰にも秘密と言っていたのに、まさか通報されたとは。もしそうなら、それは誰だろう。博美ひろみだろうか?


「ごめんください」

「はい」


 和幸は階段を降りて、玄関に向かった。大広間には誰もいない。とても静かな朝だ。和幸は玄関を開けた。そこには警察がいる。どうやら虐待がばれたようだ。


「警察ですけど、柴田和幸さん、ちょっと聞きたい事があるんですけど」

「はい」


 和幸は眠たそうに眼をこすっている。だが、警察は全く気にしていない。


「義理の息子さんを殴っているという噂があるんですが、それについてお聞きしたいので、署まで来てくれませんか?」

「はい」


 そして、和幸は警察に逮捕された。和幸は肩を落としている。まさかばれるとは。誰にも秘密だと言っていたのに。


 何も知らない博美の母、昌子まさこは入れ替わるように帰ってきた。昌子は騒然となっている柴田家を見て、夫が逮捕されたのだと知った。


 昌子は玄関を開けた。と、そこには博美がいる。


「えっ・・・」


 昌子は驚いた。まさか目の前に博美がいるとは。


「お母さん!」

「博美!」


 昌子は博美を抱きしめた。つらかっただろう。もう大丈夫だよ。一緒に暮らそう。


「ごめんなさい」


 浩美は謝った。今まで虐待の事を全く言わなかったからだ。


「苦しかったでしょ? もういいのよ」


 昌子は博美を抱きしめた。いつも以上に温かく感じる。どうしてだろう。


「ありがとう。今まで言わんくて、ごめんね」

「ええのよ」


 そして、博美は解放された。これからいい日々を送っていこう。




 次の週末、浩一は博美と一緒に道頓堀の周辺を歩いていた。今までつらい思いをしたのだから、気晴らしにどこかに行かせてやろうと思ったようだ。博美は穏やかな表情だ。今までつらい思いをしていて、笑顔が見れなかったが、ようやく見れたようだ。何か嫌な事があったら、すぐに言う事だな。博美は改めて感じた。


「柴田」

「坂井先輩」


 浩一は笑みを浮かべている。いい後輩に恵まれて、本当によかった。それに後輩の命を救う事ができて、本当に嬉しいようだ。


「よかったな」

「うん」


 と、浩一は思った。ちょっと話したい事があるから、どこかでたこ焼きでも食べようかな?


「ちょっと話したい事があるんやけど、今度、たこ焼き屋で食べよか?」

「うん。ええけど」

「待っとるぞ」


 そこには、浩一がいる。浩一は私服を着ている。博美も私服を着ている。今日は一緒に気晴らしに行こうと思っていた。


「どないしたんですか?」


 浩美は思った。どうして浩一は今日、ここに誘ったんだろうか? 単に行きたいと思ったからだろうか? もっとそれ以上に理由があると思われるけど。


「まぁいいから、たこ焼き買おうや」

「はい」


 2人はたこ焼き屋の前にやって来た。8個を買って、1人で分けて食べよう。


「8個、ソースで」


 浩一は金を払った。ちょうどの金で、おつりはない。たこ焼き屋の店員は、ソースを塗り、青のり、マヨネーズをかけ、花かつおを上にのせる。とてもおいしそうだ。


「はい、どうぞ」


 浩一はたこ焼きの入った容器のあるレジ袋を取った。2人は店を離れていく。道頓堀川を眺めながら食べよう。


 2人は道頓堀川のそばにやって来た。今日も戎橋周辺には多くの人が来ていて、賑わっている。その数は年々多くなってきていて、これから平和な世界になっていくと言うのを予感している。


「まぁ、食べようや」

「いただきまーす」


 2人はたこ焼きを食べ始めた。一緒に食べるたこ焼きはとてもおいしい。どうしてだろう。


「今日、どうして誘ったん?」


 博美は聞きたかった。どうして今日は浩一を誘ったんだろうか? 何か言いたい事があるんだろうか?


「あんた、虐待されてつらかったやろう」

「うん」


 やっぱりそうだったか。博美は下を向いた。やはりその事で呼んだようだ。浩一はとても心配しているようだ。こんなに心配しているのは、どうしてだろう。そして、どうして虐待されているとわかったんだろうか?


「あんまり言えんのやけどな、俺、虐待されたことがあんねん」

「えっ、ほんま?」


 それを聞いて、博美は驚いた。まさか、浩一も虐待の被害者だったとは。それは初めて聞いたな。だから博美を怪しく思ったんだな。博美はますます浩一が好きになった。


「ああ。だから俺、坂井さんって家に居候しとるんだ。理沙ちゃんのね」

「そうなんだ。って、理沙ちゃんの?」


 また博美は驚いた。同級生の理沙の家に住んでいるとは。それも初めて聞いた。今度、行ってみようかな?


「ああ。あの子と同級生なんやね」

「うん。やけど、まさか坂井先輩も虐待を受けていたとは」


 浩美は、浩一も虐待を受けていたという事実を隠しきれない。とてもつらかっただろうな。でも、こうしていい家族に恵まれて本当に嬉しいだろうな。


「びっくりしたやろ。やから、柴田の気持ち、ようわかるんや」

「そうなんや。おおきに」


 浩美は泣きそうになった。浩一はますます好きになった。こんなにも後輩の事を心配してくれるとは。


「どういたしまして。これからも頑張れよ」

「うん」


 2人はあっという間にたこ焼き8個を食べた。いつも以上にとてもおいしかったな。どうしてだろう。


「ごちそうさま」


 その後、2人はしばらく道頓堀川を見つめていた。これから2人は、どんな日々を送っていくんだろう。わからないけれど、きっといい未来が訪れたらいいな。

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