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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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18

 来週の日曜日、浩一は博美の家の付近にやって来た。博美の家は大阪市の郊外にあり、のどかな風景が広がっている。活気あふれる大阪とは少しかけ離れている。


 歩いていると、近所に住む近田という女性に出会った。その女性は大阪大空襲で夫を亡くし、現在は1人暮らしだ。


「こんちはー」

「あっ、坂井さん」


 近田は浩一の事をよく知っていた。まさかこの近くに来るとは。でも、どうしてここに来たんだろう。何か理由があるんだろうか? それとも、たまたま来たんだろうか?


「あっ、どうも」


 浩一はお辞儀をした。とても礼儀正しい子だな。


「ここ最近、柴田くんの周りで何か変わった事、あらへんかなと思うて」


 それを聞いて、地下だの表情が変わった。何かを知っているようだ。もし知っているのなら、教えてほしいな。それが何らかの手掛かりになるかもしれないから。


「うーん・・・」


 近田は首をかしげている。やはり、何か感じている事があるようだ。


「どないしたんですか?」

「最近、新しい夫がやって来たんやけど、帰ってきたら家が騒がしくなるねん」


 それは、半年前の事だった。先日、夫と離婚したばかりの博美の母が別の男と結婚した。その男は怖い形相で、近寄りがたい雰囲気だと言う。で、再婚した夫が帰ってくると、家が騒がしくなると言う。近田は気になって気になってしょうがないらしい。だが、怖くて近寄りがたい。何とかしたいのに、それができない状態だ。


「ほんまに?」

「うん。何やろ、何やろと見てたんやけど、怪しいわ」


 近田は疑問に思っていた。だが、近寄れない。浩一はそれを聞いて、ピンと来た。やはり、虐待じゃないだろうか? もしそうなら、警察に言わないとな。


「そっか」


 近田は思った。どうしてこんなに浩一は虐待に反応するんだろうか? まさか、浩一は小学校に入学する前に虐待されていた過去があるから、そう思っているんだろうか?


「どないしたんですか?」

「いやいや、何でもないて」


 浩一は焦っている。本当にそれを言っていいんだろうかと思っている。それで嘘だったら、自分が逮捕されそうで怖い。


「そう・・・。おおきに」

「いえいえ」


 物音がすると聞いて、浩一は考えていた。自分が虐待されていた頃や、高俊の事に似ている。まさか、ここでも虐待だろうか? もしそうなら、警察に通報しなければ。




 その夜の事だ。浩一は夜空を見ていた。きれいな夜空を見ていると、心が和む。どうしてだろうか? 美しいからだろうか? それとも、また別の意味があるからだろうか? だが、浩一は別の事を考えていた。博美の事だ。博美の顔のアザが気になって気になってしょうがない。一体そのアザはどうしてできたのか、教えてほしいな。教えたら、何とかしてやろうと思っているのに。


「浩ちゃん、どないしたん?」

「柴田くんの事が気になんねん」


 柴田って、あの同級生の子か。確かにそうだ。あの子の顔にはあざがあって、もしかして、いじめじゃないのかと思ってしまう。理沙は最初に出会った頃からとても気になっていた。何とかしたいという想いがあった。


「なんで?」

「顔があざだらけやし、様子がおかしいんや」


 浩一も気になるのか。自分も気になるな。何とかしないとと思えてくる。その為には、その傷の理由を調べないと。それから、警察に通報しないと。


「ふーん。まるで昔の浩ちゃんみたいやね」


 理沙も、その剣は浩一の件によく似ていると感じる。浩一は小学校に入学する前から虐待されていた。虐待は解決したけれど、浩一はいまだにその恐怖が染みついている。だからこそ、虐待を放っておけないんだな。理沙は浩一の想いに納得していた。


「うん。理沙ちゃん、怪しいと思わん?」

「うん」


 理沙も気になった。これは確実に虐待だろう。もしそうとわかったら、警察に言わないと。


「今日、近所の人々に聞いてみたんやけど、新しい夫が帰ってきたら騒がしくなるんやて」

「ふーん。その夫に何か問題があるんちゃう?」


 理沙もそう思っている。あの夫に会ってみたいな。夫は何か理由を知っているかもしれない。何とかしないと。


「かもしれないね。もっと観察してみよや。それに、柴田くんにもっと聞いてみたら?」

「そうしよか」


 理沙は決意した。明日、博美に会ってみようかな? そして、その傷が何なのか、聞いてみたいな。


「早くせんと、おっかない事になるかもしれんよ」

「そやね。早く原因を調べんと」


 2人は時計を見た。もう遅い。明日に備えてもう寝よう。理沙は自分の部屋に向かった。浩一もさっさと寝ないと。浩一は電気を消して、布団に横になった。




 それだけではない。その件は、ハルにも協力してもらった。3人が中学校に行っている間、柴田の事を話して、何とかしたいと思っていた。


 まず聞いたのが、八百屋だ。この人なら、相談に乗ってくれるだろう。この人に聞いてみよう。


「そっか。柴田くんのあざが気になるんか」

「うん」


 言われてみればそうだ。八百屋も柴田の事が気になった。今度柴田に出会ったら、何とかしないと。


「わかった。こっちでも調べとくよ」

「ありがとうございます!」


 ハルは笑みを浮かべながら、みんな協力してくれて、本当によかった。

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