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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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14

 年が明けて1954年になった。人々はすっかり戦争があった頃を忘れ、これから平和な日々を送ろうとしている。だが、忘れてはならない。日本には戦争をした過去があるのを。これから素晴らしい未来を築かなければならないという事を。


 その後も徳次郎は家を出ようとしなかった。あまりにも周囲の目が怖いからだ。浩一のように、犯罪者の父と思われそうで、怖い。こうなったら、もう自分は死ぬしかないんだろうか?


「おじいちゃん、あれからなかなか出ようとしやんのよ」


 ハルは心配していた。どうやったら元の徳次郎に戻ってくれるんだろうか? なかなかそうはいかないようだ。浩一は平気で外に出ていて、登校しているのに。もういじめられていないのに。


「まだ治らんのか」


 浩一は心配していた。どうしたら直るんだろう。全くわからないよ。どうして徳次郎がこうなったんだ。また元の元気な姿になってほしいのに。


「浩ちゃんがいまだにいじめられていたのを知ってショックやったんやろね」


 徳次郎の元に、浩一がやって来た。何か言いたい事があるようだ。だが、徳次郎は何にも反応しない。


「すまん、おじいちゃん」


 徳次郎は振り向いた。だが、徳次郎は笑顔を見せない。


「ええんだよ、幸せに生きな」

「はい」


 浩一は自分の部屋に戻っていった。浩一は徳次郎の事で頭がいっぱいだ。自分のせいで、徳次郎がこうなってしまった。徳次郎に申し訳ないと思っていた。


「気になるん?」

「うん」


 突然、ハルは浩一の肩を叩いた。どうしたんだろう。


「大丈夫よ。浩ちゃんは前を向いて生きてや」

「それでええんかな?」


 浩一は首をかしげた。本当に前を向いて生きていいんだろうか?


「これからはあんたの時代やで」

「それでも・・・」


 ハルは真剣な表情になった。どうしたんだろう。


「じきにわかるて」


 浩一は少し悩んだ。これからは自分たちの時代か。1945年に戦争は終わったと言われている。これから世界は、日本は平和になっていくだろう。そう思うと、自分はこれから平和な日々を築いていかなければならないんだなと感じる。


「わかった・・・。力強く生きるわ・・・。だから、おじいちゃんも元気になって!」


 浩一は自分の部屋に戻っていった。ハルはそんな浩一の後ろ姿を見ている。


「何も言おうとせんね・・・」


 ハルは振り向いた。そこには千沙がいる。千沙も気にしている。


「大丈夫やろか?」

「いつまでも気にせんと、前を向いて歩こうや」

「でも・・・」


 だが、千沙は気になってしょうがない。自分の祖父だからだ。


「これからはあんたたちの時代やよ。だから、頑張らなきゃ」

「おじいちゃん・・・」


 だが、千沙は気になる。自分が明るくいられるのは、徳次郎のおかげなのに。


「いつまでも気にせんと!」

「わ、わかったよ・・・」


 千沙は下を向いて自分の部屋に向かった。徳次郎が立ち直らない限り、千沙は元気にならないんだろうか? ハルは不安になった。




 その1週間後の事だった。この日は騒然となっていた。何があったんだろうか? 朝からハルの叫び声が聞こえる。徳次郎に何かがあったんだろうか?


「おはよう、っておばあちゃん?」


 理沙が祖母の部屋にやって来ると、ハルが叫んで、泣いている。どうしたんだろうか?


「朝からどないしたん、おばあちゃん」

「あなた! あなた!」


 ハルは徳次郎をゆすっている。徳次郎の身に何があったんだろうか? ゆすっても反応がないという事は、徳次郎の身に何かがあったんだろうか?


「どないしたん?」

「おじいちゃんが死んだんや」


 それを聞いて、理沙は驚いた。全く突然の出来事だ。昨日は普通に過ごしていたのに。何があったんだろうか?


「そんな・・・」

「息子夫婦が逮捕されてショックを受けたんやよ」


 逮捕されたショックで死ぬなんて。つらかったんだな。


「そんな事でなんで死なんといかんのや・・・」


 徳次郎の横の机には、睡眠薬がある。徳次郎は睡眠薬を大量に摂取して死んだと思われる。あまりにも突然の死だ。


「ひどいよね・・・。ひどいよね・・・」

「おはよう」


 理沙は振り向いた。そこには浩一がいる。浩一は何が起こったのか知らない。


「おはよう。どないしたん? 元気ないで」

「おじいちゃんが亡くなったんや。浩ちゃんが自殺しようとしたことがショックで自殺したみたいやわ」


 浩一もショックを受けた。自殺をするなんて。あまりにも突然の別れで、浩一は驚いた。こんな事が起こるなんて。


「そんな・・・」

「すまん・・・、僕のせいで」


 浩一はまた申し訳ない気持ちになった。自分がいじめを苦に遺書を書いていなくなり、それが原因で雅と千尋が放火殺人を犯したからだ。


 と、ハルは浩一の肩を叩いた。


「浩ちゃんは何も悪くないで。悪いのはいじめた奴らやから」

「でも・・・」


 ハルは両手で浩一の肩をゆすった。どうしたんだろう。浩一は顔を上げた。


「気にせず生きてや」

「うん・・・」


 浩一は思った。こんなに突然の出来事で、徳次郎と別れなければならないとは。だけど、僕は進まなければならない。どんな事があっても。人生には出会いと別れがあり、それを乗り越えて人は成長していくのだ。そして、平和な日本を、平和な世界を築いていくのは、僕たちだ。だから前に進まなければならない。

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