表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
84/107

13

 それから数日後、浩一は中学校に戻ってきた。中学校に戻ってきた浩一を、みんな明るく迎え入れてくれた。浩一には両親がいないけれど、みんなの支えで生きている。だから、助け合わなければならない。もう両親がいない事でからかわないようにしよう。


 それから何日か経った頃だ。浩一はいつものように朝を迎えた。そろそろ夏休みが近づいてきて、半ドンの日々になってきた。だが、半ドンで帰れない。部活があるからだ。部活は暑くて大変だけど、頑張らなければ。


「おはよう」

「おはよう」


 だが、ハルの様子がおかしい。どこか暗いのだ。どうしたんだろう。もしかして、徳次郎が死んだんだろうか? いや、隣に徳次郎がいる。


「どうしたの?」

「浩ちゃんを助けたおじいちゃん、亡くなったんやて」


 それを聞いて、浩一は呆然となった。先日、あんなに元気だった重三が死んだとは。何が起こったんだろうか? 突然、病気になって亡くなったんだろうか? また会いたいと思っていたのに、こんなに突然死んでしまうとは。


「えっ!?」

「ほんまやよ」


 浩一は下を向いた。本当に死んだのかな? とても信じられない。


「また会いたかったのに」


 会いたいという気持ちを知って、ハルもそうだろうと思った。なぜならば、こうして生きているのは、重三が救ってくれたからだ。


「残念やね。でも、おじいちゃんの分も生きてや」

「わかった」


 浩一は改めて決意した。重三の分も頑張って生きないと。天国で重三は、浩一の事を見ているだろう。だから、悔いのないように一生懸命生きなければ。


「うーん・・・」


 浩一は考えていた。重三の葬儀に行こうかと。命を救ってもらった命の恩人だから。明日がもし休みなら、本格的に考えてみようかな?


「どないしたん?」

「葬式、行ってみよか?」


 それを聞いて、ハルは思った。それはいい考えだ。命を救ってもらった恩人なのだから、明日がもし休みなら、行くべきだろう。


「ええやん! 行ってみない! あさってあるそうやから」

「そうだね」


 と、そこに千沙がやって来た。千沙も半ドンの後、部活で帰りが遅れる。


「おはよー、朝からどないしたん?」

「浩ちゃんを助けたおじいちゃん、死んだんやて」


 千沙も驚いた。まさか、あの重三が亡くなったとは。突然の出来事だ。あんなに元気だった重三が、突然亡くなるとは。何があったんだろうか?


「そんな・・・。浩ちゃんがまた会いたいと思ってたのに」

「本当なんだよ」


 千沙は知っていた。救ってもらった浩一がまた会いたいと思っていた事を。だけど、その目標がかなわなかったのか。残念だな。


「あさって、葬式に行ってみよか思うて」

「ええやん! 浩ちゃん、行ってきなよ」

「うん!」


 明日、休みになるかどうかわからないけれど、もし休みなら、行ってみようかな?




 結局、明日は休みになった。そこで、2人は葬式に行こうと思った。そして、その日になった。その日の早朝、2人は朝食を早く済ませた。重三の家までは距離がある。朝早くから行かなければ。大変だけど、重三の冥福を祈るために行かないと。


 と、そこにハルがやって来た。どうしたんだろうか? お金を渡すんだろうか?


「はい、お金渡すから、行ってきな!」

「うん!」


 浩一はお金を受け取った。そして、玄関の前に立った。


「行ってらっしゃい」

「行ってきまーす」


 そして、浩一は重三の家に向かった。以前、自転車で近くの山に向かったが、今回は路面電車などを乗り継いで向かう。どこか新鮮だな。だが、それで興奮している場合ではない。重三の葬儀に行くのだから。




 それから数時間後、重三の家では、葬儀が行われていた。多くの身内や関係者がやって来る。


「今日はいよいよ葬式やね」

「おじいちゃん、幸せな人生だったやろね」

「うん」


 と、そこに1人の中学生が現れた。浩一だ。まさか、重三に命を救ってもらった浩一が来るとは。また会いたいと思っていたが、まさか無言の再会になるとは。


「あれ? 浩一くん?」

「うん。来たんや」


 浩一は真剣な表情だ。今日は笑ってはならない。重三の葬儀だから。


「どうして?」

「僕を救ってくれた恩人やから」

「ほんま?」


 救ってら持っただけで、葬儀に来てくれるとは。浩一はとてもまじめな人だな。きっといい大人になるだろうな。


「もちろんだよ! おじいちゃんの分も頑張って生きよう思うて」


 それを聞いて、重三の妻は感動した。重三に命を救ってもらったんだから、重三の分も頑張って生きてほしいな。重三のように天寿を全うしてほしいな。


「そっか。じゃあ、ここに花を」

「わかった!」


 浩一は祭壇に花を供えた。そして、重三の遺影に向かって誓った。


「おじいちゃん、あの時は、僕の命を救ってくれて、おおきに。あの時、どうして自ら命を絶とうとしたんやろって、後悔しとるよ。おじいちゃんから教わった、生きる力を胸に、おじいちゃんの分も生きていくよ。だから、天国から見守っとってや!」


 と、隣である女性が浩一の肩を叩いた。重三の妻だ。どうしたんだろう。


「浩一くん、一生懸命生きてや!」

「うん!」


 浩一は元気が出てきた。そして、決意した。重三の分も頑張って生きねば。そして、重三のように天寿を全うする生き方をしなければ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ