13
それから数日後、浩一は中学校に戻ってきた。中学校に戻ってきた浩一を、みんな明るく迎え入れてくれた。浩一には両親がいないけれど、みんなの支えで生きている。だから、助け合わなければならない。もう両親がいない事でからかわないようにしよう。
それから何日か経った頃だ。浩一はいつものように朝を迎えた。そろそろ夏休みが近づいてきて、半ドンの日々になってきた。だが、半ドンで帰れない。部活があるからだ。部活は暑くて大変だけど、頑張らなければ。
「おはよう」
「おはよう」
だが、ハルの様子がおかしい。どこか暗いのだ。どうしたんだろう。もしかして、徳次郎が死んだんだろうか? いや、隣に徳次郎がいる。
「どうしたの?」
「浩ちゃんを助けたおじいちゃん、亡くなったんやて」
それを聞いて、浩一は呆然となった。先日、あんなに元気だった重三が死んだとは。何が起こったんだろうか? 突然、病気になって亡くなったんだろうか? また会いたいと思っていたのに、こんなに突然死んでしまうとは。
「えっ!?」
「ほんまやよ」
浩一は下を向いた。本当に死んだのかな? とても信じられない。
「また会いたかったのに」
会いたいという気持ちを知って、ハルもそうだろうと思った。なぜならば、こうして生きているのは、重三が救ってくれたからだ。
「残念やね。でも、おじいちゃんの分も生きてや」
「わかった」
浩一は改めて決意した。重三の分も頑張って生きないと。天国で重三は、浩一の事を見ているだろう。だから、悔いのないように一生懸命生きなければ。
「うーん・・・」
浩一は考えていた。重三の葬儀に行こうかと。命を救ってもらった命の恩人だから。明日がもし休みなら、本格的に考えてみようかな?
「どないしたん?」
「葬式、行ってみよか?」
それを聞いて、ハルは思った。それはいい考えだ。命を救ってもらった恩人なのだから、明日がもし休みなら、行くべきだろう。
「ええやん! 行ってみない! あさってあるそうやから」
「そうだね」
と、そこに千沙がやって来た。千沙も半ドンの後、部活で帰りが遅れる。
「おはよー、朝からどないしたん?」
「浩ちゃんを助けたおじいちゃん、死んだんやて」
千沙も驚いた。まさか、あの重三が亡くなったとは。突然の出来事だ。あんなに元気だった重三が、突然亡くなるとは。何があったんだろうか?
「そんな・・・。浩ちゃんがまた会いたいと思ってたのに」
「本当なんだよ」
千沙は知っていた。救ってもらった浩一がまた会いたいと思っていた事を。だけど、その目標がかなわなかったのか。残念だな。
「あさって、葬式に行ってみよか思うて」
「ええやん! 浩ちゃん、行ってきなよ」
「うん!」
明日、休みになるかどうかわからないけれど、もし休みなら、行ってみようかな?
結局、明日は休みになった。そこで、2人は葬式に行こうと思った。そして、その日になった。その日の早朝、2人は朝食を早く済ませた。重三の家までは距離がある。朝早くから行かなければ。大変だけど、重三の冥福を祈るために行かないと。
と、そこにハルがやって来た。どうしたんだろうか? お金を渡すんだろうか?
「はい、お金渡すから、行ってきな!」
「うん!」
浩一はお金を受け取った。そして、玄関の前に立った。
「行ってらっしゃい」
「行ってきまーす」
そして、浩一は重三の家に向かった。以前、自転車で近くの山に向かったが、今回は路面電車などを乗り継いで向かう。どこか新鮮だな。だが、それで興奮している場合ではない。重三の葬儀に行くのだから。
それから数時間後、重三の家では、葬儀が行われていた。多くの身内や関係者がやって来る。
「今日はいよいよ葬式やね」
「おじいちゃん、幸せな人生だったやろね」
「うん」
と、そこに1人の中学生が現れた。浩一だ。まさか、重三に命を救ってもらった浩一が来るとは。また会いたいと思っていたが、まさか無言の再会になるとは。
「あれ? 浩一くん?」
「うん。来たんや」
浩一は真剣な表情だ。今日は笑ってはならない。重三の葬儀だから。
「どうして?」
「僕を救ってくれた恩人やから」
「ほんま?」
救ってら持っただけで、葬儀に来てくれるとは。浩一はとてもまじめな人だな。きっといい大人になるだろうな。
「もちろんだよ! おじいちゃんの分も頑張って生きよう思うて」
それを聞いて、重三の妻は感動した。重三に命を救ってもらったんだから、重三の分も頑張って生きてほしいな。重三のように天寿を全うしてほしいな。
「そっか。じゃあ、ここに花を」
「わかった!」
浩一は祭壇に花を供えた。そして、重三の遺影に向かって誓った。
「おじいちゃん、あの時は、僕の命を救ってくれて、おおきに。あの時、どうして自ら命を絶とうとしたんやろって、後悔しとるよ。おじいちゃんから教わった、生きる力を胸に、おじいちゃんの分も生きていくよ。だから、天国から見守っとってや!」
と、隣である女性が浩一の肩を叩いた。重三の妻だ。どうしたんだろう。
「浩一くん、一生懸命生きてや!」
「うん!」
浩一は元気が出てきた。そして、決意した。重三の分も頑張って生きねば。そして、重三のように天寿を全うする生き方をしなければ。




