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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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6

 その夜、仕事から帰ってきた雅は、千尋と一緒に外にいた。辺りはとても暗い。誰も歩いていない。もうみんな家の中にいると思われる。なのに、2人は外にいた。2人は浩一は遺書を残して消えたのが忘れられない。何度注意されてもいじめる奴らが許せない、全く反省する気がないんだろうと思っていた。その為には、こいつらが死ねばいいんだろうと思っていた。道を踏み外してでも、こいつらを殺さなければ。浩一が天国に行くのなら、こいつらは地獄に落ちるべきなのだ。2人はそう感じていた。


「今夜、あいつらを殺しに行くで」


 雅は小声だ。それを達成するには、全員殺すまでみんなに怪しまれてはならない。逮捕されてはならない。これはひそかにすることだ。


「ああ。そうしよか」


 千尋も小声だ。そろそろ寝静まる時間だ。そこを狙って、大村家に向かおう。あいつは一番の主犯格だ。入学した時からやっていると思われる。こいつが元凶なのだ。


 2人は夜道を歩いていた。すでに路面電車は終電を過ぎていて、車庫に引き上げている。とても静かだ。今さっきの騒がしさが全く嘘のような雰囲気だ。2人はそんな中を、静かに歩いていく。


 少し狭い路地に入ったところに、大村家がある。大村家は松岡家同様、一軒家だが、松岡家より少し小さい。ここが茂の家なのか。そう思うと、無性に腹が立ってくる。茂が浩一を自殺まで追い込んだと考えたからだ。一刻も早く殺さなければ。


 2人は静かに玄関から中に入った。幸いにも鍵がかかっていない。2人は静かに歩いている。誰もそれに気づいていない。順調だ。


 2人は部屋を1つ1つ見ている。1階には誰もいないようだ。2階にいるんだろうか? そう思い、2人は2階に向かった。2人はゆっくりと階段を上がっていく。この時点でも、気づかれていない。


 2人が2階に行くと、そこには茂とその両親がいる。3人は仲良く寝ている。全く気付いていないようだ。2人は黒い布で顔を隠した。死神と称してこいつらを殺そう。2人は包丁を取り出した。もう迷いはない。襲い掛かろう。


 突然、誰かが襲い掛かった。茂は驚いた。


「だ、誰だ!」

「死神や! お前を殺しに来た!」


 千尋は笑みを浮かべている。茂は頭を包丁で刺された。即死だ。


「キャー!」


 それを見て、茂の母、志乃しのは驚いた。だが程なくして、雅が襲い掛かり、包丁で顔を斬り付けられた。


「茂、茂!」


 茂の父、龍三りゅうぞうも驚いている。まさかこんな事が起こるとは。早く逃げよう。


「貴様も道連れや!」


 と、雅が龍三の頭を包丁で刺した。龍三も即死だ。志乃は驚いている。こんな事が起こるとは。


「ギャー!」


 千尋は新聞紙を取り出し、くるめて3人の寝ている掛布団の周りに並べた。何をするんだろう。志乃は呆然と見ている。顔からはおびただしい血が流れている。とても痛い。何も抵抗できない。私はここで死んでしまうのかな? それは嫌だ。もっと生きたい。2人の分まで行きたい。だけど、それは出来なくなりそうだ。悔しい。


「火をつけて逃げるで!」

「うん」


 千尋はマッチを取り出し、新聞紙に火をつけた。瞬く間に炎は燃え広がる。早く逃げよう。ここで焼死したら、浩一の無念を晴らせない。


 2人は逃げた。火事の通報があって、消防隊がやってきたら大変だ。怪しまれるだろう。それまでに逃げないと。2人は急いでいた。そして、松岡家に向かっていた。今日は大村を殺せたから、それでいい。明日はどこを狙おう。


 それから10分後、消防隊がやって来た。近隣住民が通報したのだ。消防隊が来た時、すでに2人は遠い所にいた。そして、怪しまれなかった。消防隊は火を消そうと水を放った。だが、すでに手遅れになっていた。誰もが絶望していた。もう3人は助からないだろう。誰がそんな事をしたんだろう。あまりにもひどすぎるよ。




 翌日、松岡家はラジオを聴いていた。昨日の夜、とても騒がしかった。その理由が知りたくて、ラジオを聴いていた。


「昨夜、市内の住宅で、火災がありました。出火から10分後、駆け付けた消防隊員により消火作業が行われましたが、家は全焼しました。焼け跡の中から、3人の遺体が発見されました。遺体は、この家に住む、大村龍三、大村志乃、大村茂の3人と見られています。遺体には胸などに複数の刺し傷があり、警察では放火殺人事件と見て調べています」


 それを聞いて、徳次郎とハルは驚いていた。まさか近所でこんな事が起こるとは。しかも、千沙と浩一が通っている中学校の生徒だ。一体誰がこんな事をしたんだろう。ここも狙われそうで怖いな。夜は気を付けないと。徳次郎とハルは知らなかった。それは雅と千尋がやったという事を。


「えっ、何やろ」


 徳次郎は呆然となった。こんな事が近隣で起こるとは。


「おはよう」


 その声で、ハルは振り向いた。理沙が目を覚ましたようだ。理沙は目をこすっている。まだ眠いのだろう。1階が騒然となっているので起きたのだろう。


「おはよう理沙」


 と、理沙は思った。雅と千尋はどこにいるんだろう。いつもだったら、すでに起きていて、朝食を作っているはずなのに。


「あれ? お父さんお母さんは?」


 その時、1階から雅と千尋が降りてきた。2人とも、眠そうな表情だ。どこかむっつりとしていて、怖い。浩一が自殺したショックだろうか? それとも、何か秘密でもあるんだろうか?

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