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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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5

 浩一は山間の方に向かっていた。人の少ない場所なら、飢え死にできるだろう。できる限り楽に死にたい。首を吊るんじゃなくて、飛び降りるんじゃない。楽に死ぬなら、飢え死にだろう。浩一は自転車で走っていた。それは死の逃避行だ。誰にも内緒だ。見つかったら、確実に誰かに追われるだろう。そして、できる限り早くどこか遠くへ行かなければ。早く行かないと、通報されてまた家に戻される。家に戻ったら、中学校に戻ったら、何をされるかわからない。きっとひどい事だろうな。


 浩一は都会を抜け、田園地帯を走っていた。とてものどかな場所だ。人は比較的少ない。人々は農作業をしていて、とても忙しそうだ。自分は都会に暮らしていて、それとは無縁だ。作っている彼らのおかげで、こうして食事ができるというのを感謝しなければならない。


 しばらく走っていると、山間部に入り、急な坂に差し掛かった。その先には大きな山がそびえ立っている。その山奥なら大丈夫だろうな。そこを目指そう。




 何も知らないまま、6人は過ごしていた。浩一は今頃、練習試合の集合場所に着いたんだろうな。今日は相手の中学校での試合なので、近くの駐車場に集合らしい。もしそうなら、もう着いただろう。そろそろ集合時間になるからだ。それまでに浩一が着いていてもおかしくないだろう。


 6人が朝食を食べようとしたその時、突然、家の電話が鳴った。こんな朝早くに、誰だろう。急用だろうか?


「もしもし」


 受話器を取ったのは千尋だ。だが、聞くうちに顔が深刻になっていく。その様子を見ていた雅は徐々に不安になってきた。自分の家族に何か大変な事があったのでは?


 受話器を置いた千尋は、不安そうな表情だ。その表情を見て、徳次郎とハルは不安になった。浩一のみに何があったのでは? ひょっとして、集合場所に来ないからだろうか?


「どないしたん?」


 雅は椅子から立ち上がった。何事だろうか? とても不安だ。浩一の身に何があったんだろうか?


「浩ちゃんが集合場所に来うへんのやて」


 徳次郎とハルは驚いた。どうしてこんな事が起こるんだろう。まさか、何らかの事故に巻き込まれていないだろうか?


「そんな・・・」


 雅は呆然となった。朝、元気に家を出たのに、何かあったんだろうか? 信じられない。


「交通事故に遭ってへん?」


 徳次郎とハルは不安になった。もし交通事故に遭って、入院したり、死んだらどうしよう。みんなとても悲しむだろうな。


「そんな事聞いとらへんよ」


 2人は焦っている。浩一に何があったんだろうか?


「おかしいわ・・・」


 6人は朝食を食べるのをやめ、不安そうな表情になった。千尋はアワアワしている。何か変な事でもなかっただろうか? ここ最近、浩一が元気がない所だけだ。


 次に、千尋は2階に向かった。浩一の部屋に、何かその手掛かりがあるのではと思った。ここ最近の浩一の表情から見て、何かあったような雰囲気だ。


 千尋は浩一の部屋に入った。浩一の部屋はいろんなものが散乱している。その状況から、千尋は浩一がとんでもない事になっていると直感で思った。何か悩み事があると、こんなにあれるものだ。何か、精神的につらい事があったのでは? 家族には言えない、何かがあったのでは? 千尋は一気に不安になった。そして、浩一は自殺をしようとしているんじゃないかと思った。


 と、千尋は机の上に1冊のノートが置いてあるのが目に入った。普通は閉まっているのに、どうしてここにあるんだろう。そのノートには題名がない。ただ、『坂井浩一』と書かれているぐらいだ。いったいこれは何だろう。全くわからないな。


 千尋はノートを開いた。そこには、今までされたいじめの内容が詳細に書かれている。誰にも言えないから、ここに書いていたと思われる。それを読んでいるうちに、千尋は拳を握り締めた。彼らが許せない。反省してもまたやっている。どうしたら反省するんだろう。


「キャー!」


 その時、2階で声が聞こえた。千尋の声だ。その声を聞いて、ハルは2階に急いでやって来た。何を発見したんだろう。嫌な予感がしてしょうがない。


 ハルが浩一の部屋にやって来た。千尋は震えている。何があったんだろう。早く教えてほしいな。


「千尋さん、どないした?」

「これ、これ!」


 千尋はハルに浩一の遺書を出した。題名がないノートだ。一体何だろう。ハルは呆然としている。


「な、何だ?」


 ハルはノートを開き、読んだ。それを読んで、ハルは驚いた。浩一はこんな事をされているのか。そう思って、ハルは怒りに満ちた表情になった。


「こ、これは?」


 千尋はすぐに電話で中学校に知らせた。早く通報しないと。自殺する前に言わないと、浩一の命が危ない。


 何も知らない中学校は、いつも通りの休日の朝を迎えていた。今日はいくつかの部活が練習試合で、多くの部活が朝から練習している。これがいつもの日常だ。


 突然、電話が鳴った。誰からだろう。教員は電話を取った。


「もしもし」

「もしもし、松岡千尋ですけど、坂井浩一くんの机の上から遺書が見つかりまして」


 千尋の声だ。まさか、この中学校でこんな事が起こるとは。教員は呆然となった。


「そ、そんな・・・」


 電話が切れた。教員は呆然となっている。


「えっ!? 誰の遺書やて?」


 教員は横を向いた。そこには、教頭がいる。


「そんな・・・」


 と、そこに浩一の担任の岡崎がやって来た。こんな時間に電話とは。何があったんだろうか?


「おはよう。朝から騒がしいけど、どないしたん?」

「浩ちゃんが遺書残して自殺しようとしたんや!」


 それを聞いて、岡崎は呆然となった。まさか、こんな事が起こるとは。浩一はいつも、何かに悩んでいるようだが、まさか自殺に至るとは。


「自殺?」

「うん。でも、まだ遺体が見つかってないさかい、死んだかどうかわからん」


 だが、遺書が見つかっただけだ。まだ自殺したかわからない。奇跡を信じよう。


「またいじめられとったんかいな?」

「他の人には言えへんだけど、そうらしいで」

「あいつめ」


 岡崎は拳を握り締めた。また茂だろう。懲りないやつだな。徹底的に叱らないと。


 その頃、千尋は拳を握り締めていた。そして、厳しい表情だ。何かを考えているようだ。


「どうしたのお母さん?」


 理沙の声に、千尋は横を向いた。だが、急に優しそうな表情になった。


「な、何もないよ」

「ふーん」


 理沙は明らかにおかしいと思った。何かを計画しているような感じだ。

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