表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと生きて  作者: 口羽龍
第2章 小学校(上)
28/37

15

 それから数日後、千沙と理沙、浩一はその男を見なくなった。一体、どこに行ったんだろうか? 噓がばれて、どこかに言ったんだろうか? とても気になっていた。


 千沙は怒っていた。大学生だと思っていたのに、本当は大学生ではなかった。本当は何をやっているのか、調べたいな。そして、男を問い詰めたいな。


 3人と雅、千尋は周辺を歩いていた。周辺は徐々に空襲の爪痕が消えてきて、復興してきた。路面電車も普通に走っている。大阪は元の活気を取り戻そうとしている。そして、歩いている人々は明るい表情になってきた。彼らは、これから戦後に向かっていく日本をどう思っているんだろうか? きっと、これから日本は明るい日々へとなっていくだろうと思っているんだろうか?


 しばらく歩いて、5人は狭い路地に入った。路地はとても静かだ。今日は日曜日だが、みんな中にいて、ゆっくりとしているんだろうか? それとも、どこかに出かけているんだろうか?


「あれっ、あの男・・・」


 しばらく歩いていると、5人はある男を見つけた。先日まで、近所のアパートで見つけた男だ。何日か前から、姿をくらましていると大家から聞いた。大家も探しているが、その男の行方はわからないという。男は辺りを見渡しながら、周辺をうろうろしている。明らかに、周りを気にしているような表情だ。何を気にしているんだろうか? まさか、誰かに隠れて何かをしようとしているんだろうか? 5人は男の行動が気になった。


 男はしばらく歩いた後、ある家に入った。ここにも住んでいるんだろうか? アパートにも住んでいるのに、ここにも住んでいるのかな? もし住んでいたら、かなりの大金持ちだな。


 だが、浩一は変に思っていた。家に入って、何をしているんだろうか? まさか、空き巣をしているんだろうか? もしそうなら、警察に通報しないと。


「えっ、この人、家に入って何をしとるんやろ」


 と、理沙は何かを思い出した。今日はこの家は留守で、誰もいないはずだ。なのに、男はどうして家に入るんだろうか? まさか、親族だろうか? いや、そんなはずはない。あの家は年老いた夫婦の2人暮らしだ。どうしてここに入っているんだろうか?


「この家、この時間は留守だって聞いたで」


 それを聞いて、理沙は思った。まさか、空き巣をしているんだろうか? ならば、警察に通報しないと。


「えっ、じゃあ、この人、空き巣?」


 それを聞いた千沙は確信した。これは空き巣だ。あの男は空き巣犯だったとは。大学生と聞いて知的だと思っていたのに。男の正体を知って、千沙は腹が立った。騙された気分になった。


「そうかもしれんわ」


 それを聞いて千尋は、早く警察に言おうと思った。まさか、身近な人に犯人がいたとは。その男の動向に注意しないと。もし見つかったら、逃げられるかもしれない。


「早く警察に言おや」

「そやね」


 千尋は決意した。あの空き巣犯を警察に言わないと。雅は呆然としていた。先日、家を訪れていた人が、空き巣犯だったとは。




 その翌朝、松岡家はサイレンの音で目を覚ました。警察に聞くと、その男は何回も空き巣を繰り返している常習犯で、なかなか捕まらないようだ。何度も周辺を歩き、住んでいたアパートを捜索したものの、全く捕まえられない状況だ。今度こそは捕まえられるんだろうか? 警察はとても不安になっていた。


 彼らは窓の外を見ていた。アパートの周りに警察がいる。その周りにはやじ馬がいる。彼らの中には、空き巣の被害にあった人もいる。彼らは願っていた。あいつを一刻も早く逮捕してくれ。そして、罪を償ってほしいな。


 警察がアパートの部屋から出てきた。だが、警察は下を向いている。警察は男を連れていない。どうやら、部屋にはいなかったようだ。まさか、またしても取り逃がしたんだろうか? 今度こそ逮捕できると思っていたが、また逃げられるとは。本当に腹の立つ犯人だ。


 雅はアパートの近くにやって来た。相変わらず多くの野次がいる。雅は警察に、男はどうしたのか聞いた。どうやら、男はまたしても逃走したようだ。この男は警察の動きを読むのがうまいようだな。


「えっ、失踪したん?」


 雅は驚いた。捕まったと思って、見ていたのに。この男はなかなか捕まらないな。


「警察の動きを察知したみたいや」

「そんな・・・」


 雅は呆然となった。一体、どこに行ったんだろう。ここから遠い所だろうか? それとも、この近くだろうか?


「どないしたん?」


 雅は振り向いた。そこには千沙と理沙がいる。2人も気になって、ここにやって来たようだ。千沙は眠たい目をこすっている。


「あの空き巣の人、どっか行ってしもうた」


 雅もがっかりした。もし捕まえたら、ほめてもらえると思ったのに。


「そっか。僕たちの動きを素早く察知したみたいやね。帰ろう」


 雅は家に戻っていった。3人とも、下を向いている。その後ろ姿を見て、警察は申し訳ない気持ちになった。なかなか犯人が捕まらないけれど、絶対に今度こそは捕まえてやる。そして、罪を償ってほしいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ