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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第2章 小学校(上)
21/39

8

 その放課後、茂と高木、松本は職員室に向かっていた。普通だったら帰りの会が終わった時点で帰るのに、今日は違う。畑山先生に呼び出されたからだ。理由はたぶんわかる。おそらく、浩一をいじめたからだろう。浩一もそれを認めていた。


 3人は職員室にやって来た。職員室は静かだ。何人かの教師が帰っていたが、3人のクラスの担任である畑山はいる。3人に言いたい事があるから残っているのだろう。


 3人はおびえながらも、畑山のもとに近づいた。畑山は怖い表情だ。


「いい加減にせぇよ!」


 畑山は3人をビンタした。やはり怒られた。怒られたくないのに。


「ご、ごめんなさい・・・」


 3人は頭を下げ、謝った。だが、畑山は怖い表情だ。反省していないように見える。反省せず、何度も何度もいじめているからだ。3人はより一層びくびくしている。今度はどんな事をされるんだろう。想像しただけで、気分が悪くなっていく。だが、認めなければならない。自分がした悪い事なのだから。


「反省してへんやろ!」

「ほ、本当にごめんなさい・・・」


 だが、畑山の表情は変わらない。この子たちは全く反省していない。何度も浩一をいじめている。反省せずに何度も繰り返していると、必ずそのつけが返ってくるだろう。そうなったら、俺たちは何にも知らないぞ。覚悟しろ!


「何度迷惑をかけたらわかんねん!」

「ご、ごめんなさい・・・」


 3人は再び謝った。だが、畑山は怒っている。


「反省しろって言ってるやろ!」


 結局、3人は怒られてしまった。その帰り道、ずっと下を向いていたという。




 その頃、千沙と浩一、理沙は一緒に帰っていた。いつもは怖い帰り道だけど、今日は3人一緒に帰ろう。そうすれば楽しいし、明日も学校に行きたくなるから。


「大丈夫やった?」


 理沙は浩一を心配していた。いじめの事を話したけれど、これで本当によかったんだろうか? また反省せずにやる事はないんだろうか?


「うん・・・」


 浩一は少し戸惑っている。本当に反省するんだろうか? またやらないだろうか?


「また明日からいい日になるとええね」


 千沙も浩一を心配していた。明日はいい日になるといいな。


「そ、そやね・・・」


 それでも浩一は下を向いていた。本当に明日はいい日になるんだろうか? とても不安だ。またいじめられないか不安だ。だけど、明日も学校に行かないと。


 突然、千沙が浩一の肩を叩いた。浩一は驚いた。


「元気出せや!」

「う、うん・・・」


 だが、浩一は元気が出ない。本当にそれでよかったんだろうか? まだまだ不安だ。


 3人は小学校から帰ってきた。実家を見るとホッとする。どうしてだろう。ここは小学校に比べて平和だからだろうか?


「ただいまー」


 その声とともに、千尋がやって来た。千尋はエプロンを付けている。


「おかえりー、どやった?」


 その声を聞いて、浩一はほっとした。家に帰ってこれたからだ。ここが一番平和な場所だ。小学校よりもずっとこっちがいい。


「謝ってたで」

「それはよかったわ。やけどもうやらんやろか?」


 だが、千尋は不安だ。またいじめないだろうか? 彼らは反省していた記憶がない。またいじめるばかりだ。もうこれ以上やったら、どうしよう。千尋はあきれていた。


「それはわからんけど、期待しようや」


 だが、浩一は少し期待していた。かなり怒られている所を陰で聞いていたからだ。こんなに怒られたら、もうやらないだろうな。ちょっと期待してみようかな?


「そやね・・・」


 だが、千沙と理沙は不安だ。またやるんじゃないだろうか?


「どないしたん?」

「またやるんちゃうかと思って」


 だが、千尋は前向きだ。今度こそ誤っているようだから、ここは期待しよう。


「そんな事ないと思うで。みんなを信じようや」

「そ、そやね・・・」


 戸惑いつつ、3人は2階に向かった。その様子を、千尋は不安そうに見ていた。明日からこの3人はどうなるんだろう。浩一はまたいじめられないだろうか? 平和に小学校生活を送れるんだろうか?




 翌日、浩一はいつものように小学校にやって来た。昨日は反省しているようだった。でも、今日は大丈夫だろうか? 少し不安だ。


「ごめんね」


 突然、誰かが話しかけた。茂だ。どうしたんだろうか? 昨日とは全く表情が違う。反省しているんだろうか?


「ええよ。僕は悪い事をしやんからな」


 浩一は戸惑いつつも、少し笑みを浮かべた。どうやら反省しているようだ。でも、本当にもうしないんだろうか?


「わかった」

「人は人。他人は他人って事やね」


 茂は思った。確かに浩一の育ての両親は虐待で捕まった。だけど、だからと言って浩一が悪い事をして逮捕されるってわけはない。人は人、他人は他人だ。浩一がどんな子になっていくかはわからない。だから、そんなのは関係ないんだ。


「うん」


 茂は去っていった。それと入れ替わりに、千沙がやって来た。千沙は嬉しそうな表情だ。


「よかったやん。今度はよくなるとええのに」

「そやね」


 千沙は期待していた。きっと茂たちは反省するだろうな。

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