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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第2章 小学校(上)
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1

 4月7日、いよいよ入学式だ。ここまでいろいろあったけれど、こうして入学式を迎えられた。とても嬉しい事だ。これからもっと頑張っていってほしい。そう願っている。


 千沙と浩一はリビングでくつろいでいる。みんな、嬉しそうだ。


「おはよう」

「おはよう」


 誰もが笑顔だ。その理由はわかっている。千沙と浩一の入学式だからだ。


「今日は入学式やね」

「うん!」


 2人の姿を見て、4人は笑顔になった。2人の晴れ姿、とてもかわいいな。


「かわいいね、千沙、浩ちゃん」

「ありがとう!」


 そろそろ入学式に行く時間だ。それに気づいて、千尋もあわてていた。その様子を見て、徳次郎とハルは嬉しそうだ。今日は2人の晴れ舞台だからだ。


 そして、千沙と浩一、千尋が小学校に向かう時が来た。それを見て、雅と徳次郎、ハルがやって来た。


「行ってきます!」

「行ってきます!」


 千沙と浩一が元気よく挨拶をした。それを見て、雅は笑顔を見せた。


「行ってらっしゃい!」


 ふと、雅は振り向いた。そこには理沙がいる。理沙は来年だ。理沙はその様子を、どう見ているんだろうか?


「理沙、お前も来年はこうなるんやで! 嬉しい?」

「嬉しい!」


 理沙は嬉しそうだ。理沙も小学校に通うのが楽しみなんだろうか?


「そっか。それはよかったわ」


 雅は理沙を抱っこした。理沙は嬉しそうな表情だ。




 3人は小春日和の中を歩いていた。街は徐々に復興してきた。その中には、子供たちが多くいる。子供たちの多くはスーツを着ている。彼らも入学式だろうか? 2人は嬉しそうだ。もし、この子も入学式なら、友達になりたいな。そして、充実した6年間を送りたいな。


 だが、その中で変な視線で見ている親もいた。見ているのは、浩一だ。浩一は千尋の子ではない。松岡家の居候だ。そう思うと、変な目になった。


 しばらく歩いていると、小学校が見えてきた。校門の前には、入学式の看板がある。その横には、先生と思われる女性がいる。新1年生とその保護者が、その門をくぐっていく。彼らはみんな嬉しそうだ。


 校門から小学校に入ろうとすると、1人の女性がやって来た。校長のようだ。


「おはようございます!」


 千沙は千尋と一緒に挨拶をした。それを見て、女性は笑みを浮かべた。挨拶をしたので、喜んでいるようだ。


「元気に言えたね!」


 続いて、浩一もお辞儀をした。


「おはようございます!」


 それを見て、女性はお辞儀をした。2人とも、挨拶がしっかりとしている。きっといい子に育つだろうな。


「浩ちゃんも元気に言えたね!」

「ありがとうございます!」


 そして、2人は校舎に向かっていった。その様子を、女性は嬉しそうに見ている。




 入学式を終え、2人は教室に入った。偶然にも、千沙と浩一は一緒のクラスだ。この教室で、どんな1年になるんだろう。全くわからないけれど、きっといい1年だろう。


「ここが教室かー」

「楽しみやなー」


 教室には何人かの生徒がいる。彼らも楽しそうだ。


 その一方で、ある生徒がひそひそ話をしていた。だが、千沙と浩一には聞こえていない。


「あの子、知ってるか? 両親が捕まったんだぜ!」


 その男の子、大村茂おおむらしげるは浩一を見ている。茂は浩一の事を知っていた。あの子は両親が捕まった。今は千沙の家に居候しているそうだ。


「本当?」

「ああ」


 ふと、茂は思った。あいつらをからかってやろう。あいつら、両親がいないから、どんなにいじめても問題ないだろう。


「からかってやろうぜ!」


 だが、隣にいる少年、隆史たかしはダメだと言っている。いくらなんでも、いじめはダメだろう。


「いいの? 悪い事やで」


 と、茂は肩を叩いた。いじめに誘っているようだ。


「ええじゃん。友達やろ?」

「う・・・、うん・・・」


 結局、隆史は茂に協力する事にした。悪い事をしているとわかっているにもかかわらず、友達であるという理由で。




 今日の学校を終え、千沙と浩一は帰り道を歩いていた。今日は午前中で終わりだった。だが、しばらくすると午後まであるだろう。それに備えないと。


 と、そこに茂と隆史がやって来た。だが、2人は気づいていない。


「おい、お前、犯罪者の息子らしいな?」


 千沙と浩一は振り向いた。そこには同級生の茂と隆史がいる。どうして浩一の秘密を知っているんだろう。


「えっ!?」

「とぼけんな!」


 茂は浩一を殴った。浩一は痛がった。それを見て、千沙は茂に立ちふさがった。


「やめて!」


 だが、茂は避けて、浩一を殴った。浩一がむかつくようだ。


「お前も犯罪者になるやな!」

「そんなわけあらへん! 言うな!」


 だが、浩一は否定する。僕は普通の子供だ。犯罪者になるわけがない。これから成長して、いい大人になっていくのに。どうしてそんな事を言うんだ。


「やったれやったれ!」


 隆史も茂につられて殴り始めた。千沙はかばおうとしているが、割り込む事ができない。浩一がこんなにかわいそうなことをされているのに、自分には何もできない。


「やめて! 助けて!」


 と、そこに別の少年がやって来た。茂と隆史を止めようとしているようだ。


「あんたたち、やめなよ!」

「邪魔だ!」


 だが、茂は少年を振り払い、浩一を殴り続ける。


「浩ちゃん!」

「ちーちゃん、痛いよ・・・」


 千沙は何もできずに、ただ見ている。本当は助けたいのに。


「やめろ!」


 ようやく殴り終えた。茂は満足した様子で歩いていく。浩一は泣きながら、その後姿を見ている。入学して早々、こんな事をされるとは。果たして、どんな日々が待っているんだろうか? 浩一は不安になった。千沙は心配そうに、浩一を見ている。

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