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4月7日、いよいよ入学式だ。ここまでいろいろあったけれど、こうして入学式を迎えられた。とても嬉しい事だ。これからもっと頑張っていってほしい。そう願っている。
千沙と浩一はリビングでくつろいでいる。みんな、嬉しそうだ。
「おはよう」
「おはよう」
誰もが笑顔だ。その理由はわかっている。千沙と浩一の入学式だからだ。
「今日は入学式やね」
「うん!」
2人の姿を見て、4人は笑顔になった。2人の晴れ姿、とてもかわいいな。
「かわいいね、千沙、浩ちゃん」
「ありがとう!」
そろそろ入学式に行く時間だ。それに気づいて、千尋もあわてていた。その様子を見て、徳次郎とハルは嬉しそうだ。今日は2人の晴れ舞台だからだ。
そして、千沙と浩一、千尋が小学校に向かう時が来た。それを見て、雅と徳次郎、ハルがやって来た。
「行ってきます!」
「行ってきます!」
千沙と浩一が元気よく挨拶をした。それを見て、雅は笑顔を見せた。
「行ってらっしゃい!」
ふと、雅は振り向いた。そこには理沙がいる。理沙は来年だ。理沙はその様子を、どう見ているんだろうか?
「理沙、お前も来年はこうなるんやで! 嬉しい?」
「嬉しい!」
理沙は嬉しそうだ。理沙も小学校に通うのが楽しみなんだろうか?
「そっか。それはよかったわ」
雅は理沙を抱っこした。理沙は嬉しそうな表情だ。
3人は小春日和の中を歩いていた。街は徐々に復興してきた。その中には、子供たちが多くいる。子供たちの多くはスーツを着ている。彼らも入学式だろうか? 2人は嬉しそうだ。もし、この子も入学式なら、友達になりたいな。そして、充実した6年間を送りたいな。
だが、その中で変な視線で見ている親もいた。見ているのは、浩一だ。浩一は千尋の子ではない。松岡家の居候だ。そう思うと、変な目になった。
しばらく歩いていると、小学校が見えてきた。校門の前には、入学式の看板がある。その横には、先生と思われる女性がいる。新1年生とその保護者が、その門をくぐっていく。彼らはみんな嬉しそうだ。
校門から小学校に入ろうとすると、1人の女性がやって来た。校長のようだ。
「おはようございます!」
千沙は千尋と一緒に挨拶をした。それを見て、女性は笑みを浮かべた。挨拶をしたので、喜んでいるようだ。
「元気に言えたね!」
続いて、浩一もお辞儀をした。
「おはようございます!」
それを見て、女性はお辞儀をした。2人とも、挨拶がしっかりとしている。きっといい子に育つだろうな。
「浩ちゃんも元気に言えたね!」
「ありがとうございます!」
そして、2人は校舎に向かっていった。その様子を、女性は嬉しそうに見ている。
入学式を終え、2人は教室に入った。偶然にも、千沙と浩一は一緒のクラスだ。この教室で、どんな1年になるんだろう。全くわからないけれど、きっといい1年だろう。
「ここが教室かー」
「楽しみやなー」
教室には何人かの生徒がいる。彼らも楽しそうだ。
その一方で、ある生徒がひそひそ話をしていた。だが、千沙と浩一には聞こえていない。
「あの子、知ってるか? 両親が捕まったんだぜ!」
その男の子、大村茂は浩一を見ている。茂は浩一の事を知っていた。あの子は両親が捕まった。今は千沙の家に居候しているそうだ。
「本当?」
「ああ」
ふと、茂は思った。あいつらをからかってやろう。あいつら、両親がいないから、どんなにいじめても問題ないだろう。
「からかってやろうぜ!」
だが、隣にいる少年、隆史はダメだと言っている。いくらなんでも、いじめはダメだろう。
「いいの? 悪い事やで」
と、茂は肩を叩いた。いじめに誘っているようだ。
「ええじゃん。友達やろ?」
「う・・・、うん・・・」
結局、隆史は茂に協力する事にした。悪い事をしているとわかっているにもかかわらず、友達であるという理由で。
今日の学校を終え、千沙と浩一は帰り道を歩いていた。今日は午前中で終わりだった。だが、しばらくすると午後まであるだろう。それに備えないと。
と、そこに茂と隆史がやって来た。だが、2人は気づいていない。
「おい、お前、犯罪者の息子らしいな?」
千沙と浩一は振り向いた。そこには同級生の茂と隆史がいる。どうして浩一の秘密を知っているんだろう。
「えっ!?」
「とぼけんな!」
茂は浩一を殴った。浩一は痛がった。それを見て、千沙は茂に立ちふさがった。
「やめて!」
だが、茂は避けて、浩一を殴った。浩一がむかつくようだ。
「お前も犯罪者になるやな!」
「そんなわけあらへん! 言うな!」
だが、浩一は否定する。僕は普通の子供だ。犯罪者になるわけがない。これから成長して、いい大人になっていくのに。どうしてそんな事を言うんだ。
「やったれやったれ!」
隆史も茂につられて殴り始めた。千沙はかばおうとしているが、割り込む事ができない。浩一がこんなにかわいそうなことをされているのに、自分には何もできない。
「やめて! 助けて!」
と、そこに別の少年がやって来た。茂と隆史を止めようとしているようだ。
「あんたたち、やめなよ!」
「邪魔だ!」
だが、茂は少年を振り払い、浩一を殴り続ける。
「浩ちゃん!」
「ちーちゃん、痛いよ・・・」
千沙は何もできずに、ただ見ている。本当は助けたいのに。
「やめろ!」
ようやく殴り終えた。茂は満足した様子で歩いていく。浩一は泣きながら、その後姿を見ている。入学して早々、こんな事をされるとは。果たして、どんな日々が待っているんだろうか? 浩一は不安になった。千沙は心配そうに、浩一を見ている。