表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと生きて  作者: 口羽龍
第6章 高校(上)
125/125

1

 そして、4月7日を迎えた。今日から高校だ。浩一は気合が入っている。これが東京の大学に進むための第一歩だ。この3年間を頑張って、それに続けないと。一方千沙は、普通通りだ。東京に行きたいとは思っていない。ここに残って、ハルの世話をしたいと思っているようだ。だが、高校は経験しないと。


「今日から高校生か」


 浩一はカレンダーを見ている。いよいよ今日が入学式なんだと実感している。


「色々あったけど、高校生活を楽しみんさい」


 浩一は振り向いた。そこにはハルがいる。ここまで支えてくれたハルに感謝しないと。雅も千尋も逮捕され、徳次郎が自殺した中で、女手一人で育ててきた。今こそ恩返しをする時だと思っている。


「うん」


 そろそろ時間だ。高校に行かないと。千沙と浩一は立ち上がった。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


 千沙は高校に向かった。中学校は一緒に通っていたが、高校は別なので、別々に登校する。ハルは思った。大丈夫だろうか? いつも一緒だった2人が初めて、別々に登校するから。


「楽しんでくれるとええね」


 ハルは振り向いた。そこには遠山がいる。遠山も嬉しそうだ。


「うん」


 そして、浩一も出発していく。浩一は別の道から行き、高校に向かう。


「じゃあ、行ってくるね」

「じゃあね」


 浩一は高校に向かっていった。路面電車に乗って行くが、千沙とは乗る電車が別だ。高校が違うからだ。浩一は少し違和感を覚えたが、すぐに慣れるだろう。


 浩一は満員の路面電車に乗っていた。とても緊張している。高校はどんな所だろうか? どんな子が通っているんだろうか? みんないい人だろうか? 友達になれる人がいるだろうか? 中学校でいじめを受けていた浩一は不安でいっぱいだ。


 30分ぐらい乗って、浩一は高校の最寄りの停留場にやってきた。この駅で多くの学生が降りた。みんな、今日から浩一が通う高校の生徒と思われる。


 浩一は校舎の前に立った。今日からここで授業を受けるんだ。浩一は再び気合が入った。


「今日からここか」


 浩一は廊下を歩いていた。廊下には多くの生徒が行きかっている。浩一はとても緊張している。こんな雰囲気なんだな。早くこの雰囲気に慣れないと。


「ここやったな」


 浩一は教室に入り、荷物を机の横に置いた。浩一は辺りを見渡している。黒板の上には校訓の書かれた額縁がある。これが進学校の雰囲気なのか。これを見ると、頑張らないとと思えてくる。


「ねぇ」


 浩一は誰かから声をかけられた。その男は、おかっぱ頭の男だ。初めて会う人だ。誰だろう。


「ん?」

「どこから来たん?」

「天満」


 ここから来たのか。大阪駅に近い場所だな。


「そっか。僕は京橋からや」


 京橋から来たのか。京橋入った事がない。どんな場所だろうか?


「そうなんや」


 浩一は緊張している。男はその表情が気になった。


「緊張しとる?」

「うん」

「僕もやで」


 どうやらこの男の子も緊張しているようだ。お互い様だな。


「ここに入学するの、大変やった?」

「うん」


 どっちもここに入学するには、相当の受験勉強が必要だったようだ。でも、その甲斐あってここに入学する事ができた。だが、ここでゴールではない。大学受験がゴールなんだ。どこの大学に進学するかが焦点なんだ。


「僕もやで。勉強ばかりで大変やった」

「僕もそうやった。やけど、入学できてほんまよかったよ」


 2人ともほっとしていた。そして、これからもっと頑張らなければ。


「これからいい大学に行けるように頑張ろうや」

「おう」


 男の子は気になった。浩一はどこの大学に行きたいんだろうか?


「どこに行こうと思っとるん?」

「東京の大学」


 それを聞いて、男の子は驚いた。東京の大学を目指しているとは。目標が大きいな。すごいな。


「そうか! 僕は地元の大学やね」

「そうなんや」


 どうやら、男の子は大阪の大学を目指すようだ。どこを目指すとはいえ、この3年間を頑張らないと、将来は見えないだろう。


「お互い頑張ろうや!」

「うん!」


 と、足音が聞こえてきた。担任の先生が近づいてきたようだ。


「あっ、先生が来た!」


 そして、先生がやって来た。先生は厳しい表情の男の先生だ。2人とも気合が入る。




 今日1日の学校を終え、2人は帰っていた。その男は江田直人えだなおとというらしい。優しくて、誰とも仲良くなれそうだな。


「明日からいよいよ授業やね」

「うん」


 いよいよ明日から授業だ。どんな授業があるかわからないけれど、頑張っていかないと。これが東京の大学に進むための第一歩だからだ。


「どんな授業が待ってるんやろね」

「わからないけれど、頑張らんと」

「うん」


 2人は最寄りの停留所に着いた。直人は向かいのホームに立った。浩一とは別のホームだ。ここでお別れのようだ。明日、また会いたいな。


「じゃあね、バイバイ」

「バイバイ」


 浩一は路面電車に乗り込んだ。そして、直人に向かって手を振った。すると、直人も手を振った。今日は新しい友達になれそうな人と出会った。とてもいい日だったな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ