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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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26

 その頃、理沙は空を見ていた。理沙は思っていた。来年、自分もこんな事を経験しなければならないんだろうか? つらいけれど、それは乗り越えなければならないんだろうか? こんな事は初めてなので、不安だな。だけど、乗り越えないと。


「どないしたん?」


 理沙は振り向いた。そこにはハルがいる。ハルは理沙を心配している。今朝、不安な表情だったので、気になったようだ。


「私も来年、こんな経験をするんかと思うて」

「理沙・・・」


 ハルは思った。もう理沙が高校受験の事を考えているとは。まだまだ先の事なのに。まだ考えなくてもいいのに。まだ考えるのは早いのでは?


「確かにやるで。今はまだ考える時やないけど、考える時はもうじきやで」

「そうなんや」


 やっぱりもうすぐ考える時期なのか。私は千沙と同じ高校に進まなければならないのか? それとも、千沙とは別の高校に進まなければならないのか? 理沙は悩んでいた。


 ハルは思っていた。どんな道を進んでいい。雅や千尋のように、道を踏み外すようなことをしないでほしい。


「理沙は、どんな道を進むんかな? わからんれど、ええ道を進んでほしいわ」

「ほんま?」


 理沙は考えた。どんな道を進めばいいんだろう。全くわからないな。


「うん。悔いのない、素晴らしい道やったら最高やわ」

「素晴らしい道、か・・・」


 理沙は自分の人生を考えた。まだまだ考えていないけれど、素晴らしい人生だったらいいな。恋をして、結婚して、子供たちを設けて、孫にも恵まれて、幸せに人生を終えられたら嬉しいな。


「まだどんなのかわからんれど、素晴らしい日々だったらええのよ」

「うーん・・・」


 と、ハルは理沙の肩を叩いた。理沙は驚いた。


「まだ考えなくてええのよ。これから考えればええのよ」


 まだ考える時期ではないのか。それはいつになるんだろうか? 千沙や浩一と同じく、5月ぐらいなんだろうか?




 その頃、浩一は入試問題を解いていた。浩一は入試問題をスラスラと解いていく。問題なさそうだ。この日のために、一生懸命勉強をしてきた。今日はその実力を発揮する時なんだ。


 浩一は解き終えた。浩一は自信満々だ。だが、本当にこれでいいのかという不安もある。


「終わり!」


 そして、入学試験が終わった。職員が入試問題を回収していく。浩一はそれをじっと見ている。


 入学試験を終えて、浩一は校舎を後にしようとしていた。今日は大変だった。後は天命を待つだけだ。どんな結果になるかわからないけれど、いい結果であってほしいな。


「どやった?」


 浩一は振り向いた。そこには山本がいる。


「なかなか良くできた、と思うわ」

「そっか。結果を待とや」


 山本は笑みを浮かべている。山本も自信がありそうだ。浩一も笑顔だ。自信があるんだろうかと山本は思った。


「人事を尽くして天命を待つだけやな」

「いい事言うやん!」


 山本は浩一の肩を叩いた。いい事を言っている浩一をほめているようだ。




 家の最寄りの停留所を降りた浩一は、山本と一緒に帰り道を歩いていた。昼間は閑散としている。あまり目にしない、昼間の風景だ。朝は騒然としているが、今はそれが全く嘘のような静けさだ。


「どやった?」

「よく頑張れたと思うよ」


 2人は今日の入学試験を振り返っていた。今日まで、高校受験でいろんな事があったけれど、全力を尽くせたと思う。


「そう・・・」

「明日も入試やね」


 だが、浩一は明日も入学試験だ。明日は併願で志望している高校の入学試験だ。まだまだ油断できない。滑り止めとはいえ、気合を入れないと。入学試験は常に全力で挑まないと。


「うん。併願やけど、そっちも頑張らんと」

「そやね」


 山本は千沙の事も考えた。明日は千沙も入試だと聞いた。千沙はどうだったんだろうか?


「ちーちゃんも浩ちゃんも、頑張ってな」

「うん!」


 浩一も千沙の事を考えた。明日の入学試験、千沙はどうなるんだろうか? 全力を出せるんだろうか? とても気になるな。


「結果、どうやろな」

「気になるん?」


 浩一は結果が気になっているようだ。これが決まるか決まらないかで、東京の大学に進めるかどうかがかかっていると思っている。もし落ちれば、東京の大学に進むのはあきらめるかもしれない。住みたいと憧れている東京に住むには、これは外せないと思っているようだ。


「うん。いつか東京で頑張りたいねん」

「そう。じゃあ、頑張ってや」


 浩一は家の前にやって来た。家の前で、山本と別れた。浩一は家に入ると、すぐに手を洗い、2階に向かった。今日も勉強だ。明日も入学試験だ。まだまだ油断できないだろう。


「さて、頑張らんと」

「一生懸命やね」


 1階から、ハルは浩一を見ていた。浩一はとても一生懸命だな。東京の大学に進み、東京で就職したいと思っているからだろう。千沙以上に気合が入っているし、勉強をよくやっている。本当に熱心だな。


「うん」


 すでに帰っている千沙も、勉強をしている。明日は専願の高校の入学試験だ。


「ちーちゃんも、頑張っとるね」

「明日も入試だからね。明日は、専願の高校やよ」

「頑張ってな!」


 ハルは千沙も応援した。自分もかわいい孫娘だ。頑張ってほしいな。そして将来、自分を支えてほしいな。


「うん! でも、大学には進まないつもり。だって、おばあちゃんを支えたいねん」

「親孝行なちーちゃんやね」


 遠山は笑みを浮かべている。千沙は他人思いの優しい子だな。きっといい大人になるだろうな。


 と、リビングの理沙は何かを考えていた。また入学試験の事を考えているんだろうか?


「どないしたん?」

「私、どうしようかなと思うて」


 また理沙は進路の事で悩んでいるようだ。まだまだ考える時期じゃないのに。どうして理沙はこんなにも進路や受験を考えるんだろうか?


「ええ人と巡り合って、嫁げばええやん」

「うーん、そやね」


 だが、それでも理沙は戸惑っている。いつか考えなければいけないのに。


「あんたの人生、楽しみんさい」

「はい!」


 理沙は再び2階に向かった。また勉強をしに行くと思われる。

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