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そして、入学試験の日を迎えた。今日は浩一が専願の、千沙が併願の入学試験だ。2人とも緊張している。だが、いつも通りの気持ちで行こうと思っている。だが、なかなかできない。これが入学試験の朝なんだろうか? 1階に降りる時も緊張している。こんなに緊張した日は今までにない。
「おはよう」
「おはよう」
2人はダイニングに入った。そこにはハルがいる。ハルはいつもの表情だ。
「いよいよ高校受験やね」
「うん」
2人ともそれを聞いて、ハッとなった。それほど気になるのだろう。ハルにはその理由がわかる。
「お互い頑張ろうや」
「ああ」
2人は互いの健闘を祈った。今までの受験勉強の成果を発揮する時だ。ベストを尽くせば絶対に結果が出てくるだろう。お互い頑張ろう。
と、そこに理沙がやって来た。理沙は中学校2年生。受験はまだだ。いつも通りの朝だ。
「おはよう」
「おはよう」
2人は挨拶をした。だが、理沙の表情が違う。2人が入学試験だから、表情が違うのかな?
「お姉ちゃん、浩ちゃん、今日やね」
「うん!」
やはりそのようだ。理沙も2人が入学試験だという事を知っていた。前々から3人が口々に言っていたからだ。来年は自分がその立場に立つんだ。どんな進路にしようかはまだ決まっていないけれど、自分がもっともっと成長できる高校に進みたいなと思っている。
「今日は頑張ってや!」
「まかしとけ!」
浩一は笑みを浮かべた。だが、心の中では緊張している。今日、自分の運命が決まるのだから。そして、東京の大学に行けるかどうかもこれで決まってくるようなものだ。絶対に合格してやる!
「自信ありそうやね」
「うん」
浩一は自信満々だ。今日まで受験勉強を頑張ってきた。合格する自信はある。絶対に合格してやる! そして、東京の大学に進むんだ。
「いただきまーす」
3人は朝食を食べ始めた。2人ともいつものように食べている。受験のある2人はそれに加えて、卵焼きがある。頑張ってほしいから、ハルが朝食に追加したようだ。
「頑張ってや!」
「ああ」
千沙も自信気に答えている。だが、千沙は不安だ。周りはもっともっと勉強しているんじゃないかと思っている。浩一は自分以上に頑張っている。ひょっとして、周りの人は浩一ぐらい頑張っているんじゃないかと思えてくる。
「今日が勝負の日。絶対に合格すると信じとるで」
「頑張るで」
2人は食べ終わった。食べた後も2人とも緊張している。
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
食べ終わった2人は、少しリビングでくつろいでいる。ハルは2人の後ろ姿を見ている。この子たちは、どんな道を進むんだろうか? どうか、雅と千尋みたいにならないでほしい。自分で自分の明るい未来を築き、明るい未来を歩いてほしい。
2人はすぐに歯を磨いて、2階に向かった。いよいよ入学試験に向かうのだ。ハルはそんな2人を頼もしそうに見ている。
5分ぐらい経って、2人が2階から大広間にやって来た。いよいよ入試会場に出発する時だ。
「行ってきまーす」
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
そして、2人は入試会場に向かっていった。2人は前を向いて歩いている。朝早くで、歩いている人はあまりいない。とても静かな朝だ。だが、入試会場はざわついていて、多くの受験生が来ているだろうな。そう思うと、気持ちが引き締まる。
実家の最寄りの路面電車の停留所で、2人は別れた。2人は別の系統の路面電車で、別々の入試会場に向かう。まずやって来たのは、浩一が乗る路面電車だ。この時間帯は朝ラッシュで、多くの人が乗っている。それを見て、浩一は思った。自分も大人になったら、こういう風に通勤するのかな? 東京はもっと多くの人がいて、大変だろうな。だけど、自分はそこを目指している。だから、驚いていてはいけないな。
「じゃあね、頑張ってや!」
「うん! そっちも頑張ってや」
「ああ」
浩一は路面電車に乗り込んだ。ドアが閉まり、路面電車は出発していく。千沙はそれを見送っている。千沙は次の路面電車に乗る予定だ。
浩一は移動中、ずっと暗記集を見ていた。電車の中でも勉強は欠かせない。時は金なり。入学試験に合格するには、この時間も逃せない。
浩一は入試会場の最寄り駅にやって来た。停留所は正門の前にある。正門の辺りには多くの受験生が来ている。彼らはここの入学試験を受ける人々だと思われる。彼らの中に、合格する人は現れるんだろうか?
「さて、ここか」
「浩ちゃんやん!」
浩一は振り向いた。同級生の山本がいる。まさかここで山本と遭遇するとは。何という偶然だろうか?
「山本くん!」
「僕もここ受けるんや」
浩一は驚いた。まさか、浩一もここを受けるとは。浩一は成績優秀だから、位の高いコースだろうな。自分は浩一ほど高くないコースを受けようと思っている。
「お互い頑張ろうや」
「ああ」
2人は一緒に入試会場の校舎に入ったが、途中で別れた。別の教室だからだ。
浩一は入試会場に入った。入試会場には多くの人が来ている。みんな、緊張しているようだ。
「もうすぐやな」
と、そこに男がやってきた。この学校の職員のようだ。男は紙を持っている。これが入試問題のようだ。浩一は緊張している。これが自分の運命を握っているからだ。男は入試問題を配っていく。
「始め!」
その掛け声とともに、浩一は入試問題を表に向け、問題を解き始めた。




