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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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22

 年が明けて1956年になった。今年は勝負の年だ。千沙と浩一が高校受験だからだ。この年ほど重要じゃない年は今までにないと思う。みんなそう思っていた。


 2人は1階に降りてきた。1人とも真剣な表情だ。それだけ、この年がいかに重要かがわかる。


「おはよう」

「おはよう」


 ハルは笑みを浮かべている。普段は真剣な表情だが、今日は笑みを浮かべている。新年が明けたんだから、今日だけは笑顔なのだろう。受験で大変だけど、今日は祝わないと。


「あけましておめでとう!」

「あっ、あけましておめでとう」


 千沙は戸惑っている。いつも真剣な表情のハルが喜んでいるからだ。浩一も戸惑っている。だが、元日ぐらいは笑顔でいようと思っているようだ。


「今年もよろしくお願いします!」


 ハルが笑顔だ。2人は少しずつ笑顔になっていった。今日は元日だ。いろいろと大変だけど、今日は素直に祝わないと。


「今年はいよいよ受験やね」

「うん」


 そう言われると、2人は真剣な表情になった。今年は勝負の年だ。受験がうまくいくように頑張らないと。


「頑張らんと」

「そやね」


 だが、千沙はやわらかい表情だ。今日ぐらいは祝おうよ。


「何はともあれ、おせちを食べて新年を祝おうや」

「うん」


 すでに食卓にはおせちがある。いつもそんなに多くないが、今年は受験だから、応援のためにも少し豪華にしてある。3人ともとても嬉しそうだ。


「いただきまーす」

「いただきまーす」


 4人はおせちを食べ始めた。今年のおせちは例年に比べておいしい。どうしてだろう。ハルが2人同様、頑張っているからかな?


「うまい!」

「ほんまや!」


 3人とも驚いている。ハルは喜んでいる。いつも以上に頑張っている甲斐があるな。


「今年はいい年になるとええね。そして、勉強を頑張って、志望校に行けるように頑張らんと」

「ああ」


 突然、ハルは浩一の肩を叩いた。浩一は気合が入った。今年は頑張らないと。


「頑張んなあい!」

「うん!」


 次に、ハルは千沙に目をやった。千沙はわかっていた。千沙にもエールを送りたいと思っているようだ。


「ちーちゃんもね」

「うん」


 ハルは思った。高校を卒業したら、何をしたいと思っているんだろうか? まだ、ハルを支えたいと思っているんだろうか?


「ちーちゃんは、高校を卒業したら、どうしたいん?」

「おばあちゃんを支えたいなと思っとる。もう年やし」


 やはりそう思っているようだ。千沙は祖母思いの優しい孫娘だな。


「そやね。おおきに。ちーちゃんはおばあちゃん想いやね」

「ウチは、好きな人を作って、一緒に暮らしたいわ。それはいつになるんやろ」


 理沙も自分の未来を思い描いていた。まだ好きな人はいないけれど、早く作って、結婚して、独り立ちしたいな。その為には、来年の高校受験が鍵を握っていると思う。入った高校で、どんな人と巡り会えるかわからないけれど、いい人と巡り会いたいな。


「そやね。いい人と巡り合えるとええね」

「うん」


 浩一も考えていた。高校でいい人と巡り会いたいな。そして、その人と結婚できたらいいな。


「僕もいい女と巡り合えたらええな」

「そやね。どんな人と一緒になるんかな?」


 ハルは思っていた。浩一はどんな人と結婚するんだろう。そして、どんな家族を作るんだろうか?


「まだまだやよ。これから作るん?」

「たぶん」


 だが、そのためには勉強をするしか道はない。勉強をしなければ、高校受験はうまくいかない。僕たちの未来はないと思っている。


「そのためには、勉強を頑張らんと」

「うん」


 3人はおせちを食べ終わった。とてもおいしかったな。今年1年も頑張ろうと思えてくる。


「ごちそうさま!」


 その後、3人は家でゆっくりしていた。正月3が日は勉強を休みにして、しっかりと気持ちを休めないと。勉強は大事だけど、休息も大事だ。そして、それが終わったら、また頑張らないと。


「今日はのんびりとしてるね」

「正月3日はゆっくりせんと」


 遠山は思っていた。正月の3が日は勉強を休みにして、リフレッシュした方がいいに決まっている。勉強ばかりではつらいだろう。


「そやね」


 と、理沙は考えた。自分も来年は受験だ。どんな日々が待っているんだろうか? 今年からが勝負だと思っている。その為には、もっと勉強を頑張らないと。


「私も今年から受験なんやね」


 と、ハルは目の色を変えた。まだ考える時期ではない。5月ぐらいから考えて、夏休みから本格的に頑張ればいいじゃないか。


「理沙、まだ考えないの」

「うーん・・・」


 だが、理沙はそうはいかない。今からしっかりと考えないと。理沙は真剣な表情だ。


「まだ考える時期ちゃう。3年生になってから考えるんや」


 ハルはそれでも、まだまだ考える時期じゃないと言っている。本当なんだろうか? 理沙は首をかしげた。

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