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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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 そして冬になった。いよいよ受験勉強が本格化してきた。千沙も浩一も、夏休みを前に部活を引退して、受験勉強に集中している。これほど勉強に本気になった事は全くない。受験とはこういうもんなんだな。2人はとても一生懸命になっていた。


 2人は仲良く家に帰ってきた。部活を引退して以降、いつも一緒に帰っている。一緒に早く帰るのは、仲が良くなったからではない。一緒に受験勉強を頑張るからだ。


「ただいまー」


 その声を聞いて、ハルがやって来た。ハルはエプロンを付けている。だが、晩ごはんを作るのはまだ先のようだ。


「おかえりー」


 2人はそのまま2階に向かった。ハルはその様子をじっと見ている。今日も受験勉強でなかなか降りてこないだろう。そんな日々が続いている。それほど、2人とも受験勉強に余念がないのだろう。どんなに頑張っても、まだまだ足りないと言っている。確かにそう思うだろう。だって、みんな頑張っているから。受験勉強はみんなとの競争のようなものだから。


「ここ最近、全く降りてこんわ」

「ああ。受験を頑張っとるさかい」


 ハルは振り向いた。遠山がいる。まさか、遠山もやってくるとは。


「頑張ってほしいわ」

「うん」


 遠山にはその気持ちがわかる。遠山も2人の受験勉強を応援していた。特に、浩一は進学校を目指して、そして東京の大学を目指しているそうだ。将来には、東京に住みたいとも思っている。大きな夢を持っていて、浩一は素晴らしいなと思っている。


「どんな子になるんかな?」

「それは誰もわからんよ。未来はまったく見えないもんや」


 だが、言える事がある。これからの未来は、この子たちが作っていくだろう。戦争を経験しているものの、戦争を全くと言っていいほど知らない世代だ。そんなこの子たちが、どんな平和な日々を送っていくんだろう。どんな平和な未来を作っていくんだろう。とても楽しみだな。


「そやね」


 ふと、ハルは考えた。そんな2人の頑張りを、徳次郎は天国からどう見ているんだろうか? そして、浩一を救った命の恩人である重三はどんな想いで浩一を見ているんだろうか? きっと、天国からエールを送っているだろうな。


「どないしたん?」

「いや、何でもないて」


 だが、ハルは何も言おうとしない。遠山には何も言いたくないようだ。


「ふーん・・・」


 2人は同じ部屋でそれぞれ、受験勉強を頑張っていた。2人とも真剣な表情で、机から離れようとしない。問題集ばかりやっている。その中には、過去の入試で出た問題も数多くある。これらを解かなければ、合格はないと思っている。


「ちーちゃん、頑張っとる? 浩ちゃんも頑張ってや」


 2人は振り向いた。ハルが部屋にやって来たようだ。だが、すぐに机に向かった。2人とも真剣な表情だ。


「うん」


 それを見て、ハルは部屋を出ていった。2人とも真剣な表情だ。近寄りがたいな。あまり部屋に入らないでおこう。




 深夜、ハルは2人のために鍋焼きうどんを作っていた。頑張っている2人のために、作ろうと思っていた。ハルは嬉しそうだ。勉強を頑張っている2人、特にレベルの高い進学校に進もうとしている浩一には鼻高々だ。浩一は先生にとても褒められている。絶対に偉い人になれるだろうと言われている。


 と、そこに理沙がやって来た。鍋焼きうどんに匂いに誘われて、起きてしまったようだ。まさか、理沙が起きるとは。2人のために作ったのに。


「どないしたん?」

「鍋焼きうどんを作ったで」


 理沙は驚いた。まさか作ってくれるとは。頑張っている2人にご褒美のようだ。


「なんで?」

「頑張っとる2人にご褒美をやろう思うてね」


 ハルは嬉しそうな表情だ。頑張って鍋焼きうどんを作ったようだ。


「そうなんや」


 理沙は鍋焼きうどんを見た。とてもおいしそうだな。


「うまそう!」

「そやろ?」


 と、理沙は思った。来年は自分が高校受験だ。その時は、自分にも鍋焼きうどんを作ってほしいな。


「来年、私が受験の時も作ってな!」

「わかっとるて」


 理沙は再び2階の寝室に向かった。もう夜も遅い。早く寝ないと。


「さて、頑張らんとね」


 ハルは再び鍋焼きうどんを作り始めた。




 その頃、2人は受験勉強を頑張っていた。2人とも集中している。やってもやっても全く満足できない。みんな、それ以上に頑張っているんだ。そして、合格したいと思っているんだ。その気持ちは、こっちも一緒だ。これは戦いだ。もっともっと頑張らなければ。


 誰かがノックした。こんな夜遅くに何だろう。


「ちーちゃん、浩ちゃん」

「はーい!」


 ハルが部屋に入ってきた。ハルはとても嬉しそうだ。何だろう。


「ちょっと来て」

「うん」


 2人は静かに2階に向かった。すでに理沙は寝ている。起こさないように、ゆっくりと歩いていた。


 2人がダイニングにやって来ると、テーブルには鍋焼きうどんがある。とてもおいしそうだ。


「おばあちゃん、鍋焼きうどんを作ったん」


 2人は戸惑った。どうしてこんな深夜に、鍋焼きうどんなんだろうか? 頑張っている2人にご褒美だろうか?


「うまそう。でも、なんで?」

「頑張っとるさかい、ご褒美」


 2人は椅子に座った。早く食べたいと思っているようだ。


「ありがとう。いただきまーす!」

「いただきまーす!」


 2人は鍋焼きうどんを食べ始めた。熱いけれど、とてもおいしい。いつも食べているものよりおいしいと感じるのは、どうしてだろうか? 愛情がこもっているからだろうか?


「うまい!」

「ほんまや! うまい!」


 突然、ハルは2人の肩を叩いた。どうしたんだろうか?


「受験、頑張ってや!」

「うん!」


 2人は気合がより一層入った。ハルのためにも、受験を頑張らないと。

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