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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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13

 生徒たちは都電に乗っていた。この頃は都電が数多く残っていた。彼らは知らないだろう。将来、そのほとんどが廃止になり、荒川線だけになるという事を。そして、地下鉄がもっと発達するという事を。


 混雑した車内で、生徒たちは明日の事を考えていた。明日は判別行動で様々な名所を巡る。すでに決めてあるものの、何をしたいかはまだ詳しくは決まっていない。浩一もまたそうだ。それ以上に、修学旅行に行ける嬉しさであふれている。小学校の頃はトイレに閉じ込められて行く事ができず、泣いてしまった。だけど、今回は問題なく行く事ができた。行けなかったあの日を、昨日のように覚えている。今回修学旅行に行く事ができて、本当によかった。この中で、様々な事を学ぶだろうな。そして、それを糧にこれから頑張っていくだろうな。


 浩一はわずかに見える東京の風景を見ていた。これが東京なのか。自分は将来、大きな夢を抱き、ここに住むんだ。そして、豊かな生活を手に入れるんだ。結婚して、子供に恵まれるんだ。浩一は自分の理想の未来を思い描いていた。でも、誰と結婚するんだろう。全く予想できないな。だけど、思いやりのある人がいいな。


「何考えとるん?」


 隣にいる千沙の一言で、浩一は我に返った。だが、何を考えていたのかは、千沙には秘密だ。だが、千沙にはわかっていた。きっと、東京の風景を見て、自分の将来の事を考えていたんだろう。浩一は将来、東京に住みたいと思っているから、将来を思い描いていたんだろうな。


 生徒たちは、車窓から東京を見ていた。これが日本の首都、東京の車窓なのか。とても素晴らしいな。これから東京はどのように復興していくんだろうか? 自分たちにはわからないけれど、もっともっと発展していくんだろうな。そして、戦争があったという事を忘れていくんだろうな。将来、東京にはどんな風景が広がっているんだろう。生徒たちには全くわからない。だけど、もっと高いビルが立ち並び、近代的な建物が多くなっていくだろうな。その時になったら、また行きたいな。


 しばらく走っていると、1軒の旅館が見えてきた。これが自分たちが修学旅行で泊まる旅館だ。千沙や浩一はそれを見て、感動した。特に浩一はひときわ感動していた。何しろ、小学校の修学旅行に行けなかったからだ。これからみんなと一緒に寝て、班別に行動するんだ。そして、東京を巡るんだ。旅館に入る前から、浩一はワクワクしていた。


「ここが旅館か」

「すごいなー」


 他の生徒も感動していた。これが旅館なのか。とても楽しみだな。どんな夜が待っているんだろう。みんなワクワクしていた。


「浩ちゃん、泊まんの初めて?」

「いや。京都や奈良の旅館に泊まった事あるねん。夏休みに行った時やけど」


 小学校の修学旅行で京都や奈良に行けなかったのは知っている。だが、その後、家族で京都や奈良に行ったとは。どんな場所に行ったんだろうな。楽しみだな。修学旅行に行った時と一緒なのかな? それ以上に巡ったのかな? どんな所に行ったのか気になるな。


「楽しみやね」

「うん」


 生徒たちは旅館の中に入った。旅館は純和風の造りで、入り口には女将がいる。彼女たちは知っていた。今日は修学旅行で生徒や先生がやって来るのだと。今日の宿泊者のほとんどはその中学生や引率の先生だと。


 千沙と浩一は部屋に入った。千沙は部屋を見た。中は和室で、広々としている。ここに泊まるんだなと思うと、わくわくしてくる。その後に続いては言った浩一もワクワクしていた。生徒と泊まるのは初めてだ。どんな夜が待っているんだろう。すでに気持ちが高ぶっている。


「ここが部屋かー」

「楽しみやなー」

「ああ」


 浩一は外を見ている。そこには、東京の夜景が広がっている。大阪より広い夜景だ。これが東京の夜景なんだな。いつか、この夜景を毎日のように見られるように頑張らないと。その為には、修学旅行の後の高校受験までが勝負になってくる。受験勉強を頑張らないと自分の未来は見えてこないだろう。浩一は気が引き締まった。


「明日はどこ行こう」


 と、そこに千沙がやって来た。千沙はすでに決めているようだ。どこに行こうというんだろうか?


「浅草に行こか」

「浅草ええね」


 浩一はその考えに乗り気だ。でも、浅草のどこに行くんだろうか? やっぱり、浅草寺だろうか? それとも、また別の場所だろうか? 全くわからないな。


「行こう行こう!」

「さんせーい!」


 2人は喜んだ。浅草でどんな出会いが待っているんだろう。どんな感動が待っているんだろう。行く前からワクワクが収まらない。


「さて、明日が楽しみやな」

「そやね」


 明日は判別行動だ。とても楽しみだな。どんな事が待っているんだろう。眠れるかどうか心配だ。だけど、明日のために寝ないと。


「今日はもう寝よう」

「おやすみー」

「おやすみー」


 同じ部屋の生徒たちは寝た。生徒たちはみんな考えていた。明日、どんな感動が待っているんだろうと。

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