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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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 修学旅行に行く3年生は客車列車に乗った。行先は東京だ。浩一は車窓を見ていた。汽車に乗るのは、京都に行った時以来だ。浩一は車窓をじっと見ていた。この汽車の行き先が東京だと思うだけで、わくわくしている。いつか、高校を卒業したら、これに乗って、東京に行くんだ。その為に、この後の受験勉強を頑張らないといけないな。浩一は車窓を見ながら、未来の自分を思い描いていた。


「いよいよ東京に行くんやね」


 浩一は振り向いた。そこには隣の席の千沙がいる。千沙はおとなしく座っている。あまり車窓を見るのに興味がないようだ。東京に行くのはいいと思っている。だが、住みたいとは思っていない。


「うん」


 浩一はまた車窓を見始めた。京都に近づいている。京都は今日もいい風景だ。その先には山があり、もっとその先には名古屋、そして東京がある。そう思うだけで、気持ちが高ぶってくる。


 京都を出た客車列車は、長いトンネルに入った。その先にももう1つトンネルがある。浩一は窓を閉めた。頭を出すと危ないからだ。窓を閉めて車窓を楽しんでいた。その先にはどんな風景が待っているんだろう。浩一はその先に行った事がなかったとても楽しみだな。


「楽しみやなー」

「浩ちゃん、こんな長旅、初めて?」


 再び千沙が話しかけてきた。千沙は遠くに出るのがあまり興味がないようだ。ハルと一緒に暮らすのがいいと思っていた。


「うん」


 浩一は楽しそうだ。だが、それよりも浩一は、その先にあるが東京の風景の方が楽しみだ。これから東京に住もうと思っているので、東京を楽しみにしている。千沙にもその気持ちがわかった。だけど、自分は大阪に残ろうと思う。ハルを1人したらいけないから。


「そっか。修学旅行、思いっきり楽しもうな」

「うん」


 逢坂山を越えるトンネルを出ると、大きな海のようなものが見えてきた。だが、それは海ではなく湖だ。日本一大きな湖、琵琶湖だ。浩一は琵琶湖の存在を知っていたが、生で見たのは初めてだ。初めて生で見る琵琶湖を見て、浩一は感動していた。車内のアナウンスで、左側の車窓に琵琶湖が見えると言っている。それを聞いて、みんな左側の車窓を見た。そこには日本一大きな湖、琵琶湖が見える。生徒はみんな感動していた。教科書や図鑑でしか見た事がない人もいる。みんな感動していた。これが琵琶湖なんだな。


 琵琶湖を過ぎると、米原にやって来た。米原から別の線路が分岐していく。それは北陸本線で、日本海側を走る路線だ。この路線は難所続きだという。いつになったらそれらの難所は改善されるんだろう。難所が改善されたら、行きやすくなった北陸にも行ってみたいな。


 その先に見えてきたのは関ケ原だ。1600年、ここを舞台に天下分け目の決戦が行われた。それは社会の授業で習っていて、生徒はその話を知っている。まさかその目で見る事になるとは。3年生はみんな驚いていた。


「どうしたんや? 車窓をじっと見て」


 浩一は振り向いた。そこには大島がいる。


「あまりにも珍しいから」

「ふーん」


 大島は興味がなさそうだ。車窓を見るのがそんなに楽しいのかな? 浩一はあまり旅行に行った事がないのかな? だから車窓を見るのが楽しいんだろうか?


「ええやん。楽しいんやろ?」

「うん。楽しい」


 浩一は車窓を楽しんでいた。その先の修学旅行ももっと楽しいけれど、これも楽しいな。


「それはよかった」

「浩ちゃん、東京に住みたいと思ってるんやて」


 それを聞いて、大島は驚いた。まさか、浩一が東京に住みたいと思っているとは。その為には、もっともっと勉強を頑張らないとな。レベルの高い進学校に行き、東京の大学に進み、東京で就職できるようにならないとな。


「そうやの?」

「うん」


 浩一は明るそうに語っている。本当は厳しいのに。だが、大島は明るい表情だ。そこまで言うのなら、ぜひ頑張ってほしいな。


「そっか。そのためには、勉強を頑張らんといかんね」

「うん。高校受験はそのためにも重要だと思っとるるから」


 浩一は決意していた。この修学旅行が終わったら、もっと頑張ろう。そして、レベルの高い進学校に行き、東京を目指すんだ。そして、豊かな生活を手に入れるんだ。そして、素敵な女性と結婚して、子供を設けて、幸せに暮らすんだ。


 突然、大島は浩一の肩を叩いた。大島は浩一に期待していた。きっとこの子は素晴らしい子に育つぞ。浩一の未来に期待しよう。


「浩ちゃん、高校受験、頑張ってや」

「まかしとけ!」


 浩一は笑みを浮かべた。浩一は改めて決意した。みんなが期待している。その期待に応えられるように、高校受験を頑張らないと。


 と、向かいに座っていた山口が肩を叩いた。山口も東京を目指すためにレベルの高い進学校に行くんだろうか?


「私も頑張るから!」

「お互い頑張ろう!」


 高校受験は苦しいけれど、頑張ればきっと明るい未来が待っているに違いない。だから、お互い頑張ろう。


「何を話しとったん?」


 と、そこに川島がやって来た。2人の話が気になっているようだ。


「えっ、これからの事」

「そっか」


 川島は思った。この2人は将来、どうなるんだろうか? どうなるかわからないけれど、いい大人になってほしいな。自分もいい大人にならないとな。

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