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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第5章 中学校(下)
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7

 5月になり、千沙と浩一はますます上機嫌だ。修学旅行が近づいてきたのだ。今度こそは修学旅行に行けると思うと、浩一はとても嬉しい。憧れの東京に行き、何かを感じてくるんだ。そしてそれを、将来の糧にしたい。


「いよいよ明日は修学旅行や」


 浩一はカレンダーを見ている。カレンダーには、修学旅行の日が書かれている。千沙もそれを見ている。


「東京に行くの、楽しみ!」


 そこに、ハルがやって来た。ハルは嬉しそうだ。2人が修学旅行に行くからだ。


「そっか。楽しんできてな!」


 よくここまで育ってくれた。だが、人生はこれからもっともっと続いていく。修学旅行の先に、どんな大人になっていくんだろう。ハルは考えていた。きっと彼らの未来は明るいぞ。


「うん! お土産も買ってくるからね!」

「おおきに」


 理沙は喜んでいた。2人はどんなお土産を買ってくるんだろう。きっと素晴らしいお土産を買ってくるんだろうな。


「嬉しそうやね!」

「うん! だって明日、東京に行けるんやから!」


 千沙は満面の笑みを浮かべている。小学校で東京に修学旅行に行った時以上の笑顔だ。それを聞いて、ハルは喜んだ。あの時以上の笑顔だから、よほど楽しみなんだろうな。


 次に、ハルは浩一の方を見た。今度こそは、浩一も行けるんだろうか? 小学校の頃の修学旅行みたいにならなければいいけれど。


「今度はちゃんと行けたらええね!」

「行けるて! 大丈夫大丈夫!」


 浩一は苦笑いしている。もういじめはない。だから大丈夫だろう。体調不良にさえならなければ、絶対に行けるさ。


「本当かな?」

「いじめられてないやろ?」


 ハルは不安だった。またいじめられていないか? 小学校の頃から自殺未遂をするまで、ずっとずっといじめられてきたから、とても不安だ。


「うん」

「だったら大丈夫やん!」


 ハルは喜んだ。それはそれはよかった。きっと今度こそは修学旅行に行けるさ。


「そやね」

「東京、楽しみやね」

「うん」


 ハルは思った。中学校の修学旅行は一部が判別行動だ。東京には名所がいっぱいある。どこに行くんだろうか?


「どこに行きたい?」

「秘密」


 浩一はすでに決まっているけれど、明かそうとしない。どこに行くんだろうか?


「そっか」


 そこに、理沙がやって来た。何を言いたいんだろうか?


「私も来年、東京に行けるんやね!」

「そやと思うよ!」


 来年は理沙が中学校3年生になり、修学旅行に行く。どんなお土産を買ってくるんだろうな。千沙と浩一の修学旅行を参考にするんだろうか?


「私も楽しみやなー」


 と、浩一は理沙の肩を叩いた。どうしたんだろうか?


「きっと来年は行けるて!」

「わかった! 楽しみにしとるわ!」


 理沙は笑みを浮かべた。そして、来年の自分を思い浮かべた。きっといい思い出を作ってくるだろうな。


「もし行ってきたら、いい所を教えたるからね!」

「ありがとう! 参考にするわ!」


 だが、浩一はもう1つ知りたい事がある。将来、東京に住みたいと思っているのなら、東京がどんな場所なのか知ることが大切になってくる。この修学旅行で東京のいろんな事を知りたいな。


「僕は、もし東京に住む事になったら参考にしとこう思うて」

「東京に住もうと、真剣に思っとるんやね」


 ハルは嬉しそうだ。大阪から日本の首都、東京に行き、浩一はもっと成長するんだろうな。そして、平和な未来を築いていくんだな。


「ああ。だって、夢があるんや」


 だが、その先には高校受験も待っている。大変だけれど、東京の大学に進み、東京に住み、東京で就職するためには、いい高校に進まなければならない。そして、もっと頑張らなければならない。その先には大学受験も控えている。大学受験も頑張らなければならないだろう。


「そうか。じゃあ、高校受験も大学受験も頑張ってや」

「うん」


 それを見て、理沙は思った。浩一がそんなに言うのなら、自分も東京を目指そうかな? そのためには、浩一ぐらい勉強して、高校受験、大学受験を頑張らないと。


「じゃあ、私も東京に行くために頑張らなくっちゃ。お姉ちゃんは?」

「おばあちゃんの事があるさかい」


 だが、千沙は大阪に残りたいと思っている。ハルの事があるからだ。


「そっか・・・」

「僕のせいで、すまんね」


 浩一は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。自分が自殺未遂をしたのが原因で、雅と千尋が逮捕され、徳次郎が自殺してしまった。家庭崩壊を招いたのは、僕の責任だ。浩一はそれを痛感して、反省している。


 と、千沙が浩一の肩を叩いた。浩一は千沙の方を向いた。


「いいのよ。悪いのは浩ちゃんをいじめた子供たちやから」

「言われてみれば、そやね」


 確かにそうだ。悪いのはいじめた子供たちだ。自分も、雅も千尋も、徳次郎も悪くない。


「浩ちゃんは何も悪ないから」

「おおきに」


 ハルは思った。浩一はこれからどんな人生を歩むんだろう。素敵なお嫁さんを設けて、子供を作るんだろうな。そして、多くの孫に囲まれて、幸せな生活を送るんだろうな。


「浩ちゃんは幸せに生きてね」

「わかった。死んだあの子たちの分も、頑張って生きるて」


 浩一は放火殺人で死んだ子供たちの事を思い出した。いじめた子供たちとはいえ、大切な命だ。彼らの分も、頑張って生きなければならない。


 そろそろ夜の9時だ。早く寝ないと。


「もう9時やね」

「そろそろ寝んと」

「そやね」


 千沙と浩一は2階に向かった。自分たちの部屋に行き、寝ようというのだ。


「おやすみー」

「おやすみー」


 ハルはそんな2人の後ろ姿を見ている。この子たちは明日、修学旅行に行く。どんな思い出を持ち帰ってくるんだろうか? そして、修学旅行で何を見つけるんだろうか?

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