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4月になった。いよいよ中学校3年生だ。今年度はとても忙しくなる。修学旅行に、高校受験がある。だけど、乗り越えなければならない。きっとこの1年がこれからのためになるだろう。
今日は始業式だ。千沙と浩一は中学校3年生になって初めての登校だ。理沙はまだ中学校2年生だ。
「おはよう」
「おはよう」
と、ハルは顔を上げた。何を言おうと言うんだろうか?
「今日から3年生やね」
それを聞いて、浩一は緊張した。今年度はいろいろと大変だからだ。
「うん。まだ実感がわかんけど」
「そやね。始業式が始まるまで感じんわ」
千沙はまだまだ実感していなかった。まだまだ始業式が始まるまで実感がわかない。これからどんな日々が始まるんだろう。わからないけれど、いい日々を送りたいな。
「うん」
「ちーちゃん、浩ちゃん、いよいよ高校受験やね」
それを聞いて、2人は緊張した。いよいよ高校受験だ。これによって、自分の運命が決まる。いろんな厳しい事があるけれど、頑張らないと。これがきっと将来につながっていくのだから。
「そやね。頑張らないと」
「僕も頑張らんと。だって、東京に住むんやから」
それを聞いて、千沙と理沙は驚いた。やはり目指しているのか。浩一は東京が好きなんだな。そういえば、もうすぐある修学旅行は東京に行く。それで浩一は、何を感じるんだろうか?
「そやね」
「それに、修学旅行もあるね」
千沙と浩一は喜んだ。今回こそは一緒に行きたいな。そして、一緒に判別行動をしたいな。
「ああ。楽しみやな」
「うん」
浩一は前回の事を思い出した。トイレに閉じ込められて、修学旅行に行けなかった。あの時は大粒の涙を流してしまった。修学旅行に行っている仲間の事を考え、涙を流した。本当につらい思い出だったな。だけど、家族と一緒に京都や奈良に行く事ができた。だが、それでよかったんだろうか? やっぱり、みんなと一緒に行ける楽しみこそ、修学旅行じゃないのかな?
「今回は行けるよね!」
「うん! もう大丈夫やろ?」
浩一は戸惑っている。だが、今回は大丈夫だろう。目立ったトラブルはない。体調さえよければ、絶対に行けるだろう。
「もちろん!」
「やけどそれ以上に、高校受験が重要になってくるで」
だが、それ以上に重要になってくるのが、高校受験だ。高校受験は家の運命を、自分の未来を決める重要な事だ。これでうまくいかなかったら、東京には行けないだろうと思っている。
「そやね」
ふと、ハルは思った。千沙と浩一はどんな進路なんだろうか? 浩一は東京に行くから、名門高校に進むだろうな。千沙はどうだろう。ここに残ると言っているので、そこまでいい高校を目指さないだろうな。
「2人はどんな所に進むんかな?」
「わからんけど、ええ所に行ってほしいわ」
2人は目を明るくした。きっといい所に行って、ハルを喜ばせてみせる。見ていてくれ。
「任しとけ!」
「受験、頑張ってね!」
「ああ」
突然、ハルは浩一の肩を叩いた。どうしたんだろうか?
「浩ちゃんは賢いさかい、頼りになるわ」
「おおきに」
浩一は嬉しくなった。賢いと言われているけれど、本当なんだろうか? 自分は東京に行きたいと思って、こんなに頑張っているだけなのに。
「これからは君たちの時代や。頑張りなさい」
「はい!」
2人は元気よく答えた。これからは自分たちの時代だ。平和な日々の中を歩いていき、日本を発展させていくんだ。その先の未来には、何が待っているんだろうか?
「お姉ちゃんと浩ちゃんは来年から受験なんか」
「うん」
理沙は高校受験を気にしていた。今年は千沙と浩一が高校受験だが、自分も来年は高校受験だ。大変だけど、乗り越えていかなければ。その為には、何が必要なんだろうか? わからないけれど、頑張らなければ。
「私も来年からそうなんやね」
「今は考えず、今を頑張りなさい!」
ハルの言葉に、3人はシャキッとなった。これからの平和な時代を生きていく僕らは、これから何を経験していくんだろう。わからないけれど、いい未来が待っていると信じよう。
「わかった! まだ考えないようにする!」
「もう戦後から10年。日本はこれからどうなるんやろ」
思えば今年で戦後10年だ。徐々に戦争の記憶は薄れていく。だが、忘れてはならない。日本には、戦争をした時代があるという事を。そしてその中で、多くの命が失われたという事を。
「きっと平和になって来るって」
「やったらええけど」
浩一は思っていた。本当に平和な日々が続くんだろうか? 全くわからないけれど、平和な日々が続くには、僕たちの平和への願いが必要になってくるだろう。頑張っていかないと。
「日本の未来に期待しましょ?」
「うん! そやね」
ふと、ハルは雅と千尋の事を思い浮かべた。多くの放火殺人を起こし、逮捕された。まだ裁判は終わらないが、あれほどの犠牲者を出したのだから、おそらく死刑だろうな。そんな息子夫婦は、もう知らない。もし帰ってきても、会いたくない。面会すらしたくない。
「それにしても、雅と千尋は」
「もうあいつらの事は考えんようにしようや」
浩一は考えていた。もう雅と千尋の事は忘れよう。浩一のためとはいえ、あれだけの罪を犯したのだから。
「そやね」
「考えるの体に毒やよ」
理沙もそう思っていた。犯罪を犯した息子夫婦の事はもう忘れよう。
「すまんすまん」
と、ハルは空を見上げた。雲1つない空が広がっている。彼らの未来は、この青空のように晴れ渡るんだろうか? わからないけれど、3人の未来に期待しよう。
「豊かな社会になっていくとええね」
「うん」
浩一も空を見上げた。まるで今日の始業式を祝っているかのような青空だ。
「きっと明るい未来が待っとるよ」
「これから日本はどうなってくんかな」
「どうやろ」
4人は日本の未来を考えつつ、始業式の朝を迎えた。




