痛い?
視界がかなり不自由ではあるが探索する手段を選んだ。
広くはあるものの一本道だ。壁に沿って歩けば迷うことはなさそうだ。
しばらく歩くと壁や地面がジメジメしている場所に辿り着いた。手で触っている感じでは柔らかい湿った草を触っいる感じだった。
「苔……かな……」
口に出してみてしっくりきた。壁や地面に苔が並んでいるようだ。
一歩一歩地面に足を着くたびにグショ、グショっと気持ち悪い感触がする。
奥の方から赤い光が見えた。誰かいるのかと思ったが明らかに光の位置が低い。
目を凝らすと……ウサギ?
耳が異様に長く、引きずって歩いている。目は赤く、小さいブツブツが無数に集まって構成されていて、目つきが悪い。手には刺身包丁のような刃物を持っている。
「魔物かよ……」
刃物が見えてようやく理解した。魔物だと……。
視界が不自由の中戦いたくないので逃げるのが正解なのかもしれないが、逃げたとして、一本道を引き返すだけなので戦うことにする。
血の剣を右手に精製し構える。
次の瞬間ウサギは飛びかかり包丁を差し込もうとする。
すかさず剣を……カーン!と剣先が壁に当たり引っかかる。反射的に左腕を顔前に構え、守りの体勢入る。
傷ができても物理攻撃である限りすぐに治るし、痛みは伴わない。
ウサギの包丁が腕に刺さってきた。
金属の冷たさが伝わって……こない。冷たいどころか熱い……なんで? いや熱いんじゃない……これは……
「いっっっっでぇぇええ!!」
本来なら感じるはずがない痛みが走ってきた。
「血……血?! 止まれよ!」
流れるはずがない血が腕の傷口から脇、胴体へと流れるのを感じた。本来なら意識さえすれば止血が可能だがなぜか止まらない。
そうか……魔力=血だからか……
自分の体は魔力=血で構成されているので状況的にかなりまずい。血を流しすぎると貧血にもなるし、命綱である血の剣の精製も困難になる。止血をしたいところだがこのクソウサギが邪魔をしてくるので厄介だ。
血の剣を短くし、ナイフくらいのサイズに加工した。
壁があっても自由に振り回せる。
この殺人ウサギはウサギの跳躍力を活かし、急所である首や胸をよく狙ってくる。視界が不自由なのでほぼ勘だがなんとか防ぐことが出来ている。刃が交じりあった際に火花が散るのでその瞬間だけ殺人ウサギがよく見える。突きの反撃を入れようと試みるが殺人ウサギは素早くすぐに下がる。左手が自由に動かせればとっくに倒せていたかもしれない。
「このクソウサギめ……ウサギはすべて殺す! あの女も! お前も!」
ウサギが首を狙って飛んできたのでスーッと冷静に避けすかさず突きの反撃を入れた。胸に刺さり、これは倒せたな、という手応えがあった。すぐに殺人ウサギは動かなくなった。
やり遂げた達成感があったが疲れたのか虚脱感が勝っていた。
壁に背中を預け腰を降ろす。
「ウサギって……草食じゃ……ないの?」
段々と眠くなる感覚に襲われる。
「はぁ……少し眠る……か……」
眠る……寝てしまっていいのか?
寝てしまったら取り返しのつかないことになりそうな気がした。
「そうだこれは眠気じゃない!」
眠いのではなく意識が遠のいているのだと理解した。おそらく貧血の症状だろう。腕の傷……腕というよりよく見ると手首付近から肘近くまでパックリやられていた。
ちなみに前世知識だと、手首は横に傷が入るよりも縦に傷が入る方が致死率が高いらしい。つまり、この傷の入り方はやばいということ。
「え? 俺……死ぬ?」
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