【第7章:第4節】 投機通貨ではない──「生活通貨」への道のり
Pi Networkを語るとき、多くの人が「Piはいくらになるのか?」「どこまで値上がりするのか?」といった“価格”に焦点を当てがちだ。
だが、それは本質を見失う問いかけかもしれない。
Piはそもそも、「儲けるための通貨」ではない。
もっと言えば、**「売って終わる通貨」ではなく、「使って始まる通貨」**として設計されている。
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● 投資ではなく、“生活インフラ”としての存在意義
多くの仮想通貨は、技術的な革新や投機的な魅力で市場の注目を集めてきた。
一方でPiは、無料マイニングという手法で、**広く一般の人々に「保有させること」**を優先した。
この設計は、初めから「ユーザー参加型の経済圏」を目指していた証拠だ。
今も、多くのユーザーは「将来使えるかもしれないから」との理由でPiを保有し続けている。
この意識が、他の仮想通貨にはない強みになっている。
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● 「使われることで価値が生まれる」という発想
仮想通貨の多くは、価格が上がった時に使われる。
だがPiは逆だ。
**「使われるからこそ、価値がつく」**という逆転の構造を持っている。
たとえば、あるユーザーがPiでイラストのコミッションを受けたり、
個人店がPiでコーヒーやハンドメイド商品を販売したりする。
こうした行為が、「Piで支払う」という文化を生む。
その結果、
「Piって、使えるんだ」
「じゃあ手元に少し持っておこう」
という心理が広がっていく。これが需要を生む循環となる。
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● 「Pi決済」の未来はどんな形か?
たとえば、Piでハンドマッサージを受けたり、
ネット上のデジタル素材を購入したりする──
今でも、そうしたP2P取引は世界中で日々行われている。
仮に、1Piが1ドル前後で安定していると仮定すると、
•コーヒー1杯:3〜10Pi
•スタンプ制作:20Pi
•小規模Webサービス:50〜100Pi
という価格設定が、感覚的にも成立しやすい。
もちろん、為替や地域によって価格の差はあるが、**「身近なものと交換できる」**という感覚が重要なのだ。
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● では、なぜ「投機通貨」と誤解されるのか?
その理由はシンプルだ。
多くの仮想通貨は、**「価格が上がってから使う」**という前提で見られてきたからだ。
だが、Piはその構造が真逆だ。
価格より先に、「文化」と「実需」が先に根付くことを狙っている。
これは、ある意味で「社会実験」ともいえる。
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● 実験はすでに始まっている
2025年3月時点で、Pi Networkには世界中で4,000万人を超えるマイナーがいる。
その多くが「持っているだけ」で終わらず、
小規模ながらも実際に“使っている”人たちが増えてきている。
これは、「生活通貨としての実績」が少しずつ積み上がっている証拠だ。
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● そして、次に起こること
•スマートコントラクトの実装
•Piを担保に使うステーブルコインの普及
•PiPayやPiOSを利用したdAppsの開発加速
こうした要素が揃えば、「Piでできること」が一気に増えていく。
そして、価格ではなく利便性で評価される“生活通貨”へと変わっていく。
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Piの未来を測る物差しは、「いくらになるか」ではなく、**「どれだけ生活の中に溶け込むか」**だ。
この節を読んでくれたあなたが、少しでも「使ってみようかな」と思ってくれたなら──
Piはすでに、「ただのコイン」ではなく「社会を動かすインフラの一部」になり始めているのかもしれない。




