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第5章:Piのトークノミクスを解剖する】 第4節:Piの総供給量と、発行上限の“盲点”


Pi Networkを語る上で避けて通れない要素が、「Piの総供給量」に関する議論だ。

仮想通貨では「トークンの最大供給量=希少性=価格上昇の余地」となるため、この話は非常にセンシティブだ。


ところが、Piにおける「供給量の定義」には、いくつかの“曖昧さ”と“誤解”が含まれている。

それは、価格評価を大きく誤らせる要因にもなり得る。



●「総発行量1000億枚」は誤解されやすい


まず前提として、Pi Networkのホワイトペーパーでは、Piの供給モデルは「固定上限型」ではない。


つまり、「最大供給量1000億Pi(100B Pi)」と明記されているわけではないのだ。


多くのサイトやインフルエンサーが「Piの最大供給量は100B」と紹介しているが、これは便宜的な推定値に過ぎない。

実際には、次のような動的な供給モデルが採用されている。



● Piの発行モデルの特徴


Piの供給は、大きく以下の3つに分かれる。

1.ユーザーマイニング報酬

 → アクティブユーザー数に応じて減少する設計(半減期的ロジック)

2.開発チーム報酬(Pi Core Team)

 → ユーザー報酬と同量がチームに付与(発行量は比例して増加)

3.エコシステムリザーブ

 → dApps開発支援、インセンティブ、エアドロップ等に使用(用途は非固定)


つまり、ユーザーが多くマイニングし続ければ、供給量は拡大する。

一方で、マイニングが縮小すれば、供給拡大は収まる。これは、需要主導の「ソフトキャップ型通貨」ともいえる設計だ。



● 供給量とインフレ率はどう評価すべきか?


2025年3月時点での市場評価では、「流通済Pi」は約10〜15B程度と見られている。

一方、将来的にアンロックされるPiや、未マイニングの分も含めた**「発行予測量」は最大で100B Pi近くになる**との見方が一般的だ。


このとき、重要なのは次の2点。

1.供給量のペースと、実需のペースが釣り合うか

2.どのタイミングで“供給>需要”のバランスが崩れるか


例えば、2027年〜2028年にかけて3〜5年ロックが一斉に解除されれば、

一時的に20B〜30B Piの売りが発生する可能性がある。


仮にこの時点で、実需が年10Bドル規模に達していなければ、供給が価格を押し下げる形になる。



● Piは「通貨インフレ」とどう向き合うか?


仮想通貨では、発行上限のないコインはインフレ懸念から敬遠されることが多い。

だが、Piのユニークな点は、「インフレ=悪」という考えを前提にしていないことだ。


Piの開発陣は、“使われること”によって供給を正当化しようとしている。

つまり、「発行=売られる」ではなく、「発行=利用される」ことを目指す設計だ。


この思想は、DeFiやNFTのような**“価格上昇を前提とした設計”とは真逆**であり、

ある意味で「通貨としての王道」に回帰しているともいえる。



● 読者に伝えたいこと


Piの供給構造には、明確な「上限」は存在しない。

それは一見リスクに見えるが、逆に「実需と連動する設計」という可能性も秘めている。


つまり、供給の多さ=悪ではなく、需要とのバランスで評価されるべきだということだ。


Piが真に“使われる通貨”として定着するなら、100B Piという数字は脅威ではない。

だが、それを支えるには、ユーザーの意識と運営の透明性が必要不可欠だ。


この“バランス設計”こそが、Piトークノミクス最大の盲点であり、同時に最大の挑戦でもある。


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