第4章:第4節】 「実需が育たない通貨はどうなるのか?」
前の節では、「実需がある通貨は価値が安定しやすい」ことを説明した。
では逆に、“実需が育たない通貨”は、どのような末路をたどるのか?
ここで紹介するのは、少し耳が痛いかもしれない現実──
だが、それこそが**「Piに未来があるか」を見極める重要な比較材料**でもある。
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● 典型的な“実需なきトークン”の末路
実需がないトークンが辿るパターンには、共通する特徴がある。
① 初期の盛り上がり→価格急騰
「◯◯で使えるようになる!」「◯◯社と提携予定!」など、
公式または非公式の“期待感”により、投資家が群がる。
しかし、これはあくまで**“期待による価格上昇”**であり、
実際のトランザクション数や利用ユーザーはごく僅かというケースが多い。
② 利確祭り→価格暴落
価格が上がれば、当然ながら「利確」する人が出てくる。
需要(買い)よりも供給(売り)が上回れば、価格は急落。
このとき実需が育っていない通貨は、支え手がいないため、
売られるがままに底抜けしてしまう。
③ コミュニティ離れ→プロジェクトの空洞化
ユーザーが「もう上がらない」と判断すれば、保有をやめる。
SNSや掲示板でも話題にされなくなり、開発も停滞。
ついには取引所からの上場廃止(Delist)や、事実上の“死亡”状態へ。
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● 「価格を支えるのはファンダ(実態)」という原則
仮想通貨は夢がある。
でも、夢だけでは価格は保てない。
株式に例えるなら、「業績」や「商品力」に当たるのが、
仮想通貨においては**「トランザクション量」や「実需」**だ。
ユーザー数、dApp数、取引件数、利用されるサービスの種類──
これらがない通貨は、「空箱」にしか見えなくなる。
特に2025年以降の市場は、すでに“見せかけのプロジェクト”を見抜く目を持ち始めている。
新興プロジェクトが「マーケティングだけで資金調達し、失速する」ケースは後を絶たない。
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● 実例:実需を生み出せなかったプロジェクトたち
具体的な通貨名はここでは避けるが、いわゆる「短命トークン」は多く存在する。
•ゲーム特化型トークン:
ブロックチェーンゲームブームの中で数百種類が発行されたが、
ユーザーが定着せず、ゲーム自体が更新停止→通貨も価値喪失。
•独自チェーン型の草コイン:
「我々は◯◯の革命を起こす!」と始まったが、開発スピードが追いつかず、
他チェーン(Solana、Polygon、BSCなど)にユーザーを奪われて終焉。
•マーケットの“声”だけを信じた通貨:
SNSでの人気に頼りすぎて、実態の伴わない上昇→暴落。
コミュニティの熱が冷めると、価格も同時に沈んでいった。
こうした通貨に共通するのは、**「使われる場がなかった」**ということだ。
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● Piはこの道を回避できるのか?
これは、**“今が正念場”**だといえる。
Piは「無料マイニング×招待制×KYC」の仕組みで、
4000万人以上のユーザーを抱える巨大コミュニティを形成してきた。
だが、それはまだ**“備え”に過ぎない。**
本当の意味で「経済圏」になるには、
・dAppが動き出す
・リアル店舗での利用が広がる
・ステーブルコインなどで決済性が高まる
といった要素が必要だ。
つまり、**“使われなければ、Piも例外ではない”**という事実を忘れてはならない。
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● 読者に伝えたいこと
「Piは他と違うから大丈夫」と思っている人ほど、
この事実は心に刻んでほしい。
むしろ、他と違うのなら──
**「使う側として何ができるか」**を考えるべきだ。
Piが他の短命トークンと違う未来を歩めるかどうかは、
ユーザー一人ひとりのアクションにかかっている。
投資だけでは、未来は変えられない。
“実需こそが、通貨の未来を作る”。




