【第4章:第3節】 「“使われる通貨”はなぜ価格が安定するのか?」
Piに限らず、あらゆる暗号資産(仮想通貨)の価格は日々変動している。
その中で、投資家やホルダーが最も注目する要素のひとつが、**「価格の安定性」**だ。
では、その安定性を左右する最大の要因とは何か?
結論から言えば、それは──**「使われているかどうか」**である。
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● 通貨は“交換手段”であってこそ価値を持つ
貨幣の歴史を振り返ると、「価値の保存手段」や「単位の基準」としての役割以上に、
最も根源的な役割は**“モノとサービスの交換を成立させる手段”**だ。
たとえば、江戸時代の米も、戦後のタバコも、現在の円やドルも、
“みんながそれで交換すると信じている”からこそ通貨として成立している。
つまり、「使われる」ことはその通貨にとっての生命活動であり、
「使われない」通貨は、例え発行量が少なくても、価値が蒸発するのだ。
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● 「実需」が価格に与えるリアルな影響
「使われる=実需がある」とは、具体的にどういうことか?
実需が価格に与える影響は、大きく以下の3点に集約される。
① 売られにくくなる
使い道があれば、人は通貨を“持ち続ける”理由を得る。
Piで買い物できる、Piでサービスを受けられる──そう思えば、
「とりあえず売っとこう」という心理は減り、売り圧力が下がる。
② 持っていたい人が増える
「今はPiで支払えるお店が少ないけど、将来増えるかもしれない」
という期待も、買い圧力を生む。これが価格の底支えにつながる。
③ リアル経済との連動で価値が“裏付けられる”
たとえば、「1Pi=500円分のコーヒーが買える」と認識されれば、
その価値はモノの価値によって補強される。
実需は、「数字だけの価値」を「体感できる価値」に変える最重要エンジンだ。
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● 価格形成の公式:投機 × 実需
仮想通貨の価格は、基本的に以下の2軸で形成されている。
•投機的需要(Speculative Demand)
→ 「価格が上がるかもしれないから買う/売る」
•実需(Utility Demand)
→ 「使うために持つ」「交換するために保有する」
多くの暗号資産は前者の比率が圧倒的に高く、
いわば「バブルと暴落の繰り返し」である。
一方、実需が育った通貨は、価格のブレが小さくなる。
それは、ユーザーが価格で売買するのではなく、
**「使うこと」にフォーカスするようになるからだ。
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● Piは“実需ベースの通貨”になれるのか?
これは、Piにとって最大のテーマでもある。
Piは独自のエコシステム構築を進めており、
PiFestのようなキャンペーンを通じて「使う文化」を育てようとしている。
また、今後は**「PiUSD」などのステーブルコイン**や、
スマートコントラクトを活用したdAppsによって、
「実需のインフラ」が整備されていく可能性がある。
だが、もしこの道が頓挫すれば、
Piは他のマイナー通貨と同じく「投機だけの資産」に堕する。
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● 読者に伝えたいこと
あなたのPiは、どう使われるべきか?
それを決めるのは、「公式」でも「AI」でもなく、あなた自身だ。
Piが本当に“使われる通貨”になるかどうかは、
この本を読んでくれている読者ひとりひとりが、
「支払いに使ってみよう」「dAppを作ってみよう」と動くかどうかにかかっている。
Piを使うことで、その価値は“支えられる”のではなく“自ら支える”ものになるのだ。