【第3章:第5節】 「Piは“お金”になるのか?価値の正体とその行方」
マイニングで集めたPi。
果たしてそれは、“本当にお金になる”のか?
スマホでポチポチ集めたこの通貨が、
ラーメン一杯と交換できる未来はあるのか?
この問いに、正面から向き合う時が来た。
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● 「通貨の価値」はどこから生まれるのか?
まずは根本的な視点から始めよう。
通貨に価値があるとはどういうことか?
その答えは、意外とシンプルだ。
「誰かがその通貨を、何かと交換してくれること」
これに尽きる。
1万円札が価値を持つのは、
スーパーで野菜が買えて、家賃が払えて、
人々が“それを受け入れている”からだ。
つまり、**価値とは「合意」**なのだ。
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● Piは「価値ある通貨」として合意されているか?
では、Piはこの“合意”を得られているのか?
実は、答えは**「まだ途中」**である。
たしかに、以下のような事例は出てきている。
•PiFest(Pi決済イベント)で、Piが使える実店舗が登場
•個人間でのP2P送金が一部で行われている
•一部の国や地域で、商品とPiを交換する動きが始まっている
これらは、「Piに価値がある」とみなした人々の“合意”によって成立している。
つまりPiは、**“使える場が生まれつつある段階”**にあると言える。
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● じゃあ、将来Piでラーメン食べられる?
可能性はある――ただし、“条件付き”でだ。
その条件とは何か?
それは、Piが次の3つの壁を乗り越えられるかどうかにかかっている。
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● 1. 実需の壁:「何に使えるのか?」
Piはまだ「何でも買える通貨」ではない。
そのため、“実需”が明確に育たないと、価値の裏付けは弱い。
たとえば:
•全国で使える飲食チェーンがPiに対応した
•交通機関の支払いに使えるようになった
•dApps(分散型アプリ)内で、課金や報酬にPiが使われている
こういった「使い道」が具体化すれば、「Pi=お金」の認識は広まっていく。
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● 2. 信頼の壁:「安全なのか?」
通貨は信用で成り立つ。
Piが詐欺や流出事件と無縁で、
運営が誠実で、トランザクションが正確であれば、
人々の信頼は積み上がっていく。
この点で、Piはすでに「KYC(本人確認)」や「2FA(2段階認証)」を導入し、
一般ユーザーにも安心な仕組みを整えつつある。
**“安全だから使える”**という感覚が芽生えれば、Piは通貨として一歩進む。
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● 3. 流動性の壁:「売れるのか、換えられるのか?」
「使える」とは別に、「換金できるか」も大きなポイントだ。
Piが上場しており、外部の取引所で売買ができる現状は、
「Piに実際の市場価格がついている」という証拠である。
しかしその価格が安定しなければ、人々はPiを使うのをためらう。
•あまりに価値が変動すれば「お金」としては不便
•安定していれば「生活通貨」として定着する
この安定性を支えるのが、前述した実需と信頼なのだ。
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● Piは「お金になる」のか、最終結論
**現時点では、まだ“お金になりかけている段階”**である。
だが、明らかに他の草コインと違う点がある。
それは:
•毎日数千万人が使っている
•地道に、ゆっくりと「合意」を広げている
•運営が無理なプロモーションをせず、**“価値の自然発生”**に任せている
このプロセスは、いわば「ゆるやかに社会に染み込む通貨」の姿だ。
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Piは、まだ“価値あるお金”として完全には成立していない。
けれど、それを目指すプロセスが、確かに進んでいる。
スマホの中に眠るあなたのPiが、
未来の“当たり前”になるかもしれないのだ。