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【第3章:第4節】 「通貨の未来は“国家”を超えるのか?」


お金とは何か?

その問いは、経済や金融に詳しい人だけでなく、私たちすべての生活に関わってくる。


今、目の前で起きているクリプト革命とは、

**「国家が発行しないお金」**が流通し、経済を回そうとしている未曾有の試みである。


この節では、法定通貨と暗号通貨クリプトの根本的な違いと、

「通貨の未来」がどこへ向かうのかを、やさしく深く考えていく。



● お金の“正体”とは何か?


日本円、ドル、ユーロ…。

私たちは、これらの法定通貨フィアットを“当たり前のもの”として受け取ってきた。


でも、冷静に考えてみよう。

•日本円は、誰が発行しているか? → 日本銀行

•それは何に裏付けられているか? → 国の信用

•つまり、「日本という国が潰れない限り、円は大丈夫」

 という“信用の前提”があるから使えるだけである。


言い換えれば、お金の価値=信用であり、

その信用は「国」という存在によって担保されている。



● 暗号通貨は“国に頼らない信用”を実現しようとしている


ビットコインが誕生した2009年。

それは、リーマンショックによる国家や銀行への信頼崩壊が引き金となっていた。


そこで提唱されたのが:


「中央に依存せず、みんなで管理しよう。信用は“コード”と“合意”で作ろう」


という、まったく新しい信用モデルである。

•発行主体:国ではなく、プログラム(コード)

•保証人:政府ではなく、分散されたネットワークノード

•管理方法:中央集権ではなく、ブロックチェーンによる合意形成コンセンサス


これにより、「通貨の発行=国家の専権事項」という前提が崩れつつある。



● 国家の“壁”を超えるPiの可能性


ここでPi Networkの話に戻ろう。


Piは現時点では完全な“国家非依存型通貨”である。

日本円のように「政府の後ろ盾」はない。


しかし、それでもPiを使って「コーヒーを買う」「服を買う」「サービスを受ける」

という事例が世界中で生まれている。


これは、通貨としての信用が**「国ではなく、人の合意」で成立している**という現象である。


たとえば、以下のような合意だ:

•「お互いにKYCが終わってるならPiで払ってくれていいよ」

•「日本円じゃなくても、使い道があるなら価値はあるよ」


それは、小さな「信用の実験」かもしれないが、

それが積み重なると、国家を超えた新しい経済圏になり得る。



● もちろん、国は黙っていない


現実には、各国政府は「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の研究を進めている。

•中国のデジタル人民元

•ヨーロッパのデジタルユーロ構想

•日本でも「デジタル円」の実証実験が始まっている


これは、「国家が主導するブロックチェーン通貨」であり、

暗号通貨の技術を国家の手に取り戻そうとする流れとも言える。


つまり、「非中央」と「中央」のせめぎ合いが今まさに起きているのだ。



● 最後に問いかけたいこと


Piは、国が発行した通貨ではない。

その信用は、**「君と私が合意したから成り立つ」**という、極めて原始的で人間的な構造である。


それは脆いようで、案外強い。

なぜなら、国家が崩壊しても、その合意は残るからだ。


これからの時代、「通貨とは何か?」を決めるのは、

政府でも、銀行でもなく、わたしたち一人ひとりの選択かもしれない。


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