【第3章:第3節】 「ブロックチェーンが“銀行”と違う決定的な理由」
私たちは普段、当たり前のように「銀行」にお金を預けている。
送金も、引き出しも、カード決済も、すべては銀行という“信頼できる組織”が管理してくれる。
だが、ブロックチェーンはその信頼を**“組織ではなく、仕組みによって構築しようとする”**。
この節では、「銀行とブロックチェーン、何が違うのか?」という点にフォーカスし、
その核心をできる限り分かりやすく解説していこう。
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● 銀行は“人”が動かすシステム
銀行は、信頼を預けるには十分な体制と仕組みを備えている。
•セキュリティの厳重な管理体制
•顧客対応のための窓口やカスタマーサポート
•国の金融庁による監督と法的保証
つまり、**「誰か(人・組織)がしっかり運営してくれているから安心」**というのが銀行の信頼構造である。
ただし、その反面、以下のような課題もある。
1.営業時間の制限:夜間や休日に即時送金できないケースも
2.手数料の高さ:送金、引き出し、両替などにコストがかかる
3.国外送金の煩雑さ:海外送金は日数も費用も大きく、非常に不便
4.資産凍結のリスク:政治的・法的な理由で口座が凍結される可能性もある
これらはすべて「中央管理型ゆえの限界」といえる。
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● ブロックチェーンは“コード”が動かすシステム
一方、ブロックチェーンは**「信頼される人」ではなく、「信頼できる仕組み(コード)」**で構築されている。
つまり、以下のような特性がある:
•24時間365日、止まらないネットワーク
•手数料が極端に安い(通貨による)
•国境を越えて、数分で世界中に送金可能
•誰の許可もいらない、自律した価値移動のシステム
この“自律性”こそが、ブロックチェーンの最大の革命性だ。
信頼は「仕組みによって自動的に担保される」。
これにより、送金・決済・契約といった行為が人間の承認を介さずに成立する世界が広がっている。
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● 「ブロックチェーン=銀行不要」ではない
ここで誤解してはいけないのは、
「ブロックチェーンがあれば、銀行はいらない」
という短絡的な話ではない、ということだ。
ブロックチェーンにも課題はある:
•秘密鍵の管理ミスで資産を失うリスク(自己責任が重い)
•UI/UXがまだ未成熟で、一般人には使いにくい面もある
•詐欺や偽プロジェクトが多く、正しい判断が難しい
つまり、「銀行 vs ブロックチェーン」という対立構造ではなく、
**「それぞれに役割があり、得意分野が異なる」**というのが本質だ。
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● Pi Networkが狙う“ちょうどいい未来”
Pi Networkは、この「中央型」と「分散型」の中間にポジションを取っている。
•銀行のようにKYCでユーザーを認証し、信用経済を構築する
•ブロックチェーンのように自律したトランザクションを目指す
•スマートコントラクトやPiUSDで、自由な経済活動を支援する
つまり、「誰にでも使える、でも信用も担保されている」
“現実と理想のハイブリッド型”経済圏を構想している。
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● 身近な例で比喩するなら?
•銀行:バスのようなもの。安全でルートが決まっていて、みんなで使う。
•ブロックチェーン:自転車のようなもの。自由にどこへでも行けるけど、自分で漕がないと進まない。
Pi Networkは、その中間にある**“電動キックボード”**かもしれない。
自由だけど、ある程度の整備やルールがあり、誰でも気軽に乗れる。
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私たちは、ブロックチェーンによって「お金の使い方」そのものが変わる時代に生きている。
それを、ただの投資手段として捉えるか、
それとも「未来のインフラ」として向き合うか。
その分かれ道に、いま立っているのかもしれない。