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ネスト  作者: 心夢宇宙
1/1

#0. 召集

午前二時に警報が鳴る。

飛び起きて召集に応じるべく、五秒で着替える。

持ち物を()(つか)み、玄関ドアを()(はな)つ。


今日も雨が降っている。


開放廊下(かいほうろうか)の手すり壁ごしに見る雨足は、今はまだ弱く、しかし予報では酷くなるという。

振り返って鍵をねじ込み、施錠(せじょう)を済ませてから足早(あしばや)に歩き出す。

階段を()()りている時に、ジャンパーの(こす)れる音が何故だか嫌に耳についた。


道は雨に()れ、街灯の光を(あや)しく反射している。

ギラギラと足元(あしもと)から()(かえ)す光に見送られながら、集合地点へと駆け足で向かった。


集合地点には既に大方(おおかた)の人員が集まっているように見えた。

(もっと)も、数十人では()かない規模なので、実際に何人居るのかは知らないし、それを数えるのは俺の仕事ではない。

群衆(ぐんしゅう)(はし)に加わりながら、先頭と思われる方向を注視する。


「サナカ」


呼ばれて左を向くと、同僚の打白水扉(うつしろみなと)がいつも通り半目がちな顔をして立っていた。

相変わらず線の細さが際立っている。


「おーミナト〜、眠そうだなぁ?」

「ねむい」

「俺も。 陽介(ようすけ)は?」

「まだじゃない? どうせギリギリだよ」

「ハハ……」


赤城陽介(あかぎようすけ)は確かに多くの場合、遅刻ギリギリにやってくる男である。

そんな事を云い交わしていると、パンッパンッパンッパンッ、と(にわ)かに手を叩く音が響き、喧騒が止んだので二人とも前を向く。


「ようし! 始めるぞー! 夜中に叩き起こされて眠いだろうが、いつも通りに頼む! 気張っていけー!」


威勢の良い声が響く。ちょっと暑苦しい。いつも思うが、ステレオタイプな軍人か体育教師みたいだ。

まぁ軍人には実際少し近いのだから、当たり前かもしれない。


「それではブリーフィングを始める!」


その一声に場は改まった雰囲気に包まて……


いるのに陽介が『ぬっ』と俺とミナトの間に顔を出してきた。

吃驚(びっくり)した。

ふざけるな。


「やめろお前ぇ…」


ミナトが呆れながら軽い苦情を漏らすが、陽介は大して悪びれもせずにニヤニヤしている。今日も元気そうで何よりだ。


「ほら、聞くぞ」

「ん? ああ」


陽介を(うなが)したが、彼は作戦に対しては不真面目ではないので、こんなのはいつもの単なる(たわむ)れでしかない。

そうして三人で群衆の後ろ、上官の話に耳を傾けた。


要するに、今日もまた敵が攻めてくるということだが、不安はない。

我々が負けたことは、ただの一度もないのだから。


話を聞き終えた俺たちは、作戦通り迎撃の為の行動を開始する。


雨は少し強くなっていた。

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