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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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最終話。そして、これからも。

「良かったな、セピア。」

王家の黒い影は眉尻を下げて微笑した。

「アンディ様…」

「ラージイ君、ケイジ君。コイツを頼みます。

じゃあエドワード行くぞ。」

「そうですな!」

みんな立ち上がる。


「いえ、よければまだゆっくりと。」

「アラン様にご報告がありますから。入籍したら教えてくれ。」

「私もアラン様にご報告を。セピア、ま、短い付き合いだったが元気でな。オマエはなかなか面白い奴だったな!身内の婿にはごめんこうむるが。」

「ブラッキーさん…」

半泣きになるセピアさん。


「ラージイ殿。多分これから連絡係にはロンドが来るでありましょう。アイツは拙者の身内でしてな!宜しくお願いしますな!」

「はい、エドワード様。是非またお越しを。アンディ様も。」

「うーん、そうねえ。ここ女性用ホテルでしょ。連絡係にはリーリエを寄越すかもね。泊まっても問題ないしね。」

ニヤリと笑うアンディ様。そしてみんな出ていった。


「ふう。アンディ様が最後オネエ言葉だったから、怒ってはいらっしゃらないな。ホッとしたよ。」

ラージイ兄が肩からチカラを抜く。

「ああ、冷や汗を掻いた。まだ足の震えが止まらない。セピア君、良くあんな怖い人と平気で話せるねえ。」

ケイジ兄はハンカチで汗をぬぐう。


「そんなに怖かったかしら。」

「そうでがんす。」「流石に眼力はすごかったでやんすね。」

リラ様達とヤッキー達は顔を見合わせる。


「フフ、私達兄妹には特別に厳しいのよ…」

私も紅茶を飲んで気分を落ち着けた。

「アンディ様は懐が深い御方なんですよ。私は親とも思っております。」

セピアさんは片眉を上げて紅茶を飲み干した。



彼らを見送ったブランさんが戻ってきて、

「帰りしなにアンディ様がコレを下さいました。

チョコレートですって。カレーヌ様のお店のもので、退院のお祝いとか。」

開けてみると小さいハートの形のチョコが沢山入っていた。


「何でもレイカさんがカレーヌ様にお願いして作ってもらったそうなんです。

あちらの…レイカさんや王妃様が前世で生きてらしたところでは、今日二月十四日には親愛の印にハート型のチョコを贈るのだと。」


「カレーヌ様が。」

「そうですか。今度は二月十四日はチョコの日と言って広めていかれるのですね。」

兄達が顔を見合わせてニッコリする。

本当に彼女はファンが多いこと。


「それでアンディ様がこれを。

ね、きっとこの二月十四日は愛の記念日なのでしょう?

だからこの日に入籍しろってことですよ!」

セピアさんの目が輝く。

「えっ、そうかしら?」

「そうですよ、ロージイさん、早速夫婦になりましょう!籍を入れましょう!」


ものすごく良い笑みで押してくる。

「え?ええっと…」


「ふふふ。セピア君。二月十四日は別に今年のでなくても良いのではないか?」

ラージイ兄が黒い笑みを浮かべる。

「そうだよ、せめて来年の二月十四日にするべきだ。

コレからキミ達が住む離れを作ることにするし。

色々準備が必要だよ。」

ケイジ兄が真面目な顔で言う。


「そんなー…」


情け無い声を出すセピアさん。


「そりゃそうでしょ。セピアの旦那。流石に今日直ぐにでは無理でやんすよ。」

「あと一年。せいぜいロージイ姐さんに愛想を尽かされないようにするでがんす。」


「ええっ、みんなキビシー!」


「フフ、それはそうよ。今までみたいにあちこちの女性にフラフラされたらたまりませんから。

ここ一年でちゃんと見極めないとね。」

「ロージイさんまで!」


「いいじゃないですか。ちゃんと日付が決まっているのだから、逆算して準備ができるでしょう。」

ブランさんが微笑む。

「小さな教会で身内だけの式をあげましょう?

ドレスは手配しますわ。私が直接ダン様に交渉すれば、サード様も横やりを入れないでしょう。」


「ブランさん…ありがとう。」


「そうだな。ロージイの最初の結婚は書類だけだった。」

ポツンと言うケイジ兄。


「おまえは美しい花嫁姿になるだろう。」

ラージイ兄は涙ぐんだ。

「私がベールに刺繍しますわ。我ながらなかなかの腕ですのよ。」

リラさんも申し出てくれる。

「嬉しいわ、ありがとうございます。確かにドレスは着てみたいですわ。」


ルートとの結婚はとにかく慌ただしく。なんのお祝いも…会食さえも出来なかった。


「それから、ロージイさん。コレを。」

セピアさんが胸から出したのは遺言書だ。


「ちゃんと…書き直しました。すべてを貴女に。」

「えっ。私に?」

「ええ、貴女にコレを受け取って欲しい。」


震える手で受け取った。


「ああ、やっと貴女に渡す事が出来た。」

満面の笑みで笑うセピアさんに私の心にも温かいものが満ちてくる。

「本当に私でいいんですね。」

「ええ、貴女がいいんです。」


目の前がかすむ。

良かった、良かった。この人に出会えて良かった。

この人が生きていて良かった。

私の祈りが届いて良かった。私が彼を守れて良かった。

これからも守れるならば。

早世してしまった許嫁の代わりに側に居られるなら。

今まで生きて来た時間の2倍も3倍も。

家族で居られるのなら。


もう、それだけで。


同じ空を見て、同じ物を食べて一緒に暮らして。

年をとってこの世を去るまで。


きっと一緒にいよう。




これでロージイの話は一応終わりです。

もちろん、これからも彼女達は生きて行くわけですから、本編の「ブルーウォーター公国物語」でその後が語られることもあると思います。


ロージイの人生のある部分を切り取って書いたものですから、本人が幸せと思った場面のひとつで終わろうと思います。

もちろんこの後も順当にいけば結婚するでしょうし、幸せな生活もあると思います。


読んでくださってありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
完結おめでとうございます。 山あり谷ありの展開でした、それはこれからも人生が続く限りそうなのでしょうけど。 思ったよりロージイがしっかりはっきりと想いを伝えていてそこはよかったねと思いました。 なによ…
完結、お疲れ様でした! お互い紆余曲折あって、自分も他人も傷ついて傷つけて…なんならこれからも山あり谷あり大変なことも沢山あるかもしれないけれど、生きて2人一緒にいられるのなら、ですね。 これからもブ…
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